MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

ジェスカイツインの強みと調整(Jeskai Twin By Paulo Vitor Damo da Rosa)

» Jeskai Twin

より。

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 今回、僕はGP Pittsburghで見事優勝を勝ち取った、ジェスカイ双子についての記事を書きたいと思う。これはまた、僕がPorto Alegreで用いたデッキであり、戦績こそよくなかったもののメタゲームにはよくあっていたように思う。

  おおよそいずれの双子のリストもそれぞれの利点がある。例えば純正ならばマナ基盤が安定しており、血染めの月も使いやすい。グリクシスやタルモならば、サイドボードの幅が広がるし、低マナ域の脅威、タシグルやタルモを送り出すことで他の青いデッキに対して強くなることができる。そして、ジェスカイはフェアデッキへの強さがある。それは白いカードに由来するものである。

  • いわゆる緑黒系のデッキに対して、天界の列柱と修復の天使が対処しづらい脅威として使うことができる。
  • Zooやバーンに対しては流刑への道や前兆の壁、そしてサイドボードの機を見た援軍や神聖の力線といったカードの存在により大きく優位に立てる。白以外の色にこのような赤対策カードのカードは少ない。
  • 親和に対してもこのデッキは強いといえる。修復の天使と石のような静寂によって相手のクリーチャー群を壊滅させることができる。
  • 感染に対する流刑への道は強い。
  • 純正双子に対しても同様である。またクロックも良質である。
  • 呪文滑りに対しても流刑、キキジキが対策となる。

 しかし、当然のことながらアンフェアデッキに対しては不利となってしまう。このデッキは若干遅いデッキであり、コンボへの抑止力に欠けている。黒に比べ除去も少ないという欠点もあり、トロンや護符コン、グリセルシュート、呪禁オーラ、リビングエンド、スケープシフトに対する弱さを見せてしまうこととなる。

 また、グリクシス双子に対してもこのデッキは少々弱いこととなる。基本的にサイドボードオプションがこのデッキより広いグリクシスの方がおおよそデッキとして良質に構築されているためだ。

 以上のことからもわかるように、どの双子をつかえばよりよいか、というものは予測するメタゲームにおいて大きく異なってくる。そして現在のメタゲームはおそらくジェスカイカラーのそれについて有利であることが予測できるために、トーナメントに持ち込むべきはこのカラーリングだと言えるだろう。

 ここでAlexがPittsburghで用いたリストを見てみよう。

23 Lands
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
4 Flooded Strand/溢れかえる岸辺
3 Steam Vents/蒸気孔
1 Hallowed Fountain/神聖なる泉
1 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
1 Sulfur Falls/硫黄の滝
1 Cascade Bluffs/滝の断崖
3 Celestial Colonnade/天界の列柱
3 Island/島
1 Mountain/山
1 Plains/平地

14 Creatures
1 Wall of Omens/前兆の壁
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
4 Deceiver Exarch/詐欺師の総督
1 Pestermite/やっかい児
1 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆
2 Restoration Angel/修復の天使
1 Kiki-Jiki, Mirror Breaker/鏡割りのキキジキ

23 Spells
4 Serum Visions/血清の幻視
4 Lightning Bolt/稲妻
4 Path to Exile/流刑への道
2 Spell Snare/呪文嵌め
3 Remand/差し戻し
1 Electrolyze/電解
1 Cryptic Command/謎めいた命令
3 Splinter Twin/欠片の双子
1 Dispel/払拭

Sideboard
1 Wear // Tear/摩耗//損耗
1 Stony Silence/石のような静寂
1 Pia and Kiran Nalaar/ピア・ナラーとキラン・ナラー
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Celestial Purge/天界の粛清
1 Keranos, God of Storms/嵐の神、ケラノス
1 Elspeth, Sun's Champion/太陽の勇者、エルズペス
2 Blood Moon/血染めの月
1 Flashfreeze/瞬間凍結
1 Negate/否認
2 Timely Reinforcements/機を見た援軍
1 Dispel/払拭

 このリストは少々奇妙なリストだと言える。多くのピン積みカードがあり、本来4枚積みされているべきカードが3枚にその枚数をとどめているものもある。このリストも悪くないものではあるが、個人的にはもう少し調整を加えたい。そうして調整を加えたものがこれだ。

24 Lands
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
2 Flooded Strand/溢れかえる岸辺
3 Arid Mesa/乾燥台地
2 Steam Vents/蒸気孔
1 Hallowed Fountain/神聖なる泉
1 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
1 Sulfur Falls/硫黄の滝
1 Cascade Bluffs/滝の断崖
4 Celestial Colonnade/天界の列柱
1 Desolate Lighthouse/僻地の灯台
2 Island/島
1 Mountain/山
1 Plains/平地

16 Creatures
3 Wall of Omens/前兆の壁
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
4 Deceiver Exarch/詐欺師の総督
3 Restoration Angel/修復の天使
2 Kiki-Jiki, Mirror Breaker/鏡割りのキキジキ

20 Spells
4 Serum Visions/血清の幻視
4 Lightning Bolt/稲妻
3 Path to Exile/流刑への道
1 Spell Snare/呪文嵌め
4 Remand/差し戻し
3 Splinter Twin/欠片の双子
1 Dispel/払拭

Sideboard
2 Spellskite/呪文滑り
1 Negate/否認
3 Timely Reinforcements/機を見た援軍
2 Keranos, God of Storms/嵐の神、ケラノス
1 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆
2 Supreme Verdict/至高の評決
2 Wear // Tear/摩耗//損耗
2 Dispel/払拭

 このデッキの根本部位はコントロール/コンボである。しかしながら過去のグリクシス双子と大きく異なっているのはコンボにその偏重がかかっているという点にある。稲妻や流刑、瞬唱や修復によってコンボを行わずに勝つことも十分に可能であるだろう。しかしながらコンボをデッキに搭載しておくのは、以下の理由により重要だと言える。

  1. アンフェアデッキに対する勝ち筋ー先に述べたように、このデッキはトロンや護符コンなどのアンフェアデッキに対して弱い。そんなデッキ相手にも4Tキルをかけられるのは大きなメリットとなる。
  2. 相手のサイドボードが難しいものとなる。たとえコンボを見せることなく勝利することができたとしても、相手側はコンボを警戒する形でのサイドボードを余儀なくされるため、テンポアドバンテージを獲得しやすくなるというメリットも副次的に発生するのだ。

 そして、このリストの大きな変更に関して、その理由を示していきたいと思う。

前兆の壁+2

 前兆の壁は強いカードであり、白をつかうだけの理由ともなりうる。ゴブリンの先達や野生のナカティルを止めることができ、ヴェリアナの布告からの盾となり、デッキを掘り進め、修復の天使や双子、キキジキの相方となることでその掘り進み方は頭がおかしいレベルへと突入する。これだけを見ると4枚投入もしたくなるが、他に切りたいカードもなかったため、3枚の採用にとどめることとした。

修復の天使+1、キキジキ+1、やっかい児-1

 修復キキジキに重きを置く形とした。このコンボの方が呪文滑りやソウルシスターズ相手では都合がいいと判断したためだ。また修復の天使自体が天界の列柱とともにジャンドへの相性がいいというものもある。

土地+1

 このデッキはミッドレンジ型の土地重めのデッキである。そのため土地は24枚とした方が良いだろう。また天界の列柱はジャンドやグリクシスコントロールといったデッキに対する相性をよくしてくれるために4枚積みが好まれるだろう。

 

 あと変わった点としてはメタゲームによるものが大きい。親和が多くなることが予想されるならば電解と4枚目の流刑への道の採用がなされるだろう。

 サイドボードも考え方の違いを大きく示すこととなった。おおよそ僕は汎用性の高いカード、否認や摩耗//損耗、ヴェンディリオン三人衆といったカードを入れることを、特殊なカード、石のような静寂、安らかなる眠り、血染めの月を入れるよりも好んでいる。おおよそこの手のカードは1枚で相手を黙らせることができるものの、それを入れるだけのスペースが今のモダン環境には用意できないのではないだろうか、という思いがある。ご存知の通り、モダンはメタゲーム上に7%でもデッキがあれば十分だと言われるレベルの環境である。ヘイトカードを詰め込むのは実質不可能と言っても良いだろう。もし護符コンばっかりしかいないだろうと思っているならば血染めの月を入れてもいいだろうが、おおよそメタゲームは汎用性を求めていることだろう。

 その点において、至高の評決は一種の特殊カードと言えるかもしれない。このカードは正直素晴らしいと思っている。Zooやマーフォークや親和だけでなく、ジャンド、アブザンに対してもこのカードは十分な働きをしてくれるのだ。少なくとも2枚はこのカードを採用したいし、このカードはおそらくサイドボードで一番のお気に入りカードと言ってしまっても良いだろう。

サイドボードガイド

コンボ相手

 コンボは残して、相手のデッキタイプ次第ではあるが稲妻や流刑は抜いてしまおう。そして払拭や否認、ヴェンディリオンや摩耗//損耗といったカードを必要に応じて投入するのが良いだろう。

 おおよそ前兆の壁を抜くプレイヤーは多いだろうし、クリーチャー除去が十分な場合には0枚にしてしまっても問題はないかもしれない。

親和相手

 コンボは残せ。そして除去を全て入れろ。差し戻し、払拭、前兆の壁は抜き、替わりに摩耗//損耗、至高の評決、ヴェンディリオンを入れておくのがいい。

赤いデッキ相手

 コンボは残しておくべきだが、キキジキはサイドアウトして良いだろう。差し戻しは後攻では使いにくいカードとなるが、先攻ではむしろ良いカードとなりうる。しかしながらおおよそこのカードはあまり良いものではないために、サイドアウトした方が利口ではあるだろう。機を見た援軍や払拭、呪文滑りは欲しいだろうし、相手がクリーチャー主体ならば至高の評決も良いだろう。またこれによりスペースが足りなくなるのならば修復の天使もサイドアウトしても悪くはない。

アブザン/ジャンド相手

 詐欺師の総督と双子をそれぞれ2枚ずつ抜くべきだが、修復キキジキはそのままでいいだろう。また稲妻はアブザン相手にあまり強いカードではないが、ジャンド相手ならば山峡に対して打つことができるので残しておくべきだろう。また払拭もあまり強いカードとはいえない。

 至高の評決はこのマッチアップにおいても輝くカード足りえ、ケラノスは最良のサイドカードと言えよう。またヴェンディリオンはヴェリアナ対策として先攻なら使えるカードと言える。ただ後攻でも悪いカードではないので、余裕があれば入れるといいだろう。

青いデッキ相手

 とりあえずヴェンディリオンと払拭と否認。そして双子相手でないのならばケラノスも良いカードである。双子相手では少々ケラノスは輝きにくいだろう。

 コンボを決めることはおおよそ不可能ではあるが、何枚か残すことにはなるだろう。修復キキジキはその姿を残すだろうし、総督双子も残さざるを得ない。そして相手がジェイスを使ってこない限り稲妻は死に札となりやすいだろう。前兆の壁は必要ならば抜いても良いだろうが、修復とのシナジーを考慮するならば残しておく方が良いだろう。

Tips

  • 相手は、こちらがコンボを構えているかどうかを把握できていない。いつでもコンボを決めようとしているかのように3マナを立てた状態でターンを返せばその脅威に相手はおびえ続けることとなる。
  • 前兆の壁や瞬唱の魔導士は双子やキキジキの良い標的になりうる。
  • 流刑への道を(主に壁や魔導士に)投げることで土地を確保できることを覚えておこう。
  • 天界の列柱はアクティベート後は確かにキキジキでコピーはできるが、出てくるのは単なるタップイン土地トークンである。意味はないと言っていいだろう。
  • 天界の列柱と修復の天使は思っている以上にクロックとして良質であり、相手のライフはフェッチショックで次々と減っていく。列柱と稲妻だけで相手を削りきることもできるということを覚えておこう。
  • 相手がそのターン中に再度キャストできない呪文は差し戻す価値が大いにある。
  • 相手が赤いデッキであるならば、相手のライフ総量とフェッチランドに注意を配るべきだろう。数枚切ることでライフは一気に減らせるために、機を見た援軍が不発となってしまう可能性もある。
  • 瞬唱をブリンクすることで新たなFBを行えることを覚えておこう。
  • キキジキのRRRマナは思っているより揃えにくい。ゲーム初期から意識した土地のフェッチを行おう。
  • もし土地が多量にあるにもRRRが捻出できないのならば、総督で強引に赤マナを出すこともできることは覚えておいて損はないだろう。

今日の内容は以上だ!またの記事を楽しみにしていてくれ!