SCZの使い方-その1-(Death's Shadow Aggro Guide (Part 1) by Magnus Lantto)
Deaths Shadow Aggro Guide Part 1 | MTGMintCard
より。
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WMCQも近づき、僕のSCZに対する興奮はもはや大変なものになった。そして今、SCZが最高の時を迎えつつある。
Team EUrekaはPTOGWにおいてエルドラージに屈することとなった。確かにデッキこそ素晴らしいものであったが、エルドラージには勝てなかったのだ。
しかしながら、このデッキの地力は明らかに過小評価されている。3T目、もしくは2T目にも相手を殺すことができるという能力を、サイドボード後にももつことができる素晴らしいデッキであるにもかかわらず、だ。
そして、このデッキのことはそもそも、誤解されている可能性が多いにあると言えよう。
たしかにこのデッキのパット見は単なるZooである。しかしその実態はクリーチャーを使ったコンボデッキなのだ。これはもうナヤZooのようなデッキなどではない、感染のように取り扱うべきなのだ。
Death's Shadow Aggro
17 Lands
1 Blood Crypt/血の墓所
4 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Godless Shrine/神無き祭殿
1 Overgrown Tomb/草むした墓
1 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
1 Stomping Ground/踏み鳴らされる地
3 Verdant Catacombs/新緑の地下墓地
4 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
1 Wooded Foothills/樹木茂る山麓
19 Creatures4 Death's Shadow/死の影
4 Monastery Swiftspear/僧院の速槍
3 Steppe Lynx/ステップのオオヤマネコ
4 Street Wraith/通りの悪霊
4 Wild Nacatl/野生のナカティル
24 Spells3 Become Immense/強大化
4 Gitaxian Probe/ギタクシア派の調査
2 Lightning Bolt/稲妻
4 Mishra's Bauble/ミシュラのガラクタ
4 Mutagenic Growth/変異原性の成長
4 Temur Battle Rage/ティムールの激闘
3 Thoughtseize/思考囲いSideboard
1 Ancient Grudge/古えの遺恨
1 Dismember/四肢切断
1 Forest/森
2 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
2 Lightning Helix/稲妻のらせん
1 Natural State/自然のままに
1 Phyrexian Unlife/ファイレクシアの非生
1 Pyroclasm/紅蓮地獄
1 Stony Silence/石のような静寂
3 Hooting Mandrills/わめき騒ぐマンドリル
1 Tarmogoyf/タルモゴイフ
この記事の中で、このデッキがどのように使われるべきなのか、そしてどうしてこのようなデッキが作られたのかという点を知ってくれると嬉しい。
このデッキの主な要素は3つである。クリーチャーを出し、キャントリップで手札をつなぎ、殺す。そしてこの中にはいくつか相互的な作用も含まれているが、それを包括的に見ることが必要なのである。
クリーチャーの選び方
このデッキに入っているクリーチャーは往年のハイパー打点モンスターばかりである。そう、このデッキに入れるべきカードはマナレシオを重視したものとなるのである。
その点において、死の影は完璧な解となる。3T目に6/6で殴りかかってくる2マナクリーチャーのようなものであり、時たまその打点は更に大きくなることとなる。ファイレクシアマナや悪霊のサイクリングによって簡単にパワーをあげられることにも注目しておきたい。つまり、これらのカードが手札に有れば2/2の死の影を稲妻を気にせずに送り出し、むしろクロックを加速させた状態で除去を躱せる存在へと変えることができるのだ。
そして他に4積しているクリーチャーが、僧院の速槍と野生のナカティルだ。このデッキの構造的に、僧院の速槍は思った以上の攻撃力を見せてくれるし、ナカティルはきちんとした守りを打ち立てることもできるのだ。
そしてできることならばこんなカードでデッキをうめつくしたいものだが、どうしてもデッキには限界があるし、できれば16枚弱のクロックを突っ込んでおきたい。そういう意味でステップのオオヤマネコに白羽の矢が立ったのである。確かに継続的なクロックとこそならないが、その爆発力を僕は評価している。
白をタッチし、0/1のクリーチャーをだす、といえば聞こえは悪いが、実際のところこのカードは2回の上陸を経て強大なクリーチャーとして殴りかかってくることとなる。そう、単なる鉄砲玉に近い役割を持つこととなるのだ。そして、フェッチランドが多数場にあるのならば、それを一気に砕いてティムールの激闘とともにファイアー!となるのである。
もちろん、タルモゴイフやゴブリンの先達、密林の猿人やケラル砦の修道院長といった選択肢も存在する。
ただ、タルモゴイフはこのデッキだと、遅すぎるのだ。何を言っているかわからないかもしれないが、これは本当のことだ。
このデッキが目指したいのは、相手が対応できる状態になる前にさっさと相手を殺しきることである。その点において1T目にクロックを設置できる/できないという差はとても大きい。少なくとも2T目には二枚のクロックを用意できなければ、単体除去の連打によって容易に負けてしまうことになるだろう。たしかに一般的なフェアデッキにおいてこのカードはとても強い。しかしこのデッキはそんなデッキではないのだ。
そういう点において差し替え候補として一番の選択肢にあがるのがゴブリンの先達であろう。実際にPTでも試行したカードである。……しかし大きな問題があったのだ。単なる2/2でしかないのだ。
確かに2/2の詰め合わせであったり、他の除去カードが有る場合においてはこのカードは確かに強い。しかし相手の瞬唱やボブ、大歓楽を超えられないのは大きな問題となる。ゴブリンの先達はそれらのカードに容易にブロックされてしまうのに対し、オオヤマネコならば土地を使ってそれを簡単に越えていくことができるのだ。
キャントリップとコンボカード
ギタクシア派の調査、ミシュラのガラクタ、通りの悪霊といったカードの手によって、このデッキは実質的にとても濃いものとなる。
そして、先述の通りこのデッキはアグロデッキなどではなく、コンボデッキなのである。この大量のキャントリップによってこのデッキは安定性を手に入れただけでなく、次に示す様々な利点を手に入れることができたのだ。
- デッキ枚数を実質48枚にする。
- 探査のための墓地肥やしを可能とする。
- 能動的なライフ支払いによる死の影の巨大化。
- 果敢誘発
- 相手の手札を知る
そして、ティムールの激闘、強大化、変異原性の成長がこのデッキにおけるコンボパーツとなる。スタンダードにおいてアタルカの命令を絡めたこのコンボを食らったプレイヤーもいるだろうが、野生のナカティルや僧院の速槍をからめるだけでこれらのカードは18点をを容易に叩き出してくれる。フェッチショックが当たり前のこの環境においてはブロッカーがいたとしても実質的に相手に死が訪れるのである。
そしてスタンダードとの違いは、これらのカードを単体でもぶっ放すことができるようになったという点にある。ティムールの激闘だけでも、死の影をうまく使えば、そして変異原性の成長があれば他のクリーチャーでもその条件をみたすことができるようになる。
強大化とティムールの激闘はキルの瞬間まで手札にとどめておくべきだが、変異原性の成長はもっと積極的に使って行って構わない。単なるコンバットトリックとして自身のクリーチャーを守りそして死の影を育てるカードとしてこのカードを使えるようになるのである。
PTの際には採用検討としてゴーア族の暴行者も使っていた。他のコンボパーツと組み合わせることによって更に効率的に相手のライフを削り切ることができる。とは言えこのカード自体にもデメリットは存在しているため、壁が多量に入るようなメタゲームが想定される場合には投入するのも悪くないといえよう。
そして最後に、稲妻と思考囲いが相手に関与できるカードとなる。
これらのカードについてどのように採用すべきかはメタゲーム似あわせて大きく変わることになるだろう。しかしどちらにしても1マナで相手に鑑賞することができ、自身のクロックを加速することができるという点が評価の対象となる。
思考囲いはこのデッキの肝となるライフルーズを加速させるだけでなく、相手の除去を落とすことによって死の影を除去から守り、コンボ成功率を格段に挙げさせてくれるのだ。相手の手札を見ることができるというのもポイントとなる。とはいえ4枚採用する必要はないだろうと考えており、アグロデッキに複数枚引いてしまえばそれは負けと同様のものとなる。
そして稲妻は、実は言うほど強いカードではない。本体3点はこのデッキにおいてはありえないと言っても良いプレイとなる。このカードの採用理由は対親和や感染において、相手のクリーチャーを殺すための除去として用いるためなのだ。
というわけでこれらのカードはメタゲームに応じて採用枚数が変わることとなる。どのようなデッキと敵対するかにあわせて、枚数を調整する必要があるだろう。しかしながら、メインデッキに除去やハンデスをそこまで入れる必要はない。あくまでこのデッキの目標は相手を一瞬で殺すことでしかないのだ。
マナ基盤について
このデッキにおける土地は思っている以上にしっかりと考えられたものとなっている。簡単に見ていこう。
1 Blood Crypt
1 Overgrown Tomb
1 Sacred Foundry
1 Stomping Ground
1 Godless Shrine
4 Windswept Heath
4 Bloodstained Mire
3 Verdant Catacombs
1 Wooded Foothills
4色のデッキで17枚の土地、気が触れていると言ってもいいだろう。しかし、これはプレイテストの結果得られたものなのだ。
そして、気を配るべきはショックランドなどではなく、フェッチランドだ。このデッキにおいて、死の影のためにいち早くライフを削れるようにしておくのはとても大きな意味をもつのである。
2枚フェッチを切り、2ライフを失うスペルを唱えることによって死の影を場に着地させることができるが、1回だけでそれを成すことはできないのである。このデッキで基本土地を1枚もメインで採用していない理由となるのである。基本土地は実質マリガンに等しいカードとして手札に居残ることとなるのである。
5枚のショックランドはプレイテストの結果となる。白を切るつもりなのならば、聖なる鋳造所を他のフェッチランドに変更するのが適当だといえよう。しかし、それはこのデッキのバランスを崩してしまうこととなってしまうのである。
フェッチランドの話に移ろう。少なくとも血染めのぬかるみは必須となる。全てのショックランドをサーチしてくることができるからだ。他のフェッチランドからではサーチできないショックランドが最低1枚生まれることとなる。その点に注意しておく必要がある。また、ショックランドの組み合わせをきちんと考えておくのが非常に重要となる。うまく4色全てを場に出せるようなフェッチを心がけたい。また、もし森が必要なマッチアップがあれば、サイドボードから追加することも可能となる。
サイドボード
このデッキにおけるサイドボードはあくまでメインデッキの延長であり、特定のマッチアップに対して追加で欲しいカードを入れていくというものになる。
3 Hooting Mandrills
1 Tarmogoyf
2 Inquisition of Kozilek
2 Lightning Helix
1 Pyroclasm
1 Dismember
1 Ancient Grudge
1 Natural State
1 Stony Silence
1 Phyrexian Unlife
1 Forest
あまり意識されておらず、しかし汎用性のあるカードを詰め込むことによって自身の本来のゲームプランを遂行することもできるし、マリガン、キャントリップを駆使することで必要なカードにアクセスすることもできるのである。
マンドリルとタルモは除去が多いマッチアップに対して採用される。とくにマンドリルは稲妻と衰微、その両方を意に介さない強さがある。
コジレックの審問はコンボデッキ対策として搭載しているが、対アグロでも重宝することとなる。本来ならばライフを減らしていくこのデッキでも高速アグロ相手となるとその動きが少々ライフを守る方向へシフトすることとなるのだ。
稲妻のらせんや紅蓮地獄、四肢切断、そしてアーティファクト除去は相手のクリーチャーに対処するためのカードとなる。
稲妻のらせんは相手のライフ計算を狂わせるカードとなる。稲妻とは違い、相手の顔面に投げつけるカードになることもある。そして相手がよりアグレッシブに動いてくるのならば除去として使うこともできるのだ。
石のような静寂やファイレクシアの非生のようなカードは出来る限り採用したくはなかったのだが、無視することはできなかった。とはいえこっちの速度が遅くなっては元も子もないので、採用枚数には気を配りたいところではある。とはいえゲーム展開を大きく変えることができるのは利点となる。とくにファイレクシアの非生は死の影を弱くすることなくライフ量を増やせるという点で完璧なカードと言える。
そして最後にサイドボードで最も注目を集めるだろう、基本土地森について簡単に解説しよう。正直どうやって使うかわからないかも知れないが、これは血染めの月対策、流刑への道、幽霊街対策として用いている部分がある。
そしてそれ以上に、対アグロデッキにおいてこのカードが採用されるのだ。対アグロにおいて、2ライフサイクリングカードは少々ライフが恐いためにぬくこととなる。その穴をうめる18枚目の土地となり、フェッチしてもライフが減らない土地として使うことができるのだ。3T目にダメージを受けることなくクリーチャーを展開できるのは非常に大きな意味合いをもつこととなるだろう。
そしてサイドボードをよくよく見れば、多量の1積みカードに不安を覚えるプレイヤーも多くいることだろう。しかし、これは調整の結果であり、完璧といってもいいほどなのだ。
例えばアーティファクト対策として古えの遺恨、自然のままに、石のような静寂の3種類が採用されている。
これ、3枚に散らすべきなの?と聞かれればもちろん、と答えることとなる。たしかにこれらのカードは対親和においてフル投入されるものばかりではあるが、他のデッキに対してもサイドボードされるカードとなるのだ。たとえば自然のままにはブルームーンに対して、石のような静寂はトロンに、そして古えの遺恨は呪文滑りに対して。このような多様性を持っておくことがサイドボードの強さを作ってくれるのである。
他の採用候補カード
外科的摘出や墓掘りの折については今使いたいカードでこそないが、候補としては十分にあがる。アブザンカンパニーやドレッジ対策としてこれらのカードはとても強いカードなのだ。そしてこの2つの中ではどちらかと言うと外科的摘出のほうが対策のされにくさから候補として上がることとはなるが、盤面で押されている状況では使いにくいというデメリットもある。
次に、マーフォーク・ミラー対策として仕組まれた爆薬も候補にあがることとなった。対面するだろうデッキの予測次第では、紅蓮地獄が爆薬になるのは十分にありえることだ。
そして最後に考えているのが、ウルヴェンワルド横断があげられる。このデッキでの昂揚は容易に達成でき、更にクリーチャーサーチとして役立ってくれるためにタルモゴイフや死の影を簡単に見つけてくることができるのだ。そして禍汰奇や呪文滑り、イーオスのレインジャーといったシルバーバレット戦略を取ることもできる。確かにマンドリルやタルモの単なる採用よりかは速度が落ちてしまうものの、十分に検討の余地があるカードとなるのだ。
これでこのSCZがどのようなデッキなのかはわかってくれたと思う。そして明日(訳註:7/10までには訳します)、Part2としてこのデッキの使い方、マリガン法、サイド例について述べていこうと思っている。
読んでくれてありがとう!このデッキに興味を持ってくれると嬉しいな!