MtG訳記た。

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Dallasでトップ4になったトリコロールコントロールの話(Jeskai Control in Dallas *Top 4* By Alex Mitas )

» Jeskai Control in Dallas *Top 4*

より。

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 油にやられたエルフや、迫り来る死の影……土地を呼び起こす巨人や現実を砕いてくる強大なエルドラージ、そしてゲートウォッチ最年長のおb……ヴェールの使い手。

 これらのカードの多様性はモダンにおける防御的なデッキの存在の否定にも見えるかもしれない。

 しかしながら、実際にそんなことはない。モダンにおいて自分の身を守りきることはそう難しくない、それは僕自身が証明となっているのだ。GPDallasにおいて僕はTop4となったのだ。相手のカード全てを蹴散らし、エレメンタルとしての力をももつ強大な空飛ぶ土地の力を借りながら。

 トリコロールコントロール

 Alex Mitas, 4th place at Grand Prix Dallas Fort Worth

Lands
3 天界の列柱/Celestial Colonnade
4 溢れかえる岸辺/Flooded Strand
1 幽霊街/Ghost Quarter
2 氷河の城砦/Glacial Fortress
2 神聖なる泉/Hallowed Fountain
1 聖なる鋳造所/Sacred Foundry
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
1 蒸気孔/Steam Vents
3 硫黄の滝/Sulfur Falls
3 島/Island
1 平地/Plains
Creatures
3 瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage
1 奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk
Spells
1 復讐のアジャニ/Ajani Vengeant
2 稲妻/Lightning Bolt
4 流刑への道/Path to Exile
4 血清の幻視/Serum Visions
1 稲妻のらせん/Lightning Helix
3 論理の結び目/Logic Knot
1 マナ漏出/Mana Leak
1 否認/Negate
3 熟慮/Think Twice
2 電解/Electrolyze
2 スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation
4 謎めいた命令/Cryptic Command
3 至高の評決/Supreme Verdict

??「しかしAlexや、こんなデッキ本当にモダンで生きていけるのかい?啓示なんて間に合わなくて手札で腐るのをみて文句をいうだけなんじゃないか?」

 おや、誰かが質問してきたよ。とはいえこの質問は想定済みだ。

 モダンは確かに後半戦も強いトロンや対応しづらいコンボデッキであるむかつきのようなこちらの動きを無に返すようなデッキが存在こそしているが、しかしそのようなデッキは感染やSCZといった超高速アグロの存在によってその存在率を大きく下げることとなっている。となってくるとそのような一本筋デッキに対して強いコントロールが隆盛するのもわかってくれるのではないだろうか?

カードの採用枚数に関して

 感染が強大化を4枚積んでいたり、黒いデッキがタシグルを複数枚積んでいたりするのはとても普通のことである。とするならばそのようなデッキよりも更に軽量除去にすぐれ、かつキャントリップやフェッチランドでどんどん墓地が溜まっていくこのデッキで探査呪文を使わない理由など存在しないだろう。実際に論理の結び目は実質的な対抗呪文になってくれる上、マナ漏出よりもよっぽど流刑への道との相性も良いといえる。

 流刑への道は追放という点と除去できる相手が多いという点で優れている。確かに余計な土地も与えてしまうかもしれないが、その土地を有効活用できるデッキは今モダンにお世辞にも多いとは言い難いだろう。

 次に稲妻は確かに効果的なカードではあるのだが、切り札に対しては無能であることも多く、対戦相手に投げつける火力としての運用はこのデッキでは一切考えていない。というのもこのデッキでの勝利にはどう少なく見積もっても12Tはかかると思っているためであり、それに対する稲妻のダメージ効率が相当に悪いのである。そしてだからこそ、3枚目の稲妻よりライフゲインができる稲妻のらせんを優先してデッキに入れている。もちろんこれはあとで瞬唱の魔道士で使いまわす選択肢を増やすとともに、バーン対策もかねようとしているわけである。この1枚だけで勝敗が分かれることも十分にあると言えよう。

 そしてもしできたならば、電解をもう1枚デッキに採用したかった。クリーチャー除去としても、単なるキャントリップとしても使えるこのカードはとても有用性のあるカードではある。しかしながらこの3マナというコストは相当に重く、またその重さを許容するスロットはこのデッキには存在していなかったのである。

 謎めいた命令は青いデッキが多い世界においてはその重さも相まって最悪のカードといえるだろう。しかしながら今のモダンの世界においては青いデッキの数など殆ど無いといってしまっていいだろう。このカードはコントロールが欲しているすべてのことを成し遂げてくれるのだ。打ち消しをしながらカードアドバンテージを稼ぎ、面倒なパーマネントを場からどかし、クリーチャーデッキには時間稼ぎとしての運用もできる。4枚積まない理由はないと思っている。

 しかしながら、やはりこのフォーマットはとても速く、熟慮やスフィンクスの啓示を打つようなタイミングがないのかなとも思っていた。しかしながら実際は相手の脅威をしっかりと処理し続けることによってそれを打つだけの時間を作ることができるのだ。そして一度アドバンテージを獲得できればそのまま押し切ることもできるのである。

 熟慮、啓示はそれぞれモダンを代表するドローソースであり、かつこのデッキには無くてはならないカードなのだ。

??「で、青巨人のために瞬唱を1枚削ったのは?おしゃれ?」 

  実を言うと僕は奔流の機械巨人がこの世に姿をあらわすずっと前から瞬唱は3枚にしていたのである。確かにこの瞬唱のもつ能力は素晴らしいものではあるのだが、FBコストも考慮すると相応重いカードとなり、序盤に引きすぎてしまえばそれだけで死んでしまう可能性もある。更にいえばこのデッキにおける墓地は論理の結び目や熟慮のためにそこまで余裕があるわけではなく、瞬唱をフル活用するには墓地の枚数が少なすぎるのである。

 そして奔流の機械巨人はどちらかというならばインスタントタイミングで出てくるフィニッシャーといえる。コンボデッキやヴァラクートといったデッキに対してこのようなワンパンチが重いカードを入れておくのは対戦相手を速やかに殺すためにとても重要になると言えよう。

 最後に、復讐のアジャニはおおよそ置き稲妻のらせんとして活用しているが、除去コンに対して勝ち札がなくならないように、という勝ち筋の保険も兼ねている。

デッキの変化とドレッジ対策

 確かに僕はこのデッキが好きなのだが、トロンとランタンコントロールのことを考えると機を見た援軍とイゼットの静電術師を石のような静寂に変える、といった選択が必要ではないかと思っている。

 そしてさらに言うと、このデッキはドレッジとの相性が最悪だ。最初は実質じゃんけんかもしれないが最後にはこちらが印籠を見せつけられることとなる。安らかなる眠りを4枚突っ込んでも勝つことができなかったレベルである。故にこのデッキを使う上でドレッジ対策もしたいときにはマナベースを見直して至高の評決を神々の憤怒に変えた上でサイドボードに外科的摘出を入れておくことが重要だろう。

 そしてこれは度々言われていることだが、たかが1つのデッキ対策のために枠を割き過ぎてデッキ自体の地力を落としてしまう必要はない。ドレッジは確かにMOでは数が多いが実際の紙マジックではそこまで多くもない。しかもそれでもMOでのシェアは8%程度しかないのである。

 そしてドレッジは別としておおよそすべてのTier1,2デッキはトリコロールの餌であり、だからこそ僕はドレッジを無視することとしたのだ。全てのデッキの対策をスルことは不可能だからだ。

??「ほう、素晴らしいなAlex、君は天才だ」 

 いやいや、どうもありがとう。

??「じゃ、僕氷雪赤単組むね」 

 おおう……。

 あ、もしこのデッキを使いたいという人がいるのならば、後でまた詳しいサイドボードガイドを出すから楽しみにしていてね!