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狩達とアーリン、今夜のご注文は、どっち?(THE WEREWOLVES OF MODERN: HUNTMASTER OF THE FELLS AND ARLINN KORD)

A MTG Fan Blog - The Werewolves of Modern: Huntmaster of the Fells...

より。

Channel Fireball内で紹介されていた記事からの翻訳です。

赤緑4マナの両者、果たしてその違いたるや?

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 DKAが世に出たとともに、高原の狩りの達人が世界にばらまかれることとなった。そしてモダンの人気の高まりにあわせて、狩達はミッドレンジ型のデッキで相手を殺すための札として私達の盤面に姿を表すようになった。そしてそれから数年が経ち、今またイニストラードに帰還した私達の目の前に、新たな狼男、アーリンが姿を表したのである。狩達とアーリンはマナコストも性質もほぼ同一ということもあって、おそらく同じデッキでスロットを争うということになるだろう。という訳で今回はこれらの2つのカードの違いについて述べたうえで、どのようなデッキにおいてどちらが適切なのかについて示していきたいと思う。

それぞれのカードについて

 まずは双方のデータを見ていこう。

高原の狩りの達人/高原の荒廃者

Huntmaster of the Fells / 高原の狩りの達人 (2)(赤)(緑)
クリーチャー — 人間(Human) 狼男(Werewolf)
このクリーチャーが戦場に出るか《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》に変身するたび、緑の2/2の狼(Wolf)クリーチャー・トークンを1体戦場に出し、あなたは2点のライフを得る。
各アップキープの開始時に、直前のターンに呪文が唱えられていなかった場合、高原の狩りの達人を変身させる。
2/2
Ravager of the Fells / 高原の荒廃者
〔赤/緑〕 クリーチャー — 狼男(Werewolf)
トランプル
このクリーチャーが《高原の荒廃者/Ravager of the Fells》に変身するたび、対戦相手1人を対象とし、そのプレイヤーがコントロールするクリーチャーを最大1体まで対象とする。高原の荒廃者はそのプレイヤーに2点のダメージを与え、そのクリーチャーに2点のダメージを与える。
各アップキープの開始時に、直前のターンにプレイヤー1人が呪文を2つ以上唱えていた場合、高原の荒廃者を変身させる。
4/4

 4マナでライフ2点を得ながら2/2が2匹でてくる、それだけでも十分に強い。そう、単体除去を主体としたデッキ相手ならば場に出るだけでアドバンテージを稼ぐことができる素晴らしいカードなのだ。また、2点ゲインという効果はバーン以外にもライフの詰めを狂わせるという能力となり、多少の時間稼ぎにもなるのだ。また、バーン相手だったとしても、おおよその火力が3点であることを思えば、盤面を作りつつ相手のカードの2/3を無駄に消費させたということになる。更に、クリーチャーを採用しているタイプならばこの2/2達を処分するためにさらなる火力が浪費されることとなるのだ。

 以上が狩りの達人の方の能力である。では荒廃者の方は?4/4トランプルは多くのデッキに対してクロックとして役立つサイズ、能力だ。またプレイヤー、クリーチャーに対してそれぞれ2点ずつを投げつける誘発能力により、相手の壁を蹴散らし、そのままライフを削り切ることができる。

 つまり、狩りの達人はボードアドバンテージを稼ぎ、変身することによって相手のライフにプレッシャーをかけることができるという意味で赤緑系ミッドレンジにとってぴったりのカードとなるのだ。

アーリン・コード/月の抱擁、アーリン

Arlinn Kord / アーリン・コード (2)(赤)(緑)
プレインズウォーカー — (Arlinn)
[+1]:クリーチャーを最大1体まで対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受けるとともに警戒と速攻を得る。
[0]:緑の2/2の狼(Wolf)クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。アーリン・コードを変身させる。
3
Arlinn, Embraced by the Moon / 月の抱擁、アーリン
〔赤//緑〕 プレインズウォーカー — (Arlinn)
[+1]:ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+1/+1の修整を受けるとともにトランプルを得る。
[-1]:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。月の抱擁、アーリンはそれに3点のダメージを与える。月の抱擁、アーリンを変身させる。
[-6]:あなたは「あなたがコントロールするクリーチャーは、速攻と『(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このクリーチャーはそれに自身のパワーに等しい点数のダメージを与える。』を持つ。」を持つ紋章を得る。

 アーリンもまた、4マナで様々なことができるカードである。奥義以外にも4つの能力を持っているのは多様性という点でとても都合がいいと言える。

 彼女の+1能力は多くのことを一気に達成してくれる。小粒クリーチャーを強大なものにし、強大なものは単なる怪物へとその姿を変えさせるのだ。さらに場に出たばかりのクリーチャーにも速攻を与えるだけでなく、防御を兼ね備えることもできるのだ。さらに、この能力によってアーリン自体を稲妻による除去から守ることもできるのだ。稲妻はモダン環境を定義している最強クラスの呪文であり、メインに入っているカードだけでいうならばアーリンに対処できる数少ないカードでもあるのだ。幸運なことにあくまでアーリンの+1能力は対象を1体「まで」とる能力であるために、クリーチャーがいなくても使うことができるのだ。とはいえ稲妻避けのためだけにこの能力が使われるということも殆どないが、4T目に何もすることがないという場合においてはアーリンを生き残らせながら次のターンに引いたクリーチャーをすぐに殴らせに行けるようになるのだ。実際僕も+1を繰り返すことによって次のターンのタルモゴイフを速攻で殴らせることに成功している。この時に0能力を起動していたならばアーリンを処理され、そのまま負けてしまっていたことだろう。

 しかし、一般的にこのカードで評価されている能力は0能力である狼トークン生成能力であるだろう。2/2の狼を生み出す能力は高原の狩りの達人のCiP能力にひどくよく似ている。しかしながらこのカードが狩達と大きく異なっているのは、アーリンと狼が変身後も生き残ったならば狼アーリンの能力によって大量のアドバンテージを稼ぐことができるようになる、という点である。

 狼アーリンの+1能力はミニバーランと言っていいだろう。横並びのクリーチャーたちに一気に刃を与えることとなる。多量の1/1が並ぶようなデッキ、例えば未練ある魂に頼ったデッキや親和に対して、この能力がひどく役立つこととなる。たとえ自軍が1匹のクリーチャーだけだったとしても、それがタルモゴイフやカリタスならばトランプルによってチャンプブロックを許さない超巨大生物として場を切り開いてくれるのである。

 また、-1能力もひどく強力である。そう、稲妻は環境を定義するとても素晴らしい強いカードである。その能力をマナを使うことなく使えるとしたら?まあ、ぶっ壊れと言っていいだろう。狼トークンが生き残り、そして相手の脅威を-1能力で飛ばすことができれば、それだけで十分にこのカードは仕事を果たしたといえる。あとは怒り狂う山峡で殴るなり4マナ5マナの生き物で蓋さえしてしまえば盤石となることだろう。もしくはこの稲妻を相手に差し向けるだけで相手が死んでしまうこともあるだろう。そして人間に戻ったアーリンは2/2の狼を増やしながら稲妻を撃つ体制にはいったり攻撃/防御態勢を+1能力でとったりすることができるようになるのだ。

 奥義もまた、ぶっ壊れと言っていいだろう。たとえ数回の+1能力をつかって勝てなかった場合においても、この奥義を起動してしまえば後は盤面に残ったクリーチャーが全て、火力として対戦相手に襲いかかることができるようになるのだ。もちろん、おおよそのプレインズウォーカーの奥義が「オーバーキル」なものであり、アーリンの奥義もそれにもれないものであり、さらに言えばそれなしでもアーリンは十分に強力であるのはわかっていてもらいたい。とはいえこの能力は無茶苦茶なのだ。

 というわけでこれをまとめるならばアーリンは4マナで様々なことをしてくれる、そして盤面制圧能力とカードアドバンテージとを与えてくれるカードとして動いてくれるのだ。このカードもまた、赤緑型ミッドレンジに適したカードと言えるだろう。

使い方

 以上より、狩達もアーリンも、消耗戦を好むミッドレンジ型のデッキに都合のいいカードでいいということはわかってもらえただろう。現実的な話、4マナというコストはアグロ型デッキには遅すぎるし、これら2枚の能力はコントロールデッキ向けの一瞬の盤面ひっくり返し能力ではない。つまり、赤緑型のミッドレンジ型のデッキ、かつ4マナの動きで「アドを一気に稼ぐ」だったり「ゲームを終わらせたりする」と言うよりかは「盤面にプレッシャーを与える」ことを目指すデッキにおいて使いたいカードとなる。そしてこれはジャンド、ティムールのゲームスタイルにひどく適していることとなる。コスパの高い脅威となり、瞬時の解答を要求するカードとして、これらの2枚は活躍できることだろう。

 しかしながら、不運なことにも、(そして皆が気にしていることだろうが、)この2枚はおなじマナ域でかぶるカードとなってしまっている。そして4マナといえばおおよそこの手のミッドレンジでもマナカーブのトップに当たる場所だ。それほど多くのカードをとりたいというわけでもないだろう。序盤中盤を生き残ることが出来ないのならばこれらのカードを採用する意味もないからだ。そしてその観点からするならば必要とする枚数はおおよそ2枚前後となるだろう。となると一番簡単なのはそれぞれを1枚ずつ突っ込んでおくことだ。特に青を使っているならば手札の多様化という意味でこの戦法はよくとられることだろう。しかしもし青を使っていなかったり、メタゲームがよくわかっていないという理由でアドバイスが欲しいならば、アーリン・コードの採用をおすすめしたい。それは以下の理由による。

  1. アーリンは確かに稲妻に弱い、という意味で狩達に劣る。しかしながら逆に言えばアーリンは稲妻くらいしかケアする必要のあるカードがないのだ。狩達には流刑や終止を始めとした様々なクリーチャー除去も刺さることとなるが、アーリンにはこれらのカードは一切効かないのだ。そして、仮に相手が稲妻を持っていると思ったとしてもきっとアーリンの方が万が一を考えると優先したい、と思ってしまうようになるだろう。
  2. はっきりといってアーリンは狩達の実質的な上位互換だ。変身を自由にすることができるという点で、相手の呪文に左右されることなく様々な能力を発揮することができるというのは大きな意味合いを持つ。この手のデッキは出来る限り盤面や相手に触りたいわけで、しかしテンポを失ってしまっては全く意味が無いのだ。その点においてアーリンの非呪文依存性が評価されることとなる。また、仮に変身させたくないのならば+1能力を使うことができるのだ。つまるところボードアドバンテージもテンポも失うことなく動ける、という点でアーリンは狩達に勝るのだ。

  実際のところ、確かに狩達のほうが強いマッチアップも多くは存在する。そんなマッチアップ、つまり対バーン、親和、コントロール戦においてはアーリンをサイドボード後狩達に文字通り変身させてしまえばいいのだ。

 バーンにとって狩達はとても面倒な脅威として場に残ることとなる。両方の除去には火力が2枚必要な上、呪文の唱えすぎは次ターンの2ライフゲインと壁の誕生を約束してしまう。かといって唱えることを躊躇すればきっと火力を2枚消費することになるだろう4/4が誕生することとなる。先達や速槍、幻霊やヤンパイによる戦闘ダメージが実質的にシャットアウトされてしまうこととなるのだ。そう、対バーンにおいてはなんとしてでも4T目まで生き残り、狩達を出すことが重要となるのだ。

 そして親和も、1/1のクリーチャーによって戦線を形成しているという点において、狩達が脅威となるのだ。そして狩達が変身すれば壁を実質的に乗り越えるクロックとしても働いてくれることとなるついでに、火力によって相手の戦線崩壊も望むことができる。親和にとって地獄のようなカードなのだ。とはいえ確かに親和もその程度で刃を失うようなデッキではない。そこは覚えておいて損をすることはないだろう。そして、対親和において重要なのは、感電破によってアーリンが+1を使っていたとしても容易に落ちてしまう、という点にあるのである。

 最後に、コントロールデッキに対する狩達の強さについても述べておこう。1枚で2枚のカードを産み、変身すれば4/4の驚異的クロックとなるのはコントロールにとって地獄以外の何物でもない。4/4という巨体に対処するカードは火力以外である必要が多く、もし火力なのならば2/2のうちに撃ち落とすほかないのだ。更に、コントロールデッキは相手のターンに動くことを是とするため、自ターンには寧ろ何もしないという事が多いのだ。つまり、一度場に出てしまえば変身はほぼ確実と言ってしまってもいいのだ。そしてそれを仮に妨害しようとするのならば、今度はテンポの乱れが発生することになる。そこをついてやれば一気にこちらに勝機が訪れるのである。ここで、「アーリンも大概の除去を避けることができるからアーリンのほうが強いのでは?」という意見が来るかもしれない。確かにその意見は一理ある。しかしながら、対コントロールのマッチアップにおいて、欲しいのはボードアドバンテージによる制圧力であり、+1能力によるパンプや-1能力による稲妻といった盤面制圧能力は今回は必要としていないのである。

まとめ

 今回の記事をまとめると以下のようになる。

  • 狩達もアーリンも、4マナのカードとしては破格の能力をもつ、とても強力なカードである。
  • 赤緑系ミッドレンジに採用を考慮する価値があるカードであるのも確かだ。
  • 狩達、アーリンそれぞれに長所、短所があり、マッチアップによってどちらを使うべきかは変わってくる。
  • 両方とも素晴らしいカードではあるが、メインデッキにいれる、という点のみで言うならばアーリンのほうが使いやすいカードといえよう。

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