MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

エルドラージ解析(Breaking Eldrazi By Andrea Mengucci )

» Breaking Eldrazi

より。

ーーーーー

 今回のイベントについて、CFBとFtFの混合チームに参加できたことは僕にとって非常に都合がいいものだった。グランプリ1週前にVancouverに集まり、ドラフトとモダンの練習をずーっとやっていたのだ。

 モダンに関しては各々が2つのデッキを持ってくるところから検討を始めた。僕の提示はバーンとむかつきだった。

 むかつきはたしかに素晴らしいデッキであり、青のない世界での2枚コンボはとても強い。しかし親和と感染への相性が圧倒的に悪かった。また難題の予見者を有するエルドラージとの相性も悪かった。そしてバーン自体も悪くなかったが親和や高速コンボに対しての相性に若干の不安があり、ファイレクシアの非生や部族養いにもやられるという可能性があった。

エルドラージとの遭遇

 僕たちは様々なエルドラージを組んでみた。白黒リンリン型はもっさりしているし、黒単昇華者型は爆発力に欠けている……。

 そこで僕たちはミミックや作り変えるもの、果てしなきものに目を向けた。アグロだ。古きものの活性を入れた緑黒型エルドラージがまずは完成することとなった。しかしJacobがゴリラに杯を握らせることを思いついたのである。

 このデッキも最初はもっさりしているように思えた。古えの墳墓を引かないと戦えないような気がしたのだ。しかしながらそれから幾ばくもせずにこのデッキの素晴らしさに僕たちは気づくことができた。速攻性、そして対バーン、感染の相性のよさに。

カード選択

4 Eldrazi Mimic/エルドラージのミミック
4 Matter Reshaper/作り変えるもの
4 Thought-Knot Seer/難題の予見者
4 Reality Smasher/現実を砕くもの
4 Endless One/果てしなきもの
4 Simian Spirit Guide/猿人の指導霊
4 Chalice of the Void/虚空の杯
4 Dismember/四肢切断
4 Eye of Ugin/ウギンの目
4 Eldrazi Temple/エルドラージの寺院
16 Other Lands
4 ???

 PT前夜まで、このスロットに何を入れるかについては決まっていなかった。漸増爆弾や呪文滑り、忘却蒔きをこの4枚に入れては抜きを繰り返していた。適切な枚数が思いつかなかったのだ。

 最終的に漸増爆弾と呪文滑りを2-2で採用する形が一番いいだろうということになった。忘却蒔きは大祖始の遺産と噛み合わないと意味が無く、また採用した2つについても相性がいいもの、悪いものがあるために裏目を引きたくなかったのだ。

他の選択肢

次元の歪曲

 2マナ+3/-3修正。タルモや予見者対策になるかとも思ったが逆に言えばそこだけであり、また四肢切断で十分だと判断した。

歪める嘆き

 確かにこのカードは丸い良いカードだが、メインに入れる必要はなかった。あくまでサイドボードで様々な不利なマッチアップに対応するために投入すべきものだろう。

マナ基盤

 おおよそ必須なカードは決まっていたため、マナ基盤はそこまで悩むひつようもなかった。

 ちらつき蛾の生息地はブロック時に2/2にもなれる最強のミシュラランドだ。未練ある魂や大霊堂のスカージ相手に役立つ。また変わり谷をちゃっかり強化してくれるというメリットもある。

 変わり谷も素晴らしいカードであった。しかし4枚目を入れるためのスロットがなかったのだ。土地25でもいいのではとも思っていたが、それに賛同するチームメイトはいなかった。

 幽霊街4は必須だった。トロンが多くいるだろうと予測していたし、もしそうならば1枚でも引ければそれだけで大きく有利になれるからだ。

 また、荒地を2枚採用することにしたのは同様の理由で幽霊街を採用してくるデッキが数多くいることを予感していたからだ。また、高マナ域のカードも多いこのデッキでは基本土地をなんかしらの形で持ってこれるのは大きい。血染めの月対策としてもこのカードは重要となる。というのもこれなしではデッキの中の1/5がただの紙屑になってしまうからね。

その他

 宝石の洞窟によって1T目に3マナに到達できるのは素晴らしいと言っていいだろう。また、素引きしてしまってもあまりリスクのないデッキである。とはいえゲーム開始時誘発をさせてしまうと勝手に色がついてしまうために採用を見送ることとした。

 Jacobは地盤の際をデッキに投入することを強く進めてきた。しかし僕はそれに賛同しなかった。これが機能するころにはゲームは終盤になってくるだろうし、その時でもミシュラランドのほうが強いだろう。

 海門の残骸はただ単純に遅すぎだった。4マナも使わないとカードが引けないのはよろしくない。

 魂の洞窟は希望を溺れさせるものや塵の中を忍び寄るものを使っていた時には採用をしていたが、無色エルドラージになるにつれてその意味を失っていった。というのも打ち消しがほぼないと思っていたからだ。

 というわけでこれがこのデッキの完成形となる。3人がベスト8に、10人以上がベスト50に入るという素晴らしいデッキだ。

Colorless Eldrazi Aggro

24 Lands
2 Wastes (184) (Full Art)/荒地(184 フルアート)
4 Eldrazi Temple/エルドラージの寺院
4 Eye of Ugin/ウギンの目
4 Blinkmoth Nexus/ちらつき蛾の生息地
3 Mutavault/変わり谷
3 Urborg, Tomb of Yawgmoth/ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
4 Ghost Quarter/幽霊街
24 Creatures
4 Eldrazi Mimic/エルドラージのミミック
4 Matter Reshaper/作り変えるもの
4 Thought-Knot Seer/難題の予見者
4 Reality Smasher/現実を砕くもの
4 Endless One/果てしなきもの
4 Simian Spirit Guide/猿人の指導霊
12 Spells
4 Chalice of the Void/虚空の杯
4 Dismember/四肢切断
2 Ratchet Bomb/漸増爆弾
2 Spellskite/呪文滑り
Sideboard
1 Ratchet Bomb/漸増爆弾
1 Spellskite/呪文滑り
3 Oblivion Sower/忘却蒔き
4 Relic of Progenitus/大祖始の遺産
3 Gut Shot/はらわた撃ち
2 Pithing Needle/真髄の針
1 Warping Wail/歪める嘆き

青赤エルドラージとの良し悪し

エルドラージミラーなら青赤のほうが無色より強い。

 希望を溺れさせるものや空中生成エルドラージの手により1:2交換を強いられるため、相性は悪い。同じレシピを使っていたなかしゅー、LSV、Flochのすべてがその糧として消費されることとなった。

親和との相性は無色のほうがいい。

 虚空の杯や漸増爆弾、ちらつき蛾やゴリラの不採用によって速度差があるという問題がこの格差を与えられることとなる。

 実際にSEにおいても無色エルドラージは親和を2度葬っているが青赤はPatrick Dickmann率いる親和軍に0-3という結果になっている。

対コンボ相性は無色のほうがいい。

 希望を溺れさせるもののような高マナ域のカードが少なく、虚空の杯によって1マナ呪文を殺すことができるため、感染やバーン、キャントリップ型コンボに対して相性が良いこととなる。また変わり谷によってもクロックを刻んでいけるのはメリットとなるだろう。

対ミッドレンジ系の相性は青赤のほうがいい。

 希望を溺れさせるものはミッドレンジが対処しづらいカードであり、また末裔トークンによってウギンの目の起動がよりたやすくなる。

プロツアーという環境だからこそ今回やりやすかったという可能性がある。X=0,1の何方がいいかは気にすべきだ。

 これがGPだったならば親和との相性は悪くなったことだろう。

 

 ……とここまで語ってきたが正直どちらがデッキとして優れているかについてはまだ結論が出ていないと入ってもいい。少なくともPTに関してのみ言えばコンボ相性、とプロツアー環境という観点から見て無色のほうが強かったと思える。しかし別の大規模な大会になれば話は変わってくると思う。

 とりあえずサイドボードガイドについては今週中に掲載されると思っているけれど、もし気になるものがあればコメント欄で自由に聞いてくれ!