バントエルドラージの作り方(Building Bant Eldrazi By Pascal Maynard)
より。
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IndianapolisにおいてLAでTop8に入ったデッキを使えることを心から喜んでいた。貴族の教主や仕組まれた爆薬を探す人が多く見つかっていたし、Steve RubinやBBDといった有名プレイヤーがInvitationalで使っていたことを鑑みて、バントエルドラージがトップメタになると予想していた。
結果としてプロポイントは手に入れることはできたものの、思ったほどの成績を上げることはできなかった。とはいえ、一つわかったことがあった。バントエルドラージは新時代のジャンドであるということだ。どのマッチアップにおいても51:49という相性差をもっている、という点においてである。どのようなマッチアップも落としうるし、どのようなマッチアップにおいても勝利を獲得することができるのである。このデッキの強い動きをきちんと取ることができればどんなデッキも一捻りとなる。さらに言えばジャンドと同様に血染めの月が苦手ではあるもののドレッジに対する黒力線のような完封カードにはならない。ジャンドと動きこそ異なっているが、エルドラージの動き自体は緑黒系のデッキが取る動きと同様なものとなるわけだ。
この結論は様々な人からの質問に答える中で得られるものとなった。「有利なマッチアップは何ですか?」という質問に対し、「有利とも不利とも言いがたい、ただサイド後は微有利」という解答をしていく中で得られたのだ。そしてGPにおいて、僕はバーンに2敗することとなった。正直最初は有利だと大持っていたにもかかわらず。ちょっとしたことでマッチアップの有利不利は入れ替わってしまうのである。
緑黒系の戦術と言うのはデッキビルドレベルから様々な選択肢が与えられることとなる。つまり、メタゲームにあわせて様々な構築をすることができるのだ。そしてバントエルドラージも枚数こそ15枚前後と少ないものの調整することができる範囲が存在する。
メインデッキについて
4 変位エルドラージ
4 貴族の教主
4 現実を砕くもの
4 難題の予見者
3 希望を溺れさせるもの
1 極楽鳥
4 古きものの活性
4 流刑への道
以上のカードは絶対に動かさないほうがいいだろう。これらの枚数を減らすとなるとそもそもこのデッキのメリットを失うということに等しいように思った。さらに言えば本来は希望を溺れさせるものも4枚確定枠だと思っているが、フェアデッキが少ないようならば3枚で構わないように思っている。
そして残りの8枚のフリースロットには以下のカードを候補としてあげられる。
呪文滑り 仕組まれた爆薬 四肢切断 作り変えるもの 空中生成エルドラージ
作り変えるものや空中生成エルドラージは3マナ域を争うカードとなる。この選択についてはどのような使い方をするかを考える必要がある。作り変えるものは相手と積極的に交換を取っていくカードとなるし、除去に対しても効果的なカードとなる。フェアデッキが増えれば増えるほど強いカードとなる。
一方で空中生成エルドラージは感染や親和に対してのブロッカーを用意することができる上、現実を砕くものや希望を溺れさせるものを早期ターンにキャストできるようになる。クリーチャーに関与してこないようなコンボデッキなどに対して強いカードとなるわけだ。どちらも3マナ3/2として運用できるカードではあるものの、空中生成エルドラージについてはマナを生み出すことができるメリット能力持ちとなるわけだ。
とは言えこのデッキ、実は空中生成エルドラージを安定してキャストすることは難しい。というのも青マナ源が非常に少ないのだ。例えば次のカードを含むハンドを考えてみよう。
エルドラージの寺院 吹きさらしの荒野 空中生成エルドラージ 流刑への道 貴族の教主
このようなハンドの時吹きさらしの荒野は貴族の教主と流刑への道、そしていずれ引く可能性がある変位エルドラージのために寺院の庭をフェッチしてくることになるだろう。となると貴族の教主が死んだ瞬間空中生成エルドラージはキャストすることが不可能となる。逆に繁殖池を持ってくるとなると逆に白いカードが唱えられなくなる可能性が高くなる。というわけで全くおすすめはしないが青をデッキから切るという選択肢を取る人もいなくはないだろう。その場合には幽霊街が追加の選択肢となる。
呪文滑りや仕組まれた爆薬、四肢切断といったカードは3マナ域の枚数にもよることとなる。3マナ域の充足は確かに強い動きの補助とはなるがそこまで推したいものでもない。
呪文滑りは1G目においての強さがあるために採用しやすいカードとなる。感染や呪禁オーラ、SCZといったデッキへのアンチカードとなってくれる上に、自身のクリーチャーを守る盾として変位エルドラージとともに活躍してくれることとなる。
仕組まれた爆薬はこの頃枚数こそ減っているが、SCZの隆盛を鑑みるならば採用圏内となる。とはいえアグロデッキのくせにとても受け身な動きしか取れなくなるためにあまり好みとはいえない。エルフやマーフォークが多そうなのならば2枚とってもいいが、1枚で十分だといえよう。
四肢切断は素晴らしいカードだ。このようなアグロデッキと相性が良いカードとなる。……といっても遅いゲームになることも往々にあるこのデッキにおいては完璧といえるわけではないため、1枚に採用はとどめておきたい。
マナ基盤
4 エルドラージの寺院
4 吹きさらしの荒野
3 魂の洞窟
3 ヤヴィマヤの沿岸
3 低木林地
1 寺院の庭
1 繁殖池
1 森
1 平地
ここまでが必須枠となり、残りは3枠となる。森の2枚目は一番わかり易い選択肢となり、流刑への道や幽霊街への回答とできることとなる。変位エルドラージと希望を溺れさせるものコンボによって土地は十分に使い切ることができるのであまり気にする必要はない。空中生成エルドラージを使うのならば森の代わりにヤヴィマヤの沿岸か魂の洞窟を追加することになるだろう。
魂の洞窟4枚め……このカードは今までは切ることがなかったカードではあった。しかし打ち消し呪文の少なさを鑑みるにその必要は少なくていいように感じた。というわけで今は神聖なる泉を入れて色マナを安定させることとした。作り変えるものとは確かに相性が悪いが、幽霊街も入れておきたかったのである。
今回空中生成エルドラージを使わないレシピを使っていたのだが、その時のマナ基盤配下のようになる。これはジェスカイ・グリクシスといった打ち消しをもつデッキが少なくなっている時には有用となるだろう。
4 エルドラージの寺院
4 吹きさらしの荒野
3 魂の洞窟
3 ヤヴィマヤの沿岸
3 低木林地
1 寺院の庭
1 神聖なる泉
1 繁殖池
2 森
1 平地
1 幽霊街
サイドボード
メタゲームに左右される部分はあるがまずはこの11枚が入ることとなる。
3 墓掘りの檻
3 仕組まれた爆薬
3 頑固な否認
2 石のような静寂
そして残りの4枚についてだが……選択肢は無限大となる。1枚1枚について詳しく思考を巡らせたこともなく、モダンの環境が今後どのように変わっていくかについてもはっきりとしたことが言えないが、一応備忘録も兼ねてカードを並べておこう。
- 四肢切断ーキキコードやミラーマッチにおいて使い勝手がいい。
- 崇拝ーこのカードの強さは完全に評価はできていないが、ミラーマッチにおける切り札として使っていた。……が、引き分けメーカーとなってしまうこともあった。崇拝を使う際には大量のトークンを対処する方法を準備しておく必要がある。とは言えZooや呪禁オーラといったこちらのエンチャントに触れないようなデッキ相手になると強力になるだろう。
- 永遠の証人ーミラーマッチにおける切り札ともなりうる。変位エルドラージと流刑への道と組み合わせることによって永遠の流刑を相手に与えることができるようになる。フェアデッキ相手の呪文滑りのようなカードとして動かすこともできるのである。
- 神聖な協力ー個人的には好みなカードではないが、呪禁オーラや感染、SCZやバーンに対して効果的なカードではある。とはいえ、相手のデッキをきちんと理解していれば切り札といえるほどではないことにも気づけるだろう。
- 否認ー4枚目の頑固な否認と悩むことにもなるが、否認のほうが勝手が良いと思っている。ジェスカイやグリクシスといったデッキに対してきちんと対応できるカードが有るのは強い。
- 世界を壊すものーグリクシスのような追放手段のないデッキや、ランタンコントロールに対して有用となる。唐突に墓地から回収され、罠の橋を割ってくれるのだ。
- 虚空の杯ーこのカードについてはプレイしてはいないが、1T目にプレイできない点、このデッキも1マナ呪文を採用しているという点からあまり有用とは言いがたい。
- 悲劇的な傲慢ーSethからミラーマッチや部族対策に有用だと聞いて使ってみた。ミラーマッチにおいて1度引き、キャストする前に死ぬという結果に終わってしまったが……これに代表されるように、ミラーマッチでの切り札というものは使う機会がそこまで多いとはいえないために厄介となる。この手のカードは入れすぎてしまうと結局キャストできることなく死んでしまうことも少なくはない。これが良いカードとは言い切れないが、盤面が膠着している時に引いてみたいカードではあるといえよう。
- 安らかなる眠りー死せる生が多いようなら使うべきだろう。
というわけでこんなリストをすすめる。
Lands
2 Forest/森
1 Plains/平地
4 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
4 Eldrazi Temple/エルドラージの寺院
3 Cavern of Souls/魂の洞窟
3 Yavimaya Coast/ヤヴィマヤの沿岸
3 Brushland/低木林地
1 Ghost Quarter/幽霊街
1 Hallowed Fountain/神聖なる泉
1 Breeding Pool/繁殖池
1 Temple Garden/寺院の庭
Creatures
4 Noble Hierarch/貴族の教主
4 Eldrazi Displacer/変位エルドラージ
4 Matter Reshaper/作り変えるもの
4 Thought-Knot Seer/難題の予見者
4 Reality Smasher/現実を砕くもの
4 Drowner of Hope/希望を溺れさせるもの
2 Spellskite/呪文滑り
1 Birds of Paradise/極楽鳥
Spells
4 Ancient Stirrings/古きものの活性
1 Dismember/四肢切断
4 Path to Exile/流刑への道
Sideboard
3 Grafdigger's Cage/墓掘りの檻
3 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
3 Stubborn Denial/頑固な否認
2 Stony Silence/石のような静寂
1 Tragic Arrogance/悲劇的な傲慢
1 Worship/崇拝
1 Negate/否認
1 Eternal Witness/永遠の証人