MtG訳記た。

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バントエルドラージの使い方(The Complete Guide To Playing Bant Eldrazi by TODD STEVENS)

StarCityGames.com - The Complete Guide To Playing Bant Eldrazi

より。

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 昨今のモダンがインタラクションの薄さから暗闇での殴り合いに例えられるのは否定はしないが、まだフェアデッキは環境に存在している。バントエルドラージがその一つとなる。

 そう、バントエルドラージはフェアデッキなのだ。ウギンの目があった頃のエルドラージとは違い、たしかに2T難題の予見者着地とかはするもののの、かつてのそれほど頻繁にはおこらない。そのために相手の行動を妨害するために呪文滑りや流刑への道、仕組まれた爆薬、変位エルドラージ、作り変えるもの、難題の予見者や希望を溺れさせるものといったカードが用いられることとなった。このデッキ全体としての動きは相手への干渉であり、その意味でこのデッキはモダンに求められているミッドレンジのフェアデッキとなるわけだ。

バントエルドラージ

By Todd Stevens

Creatures

2 Spellskite/呪文滑り
4 Drowner of Hope/希望を溺れさせるもの
4 Eldrazi Displacer/変位エルドラージ
1 Eldrazi Skyspawner/空中生成エルドラージ
4 Matter Reshaper/作り変えるもの
4 Noble Hierarch/貴族の教主
4 Reality Smasher/現実を砕くもの
4 Thought-Knot Seer/難題の予見者
Lands

2 Forest/森
1 Plains/平地
1 Breeding Pool/繁殖池
3 Brushland/低木林地
4 Cavern of Souls/魂の洞窟
4 Eldrazi Temple/エルドラージの寺院
1 Ghost Quarter/幽霊街
1 Hallowed Fountain/神聖なる泉
1 Temple Garden/寺院の庭
4 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
2 Yavimaya Coast/ヤヴィマヤの沿岸
Spells

1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
4 Path to Exile/流刑への道
4 Ancient Stirrings/古きものの活性
Sideboard

2 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
3 Grafdigger's Cage/墓掘りの檻
1 Thragtusk/スラーグ牙
1 World Breaker/世界を壊すもの
2 Stony Silence/石のような静寂
1 Worship/崇拝
2 Blessed Alliance/神聖な協力
1 Negate/否認
2 Stubborn Denial/頑固な否認

  ここにのっている以外にも様々なカードを試してきたが、今はこのリストに落ち着いている。とはいえこの頃見るリストとそれほど変わるものもないだろう。呪文捕らえや反射魔道士、老いたる深海鬼を使うことも試してみたかったが、75枚という枚数がそれを許してはくれなかった。そして墨蛾や他の面倒な土地を割るためのカードとして幽霊街をピン差ししている。

 また、メインデッキには仕組まれた爆薬をピン差ししている。これは様々なデッキに丸く対応するためのカードであり、正直もう1枚足したいくらいである。

 呪文滑りは長い間使ってこなかったカードであり、実際あんまり高評価はしていない。ものだった……とはいえ少し評価は変化してきた。2マナで何もしないこともあるのだが、輝くときには本当に強いカードとなる。また、そうではないマッチアップにおいても深海鬼を現出するためのコストとして使うこともできるということに気づいてからこのカードはデッキを離れなくなったのである。

 そしてメインデッキに呪文滑りを入れるメリットはサイドボードにもスロットを用意できるというところにもある。そのおかげで世界を壊すものだけでなく、スラーグ牙も入れることができるようになったのだ。そして空中生成エルドラージと作り変えるものについては様々な意見があるだろうが、作り変えるもののほうがキャストのしやすさや場での強さを考慮しベターであると考え、フル投入することとした。

 神聖な協力はInvitationalで見かけた画期的なカードであり、このカードに一目惚れした。サイドボードにぴったりの丸いカードであり、メイン戦では対応できないような相手に対し非常に効果的に働いてくれるのである。また、崇拝はこのデッキにおける最良のカードの1枚であり、これを置くだけで勝つことができるようなマッチアップも存在しているのである。そして相手にそれを決められても、こちらには変位予見者によるLO戦略も依然として存在はしているのである。

 このガイドにおいて、20のマッチアップにおけるサイドボード方法を載せた。ほぼすべてのデッキに対応できることだろう。

サイドボードガイド

親和

In 仕組まれた爆薬2 石のような静寂2 神聖な協力1 崇拝1

Out 呪文滑り2 現実を砕くもの2 作り変えるもの1 難題の予見者1

 親和はメイン戦は厳しいものとなるが勝てないというわけでもない。メインから投入している爆薬や希望を溺れさせるものの変位エルドラージによるブリンクを使って耐え忍ぶことによってなんとかすることもできるだろう。サイド後は石のような静寂がぶっ刺さるものとなる。とはいえ爆薬で一緒に吹き飛ぶこともあることは覚えておきたい。現実を砕くものはフィニッシャーとしての役割がほしいので数枚残すものとしている。また神聖な協力はそこまで強いわけでもないが4ライフと布告能力はそれでも強力となる。呪文滑りで荒廃者の能力をすべらせるのは確かに強いものとなるがそもそも石のような静寂を使っているがためにその能力は無意味なものになる可能性が高いといえよう。

感染

In 神聖な協力2 仕組まれた爆薬2

Out 現実を砕くもの4

 神聖な協力と呪文滑りによってこのマッチアップは不利なものから勝てうるものへと変化することとなる……とはいえ不利なことには変わりないが。現実を砕くものがなくとも耐えているだけでこのマッチアップは勝てるためこのカードは必要ない。希望変位ループはこのマッチアップでも役立つものとなり、相手を疲弊させることができるのだ。

ジャンド

In 世界を壊すもの1 スラーグ牙1 仕組まれた爆薬2

Out 呪文滑り2 変位エルドラージ1 貴族の教主1 

  上2つよりはまし……どころか正直当たりたいレベルのデッキである。メインに呪文滑りを入れておいたことによってサイドから切り札を2枚投入できることとなる。スラーグ牙も世界を壊すものもこのマッチアップにおける最強のカードとなる。仕組まれた爆薬もまた、タルモゴイフや闇の腹心、漁る軟泥、さらに残忍な剥ぎ取りも破壊することができる万能カードとなる。またこちらの天敵となるヴェールのリリアナへの自然な解答ともなる。またこのマッチアップでは変位エルドラージと貴族の教主が稲妻に弱い、長期戦で弱いという理由で抜けることとなる。作り変えるものが対ジャンドにおいて輝くカードとなるという点で空中生成エルドラージより作り変えるもののほうが好きなのである。

ドレッジ

In 墓掘りの檻3 崇拝1 スラーグ牙1 頑固な否認1

Out 呪文滑り2 仕組まれた爆薬1 難題の予見者2 現実を砕くもの1 

 ぶっちゃけ、ドレッジはバントエルドラージが有利を取れるデッキである。変位希望コンボによって相手のアタックをシャットアウトすることができるようになる。墓掘りの檻をサイドからいれ、古きものの活性から探し出すことができるために、古えの遺恨や突然の衰微対策もバッチリとなることとなる。スラーグ牙と変位エルドラージを組み合わせる事によってドレッジ側から勝利の2文字を奪うことができるようになるのだ。頑固な否認が入る理由が不可解に見えるかもしれないが、こちらのライフや盤面を掃除してくる檻がない状態での燃焼のフラッシュバック対策として入れているのである。

ジェスカイコントロール

In 世界を壊すもの1 スラーグ牙1 頑固な否認2 否認1 墓掘りの檻2

Out 流刑への道4 仕組まれた爆薬1 呪文滑り2 

  これはおそらく最高のマッチアップである。というのも相手の打ち消しがこちらの魂の洞窟によって完全にストップすることとなり、打ち消し不可の難題の予見者によって相手の手札をずたずたにすることができるのだ。相手の必要なカードだけをピンポイントで落とし続けることとなる。そしてここでOutになるカードはメインで役立たないカードとなる。といってもサイドインするカードも特にないがために墓掘りの檻が2枚サイドインされることとなった。このマッチアップで役立つほどでもないが、それでも瞬唱を止められるのは大きい。そして引かなかったならなお大きい。全体除去を警戒して展開し過ぎないようにはしておきたい。

バントエルドラージ

In 神聖な協力2 世界を壊すもの1 崇拝1

Out 仕組まれた爆薬1 呪文滑り2 空中生成エルドラージ1

 ミラーマッチは面倒なものとなる。とはいえよりよいサイドボード方法を思いついたから楽にはなった。神聖な協力はこのマッチアップにおけるキーカードとなる。どのモードもうまく咬み合っており、相手のデカブツ相手にアンタップ効果でブロッカーを生成したり、現実を砕くもの単騎アタックに対して撃つことで手札消費なく処理を行うことができたりするのである。相手の崇拝に関してはこのデッキに於いては世界を壊すものを使い除去できるものの、とても遅い消耗戦となる可能性が高い。早ければ早いほうが都合がいいために、作り変えるものをうまく使って土地を伸ばしたりアドバンテージを稼いだりしていこう。

ナヤバーン

In 神聖な協力2 スラーグ牙1 否認1 頑固な否認2

Out 現実を砕くもの3 変位エルドラージ2 希望を溺れさせるもの

 この戦いはどっちにしても一方的な戦いになる。難題の予見者によって大歓楽の幻霊を手札から引っこ抜くことができ、予見者の対処にも2枚の消費を強いることができる。しかしながら現実を砕くものは遅すぎる上消耗戦にもちこむことができないために抜けることとなる。とはいえ1枚あればそれでゲームを決めることもできるので、1枚だけ残っている。変位エルドラージについては簡単に処理されてしまうものの、後半になれば希望を溺れさせるものやスラーグ牙をブリンクすることで耐えることができるようになる。というわけで遅い手札はどんどんマリガンしていくべきだろう。

赤緑トロン

In 石のような静寂2 頑固な否認2 否認1

Out 仕組まれた爆薬1 呪文滑り2 流刑への道2

 このマッチアップもまた、相手に脅威への対処を強いる点で強く立ちまわることができる。警戒すべきは忘却石ではあるが石のような静寂で実質タダの置物にすることができる上難題の予見者によって手札はズタズタとなるのである。とはいえ流刑への道は2枚程度しかサイドアウトせず、ワムコ、世界を壊すもの、ウラモグを対処できるようにしておきたいのだ。ちなみにこちらの世界を壊すものは遅すぎるので使おうとは思わない。

グリクシスデルバー

In 神聖な協力2 仕組まれた爆薬1

Out 呪文滑り2 変位エルドラージ1

 完璧に有利なマッチアップである。序盤のデルバーだけは警戒すべきカードとなる。そのため対アグロのようなサイドボードをしているのだ。仕組まれた爆薬はデルバーにもトークンにも有効となる。呪文滑りはコラガンの命令に対してとても弱いカードであるため抜けることとなる。ちなみに相手がコントロール型のデッキとなった時にはそれに合わせた構築をし直すこととなる。

グリクシスコントロール

In 頑固な否認2 否認1 世界を壊すもの1 スラーグ牙1

Out 呪文滑り2 流刑への道2 変位エルドラージ1 

 このマッチアップはよりこちら有利なものとなる。相手の動きはデルバーの時より遅くなるため処しやすいのだ。ヴェリアナとラスアナの2種類にだけ警戒すればいいようになる。仕組まれた爆薬はその手のPWに対応したものであり、変位エルドラージは稲妻に弱いため優先度が落ちることとなる。

SCZ

In 仕組まれた爆薬2 崇拝1 神聖な協力2 頑固な否認1

Out 空中生成エルドラージ1 現実を砕くもの4 希望を溺れさせるもの1

 このマッチアップは難しいものではあるが一応こちら有利なものとなる。ティムールの激闘をめぐるマッチアップとなるわけだが難題の予見者はだいたいすべての回答となる。Zooプランはそもそもこのデッキに対して弱い戦法となり、コンボプランは神聖な協力などによって破壊されることとなる。 また、相手のクリーチャーをうまくサクらせるためにわざとダメージ後に神聖な協力を撃つこともあるのは覚えておいていいだろう。

マーフォーク

In 仕組まれた爆薬2 崇拝1

Out 呪文滑り2 作り変えるもの1

 マーフォークは若干不利なマッチアップであり、そのすべてを仕組まれた爆薬に頼ることとなる。このデッキに入っているカードは軽く、強く、一瞬のうちに攻めてくるのである。そのため仕組まれた爆薬を必死こいて探しに行くべきである。崇拝も強いとは言いがたいがあって損はしないといえる。

赤緑ブリーチトラップ/赤緑スケープシフト

In 頑固な否認2 否認1

Out 呪文滑り2 仕組まれた爆薬1

 もう一つのこのデッキが苦手とするマッチアップである。ヴァラクートの動きはこちらが干渉できないものであり、難題の予見者で強引に対処するしかない。とはいえ勝てないものではないが、おおよそ手札の質は相手のもののほうが上となる。

キキコード/アブザンカンパニー/エルフ

In 墓掘りの檻3 仕組まれた爆薬2

Out 呪文滑り2 作り変えるもの1 現実を砕くもの2

 これらのデッキの動きは全く別の物では有るのだが、これらの共通の動きとして召喚の調べがある、そしてこれを主軸としているという点でこちらの取るサイドボードはほぼ同様なものとなる。正直このマッチアップは両者ともに避けたいと考えているものとなる。とはいえ墓掘りの檻はこのマッチアップで非常に役立つものとなり、さらに言えばナヒリ型から異界の進化型に変化したのがこちらにとって都合がいいものとなる。

むかつき

In 石のような静寂2 頑固な否認2 否認1 仕組まれた爆薬2

Out 流刑への道4 呪文滑り2 希望を溺れさせるもの1

 このマッチアップは正直こちら有利なものとなる。負ける要素がどんどんなくなっていくのだから。難題の予見者が最高のカードとして役立ち、現実を砕くものでフタをすることも容易である。サイド後は更にその傾向が高まり、石のような静寂と打ち消しで相手の動きはどんどん遅くなっていくのである。仕組まれた爆薬も強いカードではないものの今あるカードの中ではマシではあるのでこのまま残っている。

呪禁オーラ

In 仕組まれた爆薬2 神聖な協力2 崇拝1

Out 流刑への道2 現実を砕くもの1 希望を溺れさせるもの2

 呪禁オーラはこのデッキのお客様である。呪文滑りや仕組まれた爆薬でメインから相手に対応できる上にサイド後には神聖な協力まで加わることとなる。そして再度の話にはなるがダメージ後に神聖な協力を撃つことで相手のオーラ持ちをうまく桜せることができる。また、流刑への道を抜ききってしまうのはコーの精霊の踊り手への解答を失ってしまうこととなるためやってはならず、崇拝と難題の予見者・変位エルドラージをうまく使うことでこちらの守りは完璧なものになるだろう。

死せる生

In 頑固な否認2 否認1 スラーグ牙1

Out 呪文滑り2 仕組まれた爆薬1 空中生成エルドラージ1

 正直、不利。墓掘りの檻が通用しない墓地利用デッキだからだ。死せる生を警戒し、盤面を作り過ぎないことに注意すべきである。1回めの死せる生まで基本的には単騎特攻を決めておくのがベターであり、その後にはこちらのクリーチャーのほうが相手のそれにまさることになるだろう。また、サイド後の打ち消しも効果的となる。

 

(訳註:Comments from Last Weekについてはスタンダードの話であるため省略しました。)

 僕はバントエルドラージをSCGINDYで初めて使い、今まで使ってこなかったことを後悔していた。モダンの多岐に渡るデッキを次々と変えていくのは結局デッキへの理解不足となり、勝利への道をなくすこととなる。次週のSCGORLではこのバントエルドラージを使いたいと思っている。