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グリクシスの申し子がもたらした、新たな進化(The Grixis Master Addresses The Green Splash by Chapman Sim)

The Grixis Master Addresses The Green Splash | MTGMintCard

より。

グリクシス(タッチ衰微)。

一部にTournament Report Grand Prix Pittsburgh 94th | MTGMintCardの内容を含みます。

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 グリクシスコンは、このごろその弱点があらわとなったことにより、Tier2にとどまることを余儀なくされ、Thiago Saporitoも僕にグリクシスコンは良いデッキとは言えないだろう、と伝えてきた。僕自身もそう思っていただろう。

 しかしながら、コラガンの命令がこのフォーマットに登場して以来、グリクシス以外のデッキには一切触れてこなかった。

 GP CharlotteでPartrick Chapinがその原型を示した後、Michael MajorsがSCGOpenで進化をもたらしたのだ。そう、命令などの重たい打ち消しをコジレックの審問などの軽いハンデスに変えることによって。またヴリンの神童、ジェイスとコラガンの命令の相性の良さもあいまって、そのデッキは更に強化される事となった。

  僕のグリクシス人生の始まりはGP Oklahomaでのグリクシス双子であった。僕はメインデッキにジェイスを搭載させ、コントロールの体裁をもたせたのだ。しかしながらそれでは9-6という不甲斐ない成績しか残すことができず、それ以来、このデッキの強化に勤しんできたということとなる。野生のナカティルや双子の増加によって、グリクシスの核はより固まることとなった。

 また、このGrixisデッキはMexicoCityでのRPTQでも用いていた。その時にはほぼメタ外にいたトロンの使い手と運悪くマッチングしてしまい、対策をしていなかったために敗北することとなってしまった。しかし、今回はその対策もしてきた。これが、その強欲にも、緑にタッチしたグリクシスコン、Grixis Greenだ!

Chapman Sim's Grixis Green
Modern by MTG Mint Card

24 Lands
3 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Blood Crypt/血の墓所
2 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Breeding Pool/繁殖池
2 Creeping Tar Pit/忍びよるタール坑
2 Island/島
1 Mountain/山
4 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
1 Steam Vents/蒸気孔
1 Stomping Ground/踏み鳴らされる地
1 Swamp/沼
1 Watery Grave/湿った墓

12 Creatures
4 Jace, Vryn's Prodigy/ヴリンの神童、ジェイス
1 Pia and Kiran Nalaar/ピア・ナラーとキラン・ナラー
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
3 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル

24 Spells
3 Abrupt Decay/突然の衰微
1 Dispel/払拭
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
3 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
4 Serum Visions/血清の幻視
3 Terminate/終止

Sideboard
1 Anger of the Gods/神々の憤怒
2 Countersquall/対抗突風
1 Dispel/払拭
1 Duress/強迫
1 Keranos, God of Storms/嵐の神、ケラノス
1 Languish/衰滅
1 Spellskite/呪文滑り
1 Thoughtseize/思考囲い
4 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
2 Thragtusk/スラーグ牙

デッキ解説の前に

 このデッキが生まれるにあたって、Corey Burkhartの力を借りたことをここで触れておこう。GP OKCの数カ月前から僕は彼と調整を続け、グリクシスとはなんぞやを学ぶことができた。彼はまた、GPOKCにおいて12-3と惜しくもあと1勝が足りないというものであり、またGP Pittsburghでの戦績も加えると25-4-1という驚異的なものであった。この戦績によりPT Atlantaへの権利を得たCorayは他のカードゲームにおいてもよく知られているプレイヤーであり、今後さらなる名を轟かせることとなるだろう。

デッキに緑を足した理由ー突然の衰微

 多くの対戦相手、そして僕の友だちは、このデッキに足された緑という色に興味津々であった。モダンという環境はショックランドのダメージさえ抜きにすれば容易に色のタッチが可能となっており、アグロ対策さえしっかりとしていれば十分に採用の価値はあるといえるだろう。

 リストを見れば分かる通り、このデッキの根本部分は変わっておらず、ただ、メイン3枚の突然の衰微とサイド2枚のスラーグ牙が追加されているだけなのだ。これによって蒸気孔と湿った墓がそれぞれ1枚ずつ繁殖池と踏み鳴らされる地に変わっており、ショックランドの枚数は5枚にとどまることとなっている。

 では、なぜ突然の衰微なのか。このカードの強さについて今更異議を挙げるものはないだろう。丸いカードは重要だ。

 とはいえ、グリクシスコントロールのマナ基盤を更に弱めてまで、エンチャントやヴェリアナに触れられるようにする理由はなんなのか。このデッキに必要とされるのは、状況にピッタリの打ち消しなのか、それとも汎用除去なのか……

 このリスクについては甘んじて受けている。きっとおそらく打ち消しよりかは除去のほうが強いと判断したのだ。この判断の基準はGP Porto Alegreの結果にある。Top 8に16枚もの野生のナカティルが飛び回る姿を見て、それの対策を元としたデッキ構築を始めたのだ。

 僕のGrixis Greenは打ち消しが極めて少ない。これはジェイスとの相性が良くない上、トップデッキした時の弱さもあるためだ。呪文嵌め、差し戻し、マナ漏出、払拭……それらのいずれも強いカードとは言い切ることができず、突然の衰微に置き換わらせることができる。というのもZooに対するこれらのカードは、場に出たカードの対処しづらさという点で衰微に劣るからである。1G目のサイコロに負けた時、手札に欲するのは打ち消しよりは除去であろう。また、突然の衰微ほど汎用的に対応できるカードもそう多くないと言える。

 また、丸く対応する、という点においては謎めいた命令も重たいカードといえる。その考えのもと、打ち消し呪文はその姿をデッキから消し、1枚の払拭を残しその全てが突然の衰微へと変換されることとなった。また、再三にはなるが消耗戦において、手札が双方0枚レベルになった時には打ち消し呪文よりかは、除去や脅威となるカードがほしいだろう。

 とにかく、ここに衰微によって対処できる、グリクシスコンが置かれたくないカードを並べる。

安らかなる眠り、窒息、血染めの月、玻璃を紡ぐもの、綺羅

 この全てについて、Pittsburghでは衰微の力を用いて対処することができたのだ。

  また、双子に対しても突然の衰微は素晴らしいカードとして運用可能である。相手の手札に衰微があるとわかってしまえば双子コンボを決めることはできないだろう。なにせ払拭できない終止なのだから。また、ヴェンディリオン等による手札破壊によって、コンボを達成される前に殺してしまう、という動きも比較的容易に可能となるわけだ。

 そして、グランプリにおけるこの動きの一番大きなメリットは、初見殺しが可能となるという点である。相手が双子を唱えた瞬間にフェッチショックから突然の衰微とうてば、相手は驚くことだろう。

デッキに緑を足した理由ースラーグ牙

 双子に対し、突然の衰微を追加することによってコンボルートは封じきることができるようになった。そうなってくると今度は相手はケラノスや殴打頭蓋を用いたブルームーンもどきの動きへと変貌してくることだろう。それをスラーグ牙とコラガンの命令で叩くのだ。

 コラガンの命令によって呪文滑りややっかい児の対象は容易に行うことができる。また、スラーグ牙によってライフゲインをする一方で瞬唱やジェイス、タシグルを用いて消耗戦を強いることで、容易に勝ちをもぎ取ることができるようになるのだ。

 スラーグ牙は今回のMVPといえるような活躍をし、消耗戦だけでなく、グリクシスコントロールが困っていたライフゲイン問題の解決としての役割を担ってくれるのだ。もうドラゴンの爪や吸血の絆といったカードを積む必要はないのだ!

 そして、僕は飢えへの貢物があまり好きではない、という思いもある。

 スラーグ牙とコラガンの命令の相乗効果によって、黒緑とのマッチアップやマナ漏出が打たれないミラーマッチの勝率が飛躍的に上昇した。

 特に瞬唱でコラガンの命令をFBし、スラーグ牙を回収する動きは、ジャンド相手にとても効果的な動きだったと言えよう。ジャンドには3度遭遇したが、トップデッキに助けられたということが何度もあり、その中にはスラーグ牙ももちろん含まれている。

 また、バーンやZoo相手のこのデッキの動きは、出来る限り相手の戦略をそぎ落とし、その状態で頭蓋割りやアタルカの命令をコジレックの審問や払拭で無効化した後に、スラーグ牙を着地させるという形のものである。

 タシグルの早期着地によっても、ゲームは早急に終わらせることができるが、スラーグ牙によってライフレースはより有利なものへとかたむくことだろう。焼尽の猛火や流刑への道によって処理されてしまうかもしれないが、それでも付加的に得られる3/3のトークンは強力であるといえよう。

 しかし、ここで一つの疑問が残ることとなる。本当にスラーグ牙が最適なのか、他に良いカードはないのか?というものだ。

 かつて大爆発の魔道士であったスペースを5マナで埋めてしまうのは確かにあまりいい選択肢とはいえないだろう。Coreyの意見も取り入れたいと思う。

Coreyが言うには

 要約:緑タッチはやめといたほうがいいんでねって言われた

 僕がグリクシスコンが好きなのは、モダンというフォーマットがひどく開かれ、能動的なデッキが望まれるフォーマットだからというものがある。おおよそグリクシスコンで使えるカードはその全てに対して解答を持つことができるというものだ。

 では、グリクシスコンの問題点は何かというならば、デッキ枚数が合計75枚しか取れないというものがある。メジャーなデッキに効くピン差しカードの束とある程度メタカードを絞った形にするかの2択を取ることとなるだろう。

 僕個人としては今までのGPを土地破壊5枚、墓地対策0枚として動かしてきた。というのもスケープシフトやトロン、護符コンを対策したいと思っていたからだ。まあその代わりに死せる生やドレッジヴァイン、グリセルシュートに関しては半ばそのマッチアップをステてしまっていると言ってもいいだろう。おそらくメタゲームとしてこれら3種類のデッキは多くは存在しないだろうからだ。

  衰微を入れるということは、安定性を失うだけでなく、ライフレースにも不利になってしまう、だからこそ安易なタッチ衰微はよろしくはないだろう、というのだ。また墓地利用デッキを無視するという選択において、墓地対策を一切用いていないという点は一致している。

 僕がグリクシスを好む理由としては、ライブラリを最適化できるという点がある。WotC社はキャントリップカードを減らすことによって、すなわち定業や思案、渦巻く知識をこのフォーマットから取り除くことによって、ゲームにバリエーションを与えようとしているのだ。できれば血清の幻視も禁止されてしまえばいいとも思っているが、それは今はどうでもいいことだ。

 そして、グリクシスコントロールはそのキャントリップの安定性を素晴らしい形で利用できるデッキだといえるのだ。神童ジェイスや幻視、思考掃き、タシグル……これらのすべてが噛みあうカードとなり、コラガンの命令や瞬唱の魔道士との相乗効果を臨むことも十分にできる。

 突然の衰微は確かに相手の戦略を破壊させることができるものの、それのためにデッキの安定性が失われているとも言えるのだ。確かにグリクシスコンはピン積みカードが多量にあるが、それは1枚あれば十分だから、というものであり、わざわざ複数積んでしまうのは本末転倒となってしまうのだ。

  確かに思考掃きを強欲にもデッキから取り除いてしまったのは僕のミスだった。このデッキの安定性を取り戻すために、そもそものこのデッキの動きを最適化するために、思考掃きは何枚かデッキに戻すべきだろう。

 というわけで、僕はこの緑タッチという戦略はあまり好まないのだ。確かに突然の衰微やスラーグ牙は素晴らしいカードだろう。しかしながらそれはコラガンの命令と隆盛//下落、ナラー夫妻でも十分に成し遂げられるのではないか?

 たしかにそれらのカードではエンチャント対策やライフゲインはできない。しかしそのためにわざわざライフを支払うようなデッキを作り上げる必要がどこにあるというのか。また、そもそも広がりゆく海や溶鉄の雨、大爆発の魔道士と言った土地破壊に弱いこのデッキを、さらに弱くしてしまうのは愚行としか思えない。

 加えて言うならば、できれば思考掃きを使うことで、特定のマッチアップには役立たないけれども使えるカードを多く入れたいのだ。隆盛//下落をデッキから外すと聞いて驚いたよ。このカードはジェイスや瞬唱とともに用いることでhymnとしても動けるし、瞬唱やナラー夫妻を回収することもできるカードだ。素晴らしいカードとは思わないかい?

 そして最後に触れたいのが波使い対策だ。マーフォーク自体は未だにTier2のものではあるが、効果的にクリーチャーを並べ、殴りかかってくるデッキだ。このデッキには波使いに対抗するさくが一つも入っていないではないか。少なくとも僕のデッキでは四肢切断を1枚いれて少なくとも対応できるようにはしてあるよ。

 確かにグリクシスコンは難しいデッキではある。出来る限り丸い除去を搭載したいという気持ちもわかるさ、しかしながら、ジェイスでコラガンの命令を使い回すだけで、基本的に相手は死んでいってくれるんだ。

 このデッキはとても技術を要するデッキであり、もちろんメタゲームに合わせた調整は必須だと思っている。PT Atlantaに向けた調整はすでに始めているし、グリクシスコン以外のデッキは模索している。しかしながら瞬唱とジェイスを使えないグリクシスなんてクソクシス同然じゃないかって思ってるよ。

 (訳註:ぼろっくそやな)

その他採用カードについて

2枚のリリアナ

 Michaelがグリコンにこのカードを入れているのを見て、僕もこのカードを採用してみて、すぐに大好きになった。これはおおよそのコンボデッキに対して強いカードになるし、コジレックの審問やコラガンの命令と合わせて、相手の手札を空っぽにしてやることができるのはとても良いだろう。

 このカードの遅さを懸念して、バーンやZoo相手でのこのカードはサイドアウト筆頭候補となる。しかしながらジャンドやアブザンのような消耗戦に於いてはこれは素晴らしいカードとなるだろう。2T目に飛び出してきた脅威を除去しながらPWが場に残る。これを処理するためには相手は2:1交換を強いられることとなる。そしてそうしなければ、一瞬のうちに盤面も、そして手札も掌握されてしまうのだ。

 おそらく1枚は少なすぎで、逆に2枚だと多すぎるくらいではないかというふうに考えており、3枚以上は……ないね。

3枚目のタシグル

 概してモダンのデッキリストに3枚目のタシグルが入り込む余地は基本的にないと言っていいだろう。しかしながら、このようなデッキに於いては思考掃きなしに2T目の着地は不可能となるものの、出来る限り早く脅威を叩きつけることができればそれだけでコンボデッキの抑止力となる可能性があるのだ。

 多くの場合において、コンボやアグロデッキに対してタップアウトするのは恐ろしいだろう。それこそグリセルシュートや護符コン相手にナラー夫妻を出すのは自殺行為と言ってしまってもいい。しかしながらタシグルの場合においてはきちんと除去や打ち消しを構えたまま動くこともできる。また、バーン相手の場合でもクリーチャーを処理させるために火力を消費させるのは強い動きということができる。そのために僕は3枚目のタシグルにゴーサインをだしたのだ。

 まあ、タシグルに対処できる除去はそれほど多くなく、大渦の脈動や炙り焼きはせいぜいピン積みであることがほとんどだ。またゲーム序盤では流刑への道を打たれるということもそれほどには多くないし、たとえそれをされたとしても瞬唱コラコマパッケージが後に控えているためにそれほど問題となることはないだろう。

ハンデス

 前にも述べているが、ジェイスとの相互作用を考慮するならば、ハンデスや除去カードが打ち消しより優先されるものとなるだろう。また、瞬唱との組み合わせを考慮しても、コジレックの審問が最良の選択肢としてあげられるだろうと推測している。

 そして、僕はこのデッキリストのなかに、もう2枚のハンデスを追加したかった。これと瞬唱のちからを得ることで1,3T目のダブルハンデスが可能となり、グリセルシュートや護符コン、感染と言ったデッキ相手に強い動きを取れるようになる。またヴェリアナと組み合わせることによってもその強さは更に大きくなるだろうと思っている。

 それらの理由によって、このデッキには強迫と思考囲いを導入することとなった。これによりコンボ相手に初手からハンデスを決められるようになったのだ。また、バーン相手に3枚目の強迫としてこのカードを使うこともできるだろう。

全体除去

 グリクシスコントロールは全体除去の枠に困っている点があった。というのもこのデッキの除去は大半がピン除去で構成されているからだ。親和にたいしても、コラガンの命令だけでは足りない場合が存在する。

 今回の大会に於いても、ジャンド相手は3-0のマッチとなったが、アブザンには敗北を喫することとなった。これは主に未練ある魂にしてやられたという感じであり、それを対処する手段がなかったのだ。このカードは悪魔と言ってしまっていいだろう。この前夜にMMCのチーム名とと相談することでイゼットの静電術師を衰滅へと変えてしまったのだ。これにより、トークン系や親和、感染へのガードが弱まる一方で刻まれた勇者の対応力が上がると思っていたのだ。

 また、死せる生とR3で対戦することとなった時は墓地対策を一切このデッキに取って、悪夢と言ってもいい時を味わったのだ。いくら除去下としても、死せる生で一気に戦況は覆されることとなり、また大爆発の魔道士や内に入る獣、なだれ乗りによって一気にマナベースが崩壊することとなり、4Cミッドレンジとなっていたこのデッキは崩壊することとなった。

 もしこの手の土地破壊から逃れたいのならば滅び(の瞬唱によるFB)を使うのがいいだろう。このマッチアップを多少よくすることができる。衰滅では死せる生で現れるこのクリーチャー群を対処できないからだ。もちろん、衰滅のままではタシグルを守りつつ相手の戦線を崩壊させることもできるが、このマッチアップの改善を目指すならば他の手法を探すのがベターであろう。

 また、Craig Wescoeが使っていたGWアグロもまた、グリクシスコントロールにとって害悪となる存在である。復活の声、台所の嫌がらせ屋、永遠の証人、そしてそれらを結ぶ集合した中隊。これらに対抗するためには単体除去だけでは意味が無い、そのため神々の憤怒を採用している。

 この全体除去の枠に関してはもう少し議論の余地があるように思う。おそらく2~3枠をそれと設定しているプレイヤーが大半だろう。僕は神々の憤怒と滅びがそれぞれ1枚ずつ枠に収まり、そして3枚目としては静電術師が良好であるだろう、と判断している。

思考掃きの排除

 これはこのデッキの既存レシピとの大きな違いであり、先述の通り、大きなミスであるといえる。

 このカードはタシグルのためのマナ加速としてだけでなく、瞬唱やコラコマ、ジェイスの的を増やすためのカードとしても使うことができるのだ。このデッキにおけるカードの相互作用を考慮するならば、思考掃きは単なるキャントリップではなく、一種のチューターとしての役割も担っていたのだ。もし相手が幻視や有毒の蘇生で積み込みを行っているならば、それを破壊する手段としても使うことができる。

 また、FBしやすい1マナ呪文の消滅は、瞬唱を使いにくくもしてしまった。そして僕は瞬唱を1枚外してしまい、更にはコラガンの命令を4枚とするところだった。

 まあプレイヤーの中にはあくまで思考掃きを墓地肥やしでしかないと捉えているプレイヤーも多いだろうし、多くのリストでは2枚に抑えられていることも多い。

 しかしながら今回僕のデッキにはt緑用の土地が2枚しか存在せず、それを掃いてしまうのを恐れていたという思いもある。それをなんとかするために、キャントリップの代わりに24枚目の土地となるフェッチランドを追加することとなった。

GP内のメタゲームについて

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 このメタゲームブレイクダウンを見る限り、おおよそ想定通りのメタゲームが繰り広げられていたと判断できる。コラガンの命令によって親和は十分に駆逐できるし、さらなる全体除去によって完全に沈黙に至らせることも難しくないだろう。

 緑にタッチすることによってタルモゴイフや軟泥、ヴェリアナを稲妻や終止を用いずに処理することができ、それをオリヴィアや山峡に使い回すことができるようになった。またスラーグ牙によって蓋をしたゲームは全てのマッチで行われた。

 突然の衰微は2日目の残り数が3位であった双子に対してとても強いカードとして働いてくれた、また、ナヤZooに対しても思考掃きと打ち消しでは対処できなかったカード群への対処が可能となっていた。

 また、このカードは護符コンの護符やトロンの探検の地図にも十分刺さっていたが、サイド後は大爆発の魔道士へと置き換わることとなった。

 そしてアブザンの未練ある魂、マーフォークの波使いに対する回答が一切なかったため、このデッキは更に改良する余地があるだろう、と推測している。

実際のマッチアップ

1日目

Round 1 – Bye
Round 2 – Bye
Round 3 – Daniel Hall (Living End / Lost 2-0)
Round 4 – Ryan Howe (Jund / Won 2-1)
Round 5 – Adam Hawley (Tron / Won 2-0)
Round 6 – Tristan Zinti (Jund / Won 2-0)
Round 7 – Alex Altieri (Merfolk / Lost 2-0)
Round 8 – Harlan Firer (UR Twin / Won 2-1)
Round 9 – Christopher Calhoun (Grishoalbrand / Won 2-0)

 Bye明け1戦目を死せる生で迎えてしまったのは不運としか言えないだろう。墓地メタを取っていない時のこのデッキはグリクシスコンに於いては最悪の相手だといえる。詳しくは前述のとおりだ。不運だった。

 広がりゆく海の影響こそ受けなかったが、波使いの手によって1日目の2杯目を喫することとなってしまった。少なくとも綺羅に対して突然の衰微を打ち込むことはできたが、7-2で折り返すこととなった。

2日目

Round 10 – Charles Magyar (UW Midrange / Won 2-0)
Round 11 – Todd Stillwagon (Abzan / Lost 2-0)
Round 12 – John Brodeur (Naya Zoo / Won 2-1)
Round 13 – Andrew Van Leeuwen (Jeskai Control / Lost 2-0)
Round 14 – James Hathcock (Infect / Won 2-1)
Round 15 – Dan Nelson (Jund / Won 2-1) 

  未練ある魂もまた、対応できないカードである。ああ、イゼットの静電術師……相手も3,5T目にこのカードを引き入れてくる上包囲サイも除去も構えられていればもうおしまいである。

 そしてトリココンも辛いものだった。Andrewは熟慮を採用しており、ハンデスへの耐性を固めていた。また打ち消しを多量に積んでいたためにこちらの除去を実質的な紙くずと仕立てあげていたのだ。

 少なくともトロンを大爆発の魔道士で殺しきれたことは大きかった。また、ジャンド相手のスラーグ牙は超つよといっていいだろう。

このデッキを使う上でのTips

 このデッキを一つのデッキとして見るために、思考掃きは必須である。しかし、2枚のヴェリアナ、3枚のタシグルは必要だと思っており、また隆盛//下落もこのリストには必須だということだ。とりあえず2~3枚を突っ込んでおくのがベターだろうが、3枚目となるのはヴェリアナもしくは黄金牙のどちらかだろう。

 5マナカードは多すぎてもテンポが悪い。僕は今回、ケラノスが必要ないのではないかとも思う。このカード無しでもなんとかなるだろう。

 飢えへの貢物は新たなライフゲイン手段として挙げられているものの僕はこれを信用していない。ゴブリンの先達や野生のナカティルを採用しているデッキではたいてい極楽鳥や貴族の教主が採用されているため、効果的ではないと思っているのだ。それよりかは炎の斬りつけを5枚目の稲妻として採用してしまうほうがいいだろうし、また、双子とのマッチアップを考慮するならば引き裂く流弾のほうがいいだろう。どちらがいいかについてはまだ定かではないが、しばらく試してみたいと思う。

 3枚目の払拭はバーンの対策だけでなく、コントロールやミラーマッチにおいても役に立つカードだと気づけた、しかしながらこのカードはジェイスとともに使うことで更にその効果が上がるカードである、という事実を忘れてはならない。ハンデスハンデスだけでなくピーピングも可能であり、払拭ではそんなことはできない。また、精力の護符や花盛りの夏、風景の変容といった広い範囲をカバーできる魅力はおおきくあるだろう。少なくとも払拭は2枚とし、ハンデスについては2枚とるがその種類については好みによっていいと思っている。

 大爆発の魔道士はとても素晴らしいカードであり、ジャンドやアブザン、グリクシスミラーにおいての切り札はこれであった。また、トロンや護符コンに対しても同様の効果を示していた。溶鉄の雨もジェイスや瞬唱との組み合わせによって効力を持つものであり、これも十分に評価に値するだろう。

 ナラー夫妻は全てのマッチアップで輝くカードではあったのだが、コンボデッキ相手には抜いていた。護符コンや双子、グリセルシュートにタップアウトするのは非常に危ない行動といえる、しかしながら親和や感染、未練ある魂に対して非常に強いカードであり、このカードは採用し続けようと思っている。

 虚無の呪文爆弾や外科的摘出はできればとりたいと思っているカードではあるが、Coreyの言うとおりこのカードを必要とするデッキはメタゲーム上位には存在していない。そのため今回はこの採用を見送り、またその手のデッキが隆盛してきてから考え直すこととした。

 おそらく数カ月後、また新たな禁止改定が発表されることだろう。それまでデッキを十分に鍛錬しておくのがいいだろう。勝手な予想ではあるが、アンフェアコンボのあの2つについて、禁止が出る可能性が高いのでは、そしてそれによりミッドレンジが隆盛するのではないか、と予測している。このタッチ緑はそれも見越したものであるが、実際どうなるかはぎりぎりにならないとわからないだおる。少なくともスラーグ牙と突然の衰微を用いた、新たな可能性については示唆できたと思っている。

 読んでくれてありがとう!そしてCoreyも、時間を作ってくれてありがとう!この時間が有意義なものだったと思いたいよ。