MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

モダンのエルフの使い方(Modern Elves Deck Guide By Eric Froehlich)

» Modern Elves Deck Guide

より。

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 モダンにおけるエルフは別に無限コンボなどは持ち合わせていないし、少なくともループコンボも持ち合わせていないといっていいだろう。雲石の工芸品を用いてエルフを出し入れすることで無限マナを作り出すアーキタイプも存在はしているが、カード選択の難しさからもあまり使われることはない。むしろモダンのエルフは莫大なマナを生成しそのマナから繰り出されるクリーチャーによってゲームを終わらせようとするのだ。

  そしてこのデッキを運用する上で重要となってくるのはエルフと非エルフをいかにうまく使い分けるかというものになる。多くのプレイヤーはこれまで集合した中隊を使っていただろう。スタンダードでもモダンでも活躍しているこのカードはもちろんエルフでも強力である。インスタントタイミングでデッキを掘り下げ、脅威を場に一気に送り出してくれるのである。もちろんエルフたちはマナを生むだけでなくそのマナでパンプしてきたり、カードを引いたり、時には再生もしてきたりする。そのようなエルフたちをインスタントタイミングで引っ張ってこれるのはとても有用といえよう。

 そういう視点からみると召喚の調べは更に強力になり得るカードとなる。オーバーキルとなってしまうコンボも多くあるものの、そのパズルをうまく解き切ることができればゲームは一瞬で終わらせてしまえるのである。召喚の調べはマナ生成器にも、ドロースペルにも、そしてフィニッシャーにも成り得、かつ全体除去を持っていない相手に対しては切り札ともなってくれるのである。しかしながらジャンドのような除去コンに対しては召集がうまく働かなくなってしまうだろう。良いカードではあるが、盤面に干渉できないため何枚でも引きたいというカードではなくなってくる。

 このデッキにのクリーチャーの量を考えれば生成マナ量を爆発的に増やしたいと思うのは当然のことだろう。ラノワールのエルフとエルフの神秘家は機能的には同じであり、両方を4積みしない理由はない。土地が少なくてもキープできるようになる強みもあるし、3T目に集合した中隊を唱えられる可能性があるとなると相手の行動もだいぶ阻害することができるからだ。

 遺産のドルイドはこのクリーチャーばらまきデッキに置いて真価を発揮することとなる。このドルイドはマナエルフたちに実質的な速攻をもたせることができ、その気になれば2T目にカンパニーを使い、でてきたクリーチャーたちを使ってもう一度カンパニーを打つなんていうふざけた動きを取ることもできるようになる。そうすれば相手のライフは一瞬で吹き飛ぶといっていいだろう。

 イラクサの歩哨はこのデッキにおける重要性が非常に高いカードとなる。遺産のドルイドとの相性は抜群である。マナを生み出すために何度も何度もタップすることができ、場に2匹並んでいればエルフを場に出すたびに3マナを生み出すことができるようになる。このデッキのクリーチャーはおおよそ1マナのものであるために、一気にマナプールが増加することとなり、そこから撃たれるカンパニーや召喚の調べで更に盤面の脅威、生み出せるマナは増加することとなる。盤面の完成形を想像することができれば、勝ちはすぐそこになるだろう。

 エルフの幻想家はこのデッキでとても価値のあるカードの一つだ。カンパニーや調べを引きながらそのマナコストを満たすことができ、いつ引いても損することがないカードである。ワイアウッドの共生虫がいないために再利用することこそできないが、それでも強力なカードとアンル。

 その代わりになってくれるのがドゥイネンの精鋭となる。遺産のドルイドと召喚の調べのおかげで2T目に2匹のエルフを作り出すのは用意となる。実質2マナパワー3のクリーチャーを場に出せるのはとても強力な動きとなる。

 そして自然の秩序があるレガシーとはちがい、このデッキのフィニッシャーは孔蹄のビヒモスではなく、エルフの大ドルイドとなることが多い。このカード1枚だけで、おおよそ6マナは出すkとができるし、またロードとしての役割も十分に果たすことができる。確かにモダンの主要な除去にはすべて引っかかるものの、カンパニーや調べを用い、必要なタイミングでだせばそれほど問題となることもないだろう。またもし相手が除去を持っていないならばこのカードを2T目に叩きつけることで3T目に勝てることも有ると行っていいだろう。このドブンまわりがあったからこそ、エルフはエルドラージの冬にもその勢力を保つことができたといっても過言ではない。

 そしてもう一つのフィニッシャーが、背教の主導者、エズーリとなる。エズーリはこちらの戦線を再生で保持することができるし、オーバーラン能力を何度も起動することで自軍のエルフをパワー馬鹿にすることができる。これを使えばおおよそゲームは終わるだろうし、たとえ大きなエルドラージ相手にでも再生とオーバーランをうまく使うことができれば一方的な交換も可能となるのだ。

 そして召喚の調べと集合した中隊をみると殆どの人が考えつくこととして、シルバーバレット戦略が有るだろう。例えば呪文滑りは呪禁オーラや感染といったデッキに対して出さえすえばゲームを掌握できるほどの力をもっている。

 また、永遠の証人もこのデッキにおける強カードである。召喚の調べを使いまわし、かつ2/1のマナクリが登場してくるのである。カンパニーから出てきても手札から出てきても十分に仕事をしてくれるこのカードはこのデッキに採用する価値があるといえよう。

 再利用の賢者は頭蓋囲いやファイレクシアの非生といったエンチャント、アーティファクトを、漁る軟泥は瞬唱や御霊の復讐、ドレッジなどの墓地を対策してくれるカードとして八面六臂の活躍をしてくれることとなるだろう。

 そして、土地についても、有利を取ることができるポイントがいくつか有る。例えば魂の洞窟によって多くの青いデッキは沈黙することとなるだろう。たとえ召喚の調べやカンパニーを打ち消すことができたとしても、その頃にはクリーチャーたちによって盤面が形成されてしまっているのだ。また呪文嵌めも実質的な死に札にできるのはとても大きい。

 また、メインボードにこそ白いカードは取っていないが、サイドから様々なカードを入れられるように剃刀境の茂みを投入している。クリーチャーだけで十分にマナを出せるこのデッキではこのカードがタップインすることは殆ど無いと行ってもいい。またライフにそれほどプレッシャーをかけてこない相手には地平線の梢が有用な札となる。バーンや親和に対してこそ弱い土地ではあるが、そうでさえなければマナフラッドをドローに変換してくれるのはとても大きな意味をもつ。

 また、ニクスの祭殿、ニクソスを使うことでエズーリの能力を最大限に活かすことができるようになる。ペンテルヘイヴンも、1枚だけならば血染めの月が置かれないかぎり1/1の弱小クリーチャーたちを2/3の中堅クリーチャーに変貌させることができるようになり、そのパワーを用いて相手をひねりつぶすこともそう難しくはないのだ。

Elves

Liam Lonergan, 1st Place at Invitational

Lands
5 Forest/森
4 Cavern of Souls/魂の洞窟
3 Horizon Canopy/地平線の梢
4 Razorverge Thicket/剃刀境の茂み
1 Nykthos, Shrine to Nyx/ニクスの神殿、ニクソス
1 Pendelhaven/ペンテルヘイヴン
Creatures
1 Spellskite/呪文滑り
4 Dwynen's Elite/ドゥイネンの精鋭
4 Elvish Archdruid/エルフの大ドルイド
4 Elvish Mystic/エルフの神秘家
3 Elvish Visionary/エルフの幻想家
1 Eternal Witness/永遠の証人
4 Heritage Druid/遺産のドルイド
4 Llanowar Elves/ラノワールのエルフ
4 Nettle Sentinel/イラクサの歩哨
1 Reclamation Sage/再利用の賢者
1 Scavenging Ooze/漁る軟泥
3 Ezuri, Renegade Leader/背教の主導者、エズーリ
Spells
4 Chord of Calling/召喚の調べ
4 Collected Company/集合した中隊
Sideboard
1 Phyrexian Revoker/ファイレクシアの破棄者
1 Aven Mindcensor/エイヴンの思考検閲者
1 Burrenton Forge-Tender/ブレンタンの炉の世話人
1 Chameleon Colossus/カメレオンの巨像
1 Elvish Champion/エルフのチャンピオン
1 Essence Warden/本質の管理人
2 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
1 Eidolon of Rhetoric/弁論の幻霊
2 Fracturing Gust/引き裂く突風
2 Path to Exile/流刑への道
1 Kataki, War's Wage/戦争の報い、禍汰奇
1 Melira, Sylvok Outcast/シルヴォクののけ者、メリーラ

  このデッキのゲームプランは本当に簡単といえよう。エルフを大量に並べることで勝つのだ。一瞬でゲームを終わらせることもできるが、絶対に奏する必要もない。カンパニーと調べのおかげでミッドレンジのような動きも可能となる。エズーリと大ドルイドの力を借りることでクリーチャーを増強し、幻想家、梢、永遠の証人を使うことでハンドアドバンテージを稼ぎ続けるのである。

 1T目マナエルフ、2T目大ドルイドの動きがこのデッキで目指したいものとなる。さらに言えば遺産のドルイドとマナエルフ2匹でも大ドルイドが出せることは覚えておいて損するこおてゃないだろう。そして3T目にカンパニーを打つなり、巨大なXで調べを打つなりして、盤面を制圧することとなるのだ。

 大ドルイドやニクソス、遺産のドルイドの力によってエズーリのバーラン能力は何回でも起動できるようになる。18枚の土地しかなくても、34枚のクリーチャーと8枚のチューターによって盤面は一瞬で制圧できるようになるのだ。

サイドボード

 エルフに対して一番効くカードは全体除去である、神々の憤怒や神の怒り、至高の評決に滅び、仕組まれた爆薬、時には紅蓮地獄もぶっ刺さることとなるだろう。またX=1のチャリスもこのデッキに大ダメージを与えうる。とはいえ魂の洞窟をうまく使えば交わすこともできるだろう。

 ということで全体除去に対してはこのデッキは弱い。とはいえ逆に単体除去に関してはあまり恐れることがないのだ。たとえピン除去を撃たれ続けたとしてもそれで負けてしまうということはない。むしろこちらが3対1交換をし続けることができるのだから盤面はこちらのほうがどんどん有利になっていくのである。とはいえただ指をくわえてこちらのクリーチャーが除去されていくのを見るのではなく、きちんとダメージを加えていくことが必要なのだ。集合した中隊によって全体除去がかわせるのならばそれを使って反撃することになるだろう。幸運にもこのデッキは土地が少なく、有効牌で分厚く作られている。3対1交換を2回も決めればおおよそ勝つことはできたといってしまっていいだろう。カンパニーと幻想家を使うことで、消耗戦はこちらのほうがどんどん有意になっていくのである。

 では、サイドボードの話に移ろう。とはいえカード量にもやはり限度がある。Loneganは今回白に着目してサイドボードを作っていたが、黒をタッチ色にすることも十分可能だ。そうなるとまた別のサイドボードが生まれることになるだおる。

 流刑への道はカリタスをはじめとするコチラにとって面倒なクリーチャー対策となる。

 ブレンタンの炉の世話人は白をタッチするとても大きな理由となるが、これを理由として白を入れることはしなくていいだろう。このカードによって赤いクリーチャーを永遠にブロックし続けることもできるが、このカードが真価を発揮するのは召喚の調べを用いたシルバーバレットとなる。神々の憤怒に対応して調べからこのカードを場に送り出すことで実質的に相手の憤怒を打ち消すことができるわけだ。

 禍汰奇、メリーラはそれぞれ親和、感染対策として、エルフのチャンピオンは緑のデッキやミラーマッチにおける切り札となり得る。また弁論の幻霊はむかつきやストーム、死せる生、瞬唱の魔道士といったデッキ、カードを殺すことができる。

 エイヴンの思考検閲者はこの頃あまりみないカードでこそあったが、世界選手権の結果を受けてタイタンシフトのようなデッキが増えることを考えるとこのカードを採用する理由は大きく有るように思える。ランプやコンボの使う調べ、地図、トレイリア西部も止められるのは大きい。

 カメレオンの巨像はジャンドのような黒緑系ミッドレンジにサイドインされることとなる。確かに未練ある魂には弱いものの、稲妻、終止、脈動のすべてを気にせずに殴りかかることができるのだ。とはいえ今後アブザンを始めとした白いデッキが増えることが予想されるならば、他のカードにも目を向ける必要が出てくるだろう。

 引き裂く突風は呪禁オーラ、親和相手の切り札となる。確かに軽い呪文ではないが、このデッキなら5マナくらいなら簡単にひねり出せるのはもうわかっているだろう。

 台所の嫌がらせ屋はジャンドのようなピン除去だらけのデッキに有用であり、またライフゲイン能力からも赤いデッキ対策ともなる。2T目に実質4点ゲインを可能とできるのはバーンを相手とした時の安心感という点で計り知れないものがある。

 ファイレクシアの破棄者はプレインズウォーカーやコンボに対して調べからサーチしてくる対処札となる。相手のプレインズウォーカーキャストに対応して調べから破棄者をサーチし、その名を指定するときのニヤケ顔を想像してみようじゃないか。

 本質の管理人については……正直いまいちわかっていない。確かに双子全盛期にはその無限コンボを1枚で止めてくれる強さはあったが、今やその無限コンボは死に絶え、入れるべきカードの順位としては大きく落ちているように感じる。

 

 というわけで以上がエルフの解説となる。おわかりいただけたように、エルフはとても強いデッキであり、トーナメントレベルであるものの、カスタマイズ性にも優れているのである。確かに切ってはいけないようなカードも何種類かあるが、好きなようにデッキをいじることを恐れるようなデッキではないのである。

 もちろんモダンの多様性を考慮するならばそのメタゲームに合わせたサイドボードの構築が必要となる。今回紹介したカードについても枚数については好きにいじれるし、ここで紹介したカードを1枚も入れずにサイドを作るということも十分に可能だろう。

 エルフは序盤中盤終盤と隙がないクリーチャー型のデッキであり、そしてどのようにも立ち回れる素晴らしいデッキである。序盤にはウィニーとして、終盤にはパワーゲームをしてくるデッキとして様々な機能をもち、また土地の枚数を低く抑えているにもかかわらずマナを多量に出せるためにその戦略も複雑にすることができる。

 エルフはモダン最強デッキの一角と言えるだろう。……とはいえどのようなエルフが最強なのかについては未だに議論の余地が有ると思う。もしよりよいサイドカードがあれば、そしてよりよいエルフ対策を見つけたのならば、ぜひコメント欄で教えてほしい!