MtG訳記た。

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BFZ環境スタンダードをめぐる、先攻後攻の位置づけ(Play/Draw Interactions in Battle for Zendikar Standard by Jadine Klomparens)

Play/Draw Interactions in Battle for Zendikar Standard by Jadine Klomparens - Magic the Gathering (MTG)

より。

おひさしぶりです。スタンの記事です。英語力が低下してます。

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 私達がマジックの試合を始めるとき、その準備はおおよそルーチンワークとなっている。自動で作られるペアリングを確認し、それに示された席に座り、ダイスを振る。より大きな目を出したほうが基本的に先行でゲームを始める。そう、後攻で始める権利もあるのだが、基本的に先行を選択しているのだ。これを私達は当然のものと思い込んでしまっており、ときたま、「マジックは最初のダイスロールで勝者が決まってしまう」というジョークすらも流れてしまっているのはご存知のことだろう。……しかし、この言説について、私達はこの神話について笑い飛ばしはするものの、それについて議論を深めているプレイヤーはほとんどいないように思っている。

  では、この議題について、もう少し範囲を狭めてみたいと思う。今回はスタンダードフォーマットに限った話をしていきたいと思うが、別に後攻が先行より優れている、という話をしたいわけではない。生産的な議論ができないかもしれないという若干の不安もある。BFZのスタンダード環境に於ける先行後攻の差異というものについて、触れていきたいのである。確かに他のフォーマットにおいても同様の議論は行われるべきではあるのだが、このスタンダード環境に関して、面白いものを見つけたという物がある。この違いについてきちんと理解することによって、マジックの腕はまた一つ上達することとなるだろう。

 

バンクーバーマリガン

 まずは、できれば永遠に続いてもらいたい、少なくとも今期はずっと続くだろう、新しいルールの話から始めていきたい。新たなマリガンルールによって得られる占術はフェッチランドにあふれる現在のマナベースを考慮するならば後攻側により有利なルールと言えるだろう。先手側が占術でトップに置いたカードを引こうとするならば、1T目のフェッチ起動は諦めなくてはならなくなる。一方後攻側はそのような心配をする必要が一切ないのだ。

 フェッチランドを搭載したデッキでいままでこのフォーマットで遊んできた人ならば、この先攻後攻の差に何度か出くわしていることだろう。また、トップがわかっている状態でカードをプレイするのもなかなかに厄介な状況であることだろう。緑白大変異をつかっていて、次のターンに土地を引くとわかっていたから始まりの樹の管理人を1T目に送り出す、という動きをしたこともある。この手の選択は、フェッチを使ってでも呪文を唱えるか、トップに置いたカードを引くかという2択によらない部分こそ多少あれど、2T目に2マナの呪文を唱える際に影響をおよぼすことにはなるだろう。たとえ、1マナのカードを採用していないようなデッキであったとしても、だ。

 また、1T目にフェッチを使いたいようなデッキに於いてはこの選択の影響はより大きくなることが予想される。デッキ構築のレベルから対策することで最小化することは可能ではあるものの、1T目にフェッチランドを起動せずとも問題のないようなデッキを作る必要はなく、どちらかというならばいかなる7枚でもキープできるようなデッキを作るべきだろう。このマリガンによる占術について意識すべきことは、この占術を含めた手札が、初期の7枚に比べて優れているかについてきちんとした理解をもつことなのだ。先攻をとっているときにはなおその影響が強くなることを考慮して動かなくてはならないだろう。

 個人的に言えば、このマリガンシステムはあまり好みではないし、せめてフェッチが落ちてからでないと、この恩恵は受けづらいものになるだろうと推測しているしかし、この手の変更はプレイヤーの好き嫌いによらずおこってしまうものであり、たとえこの占術マリガン制度が嫌いなものであっても、その恩恵を受けられるよう最大限の努力はするし、他のプレイヤーのみなにもそうあってもらいたいと思っている。

絹包み-ソーサリースピードの除去問題

 では、ここからはフェッチランドうんたらよりも、より現在のフォーマットに特化した話をしていこうとおもう。このフォーマットを象徴する性質として、除去が不足しているというものがある。THS-KTK-DTK期においては絹包みなんてカードは除去としては考えられてもいなかったものであるにもかかわらず、しかしながら今は最高の除去の一枚として運用されている。現在の除去というものは、範囲が限定的である、もしくはソーサリータイミング、(そしてその両方を兼ね備えているもの)である。この特異性が、このフォーマットにおける先攻後攻の差をより大きなものとしている。この議題について、話をよりわかりやすくするために絹包みに話を限って今回は進めていきたいと思う。ただ、同じようなことがその他のソーサリー除去に関して言えるだろう、ということには注意しておいてもらいたい。

 このカードをプレイする理由は、何と言ってもジェイスを除去するためと言えるだろう。しかしながら、このカードの動かし方はプレイ順によって大きく変わると言える。後攻ならば2マナでおかれたクリーチャーを除去するためにすぐ絹包みを使うことができるが、先攻の場合においては3T目までその脅威を除去することができないのである。相手の2マナ域の生物をみてからそのエンドに打つという選択肢をとれることもあるという点にあるために、インスタントタイミングでの除去を避けられるか、というのはとても大きな問題となる。先攻において、2T目に対処したいものがないのならば、絹包みをおくよりかは脅威となるようなカードを盤面に送り出す方がいいだろうし、また、あえて2T目に行動をとらず、テンポをとることもできるだろう。この戦略の観点からするならば、後手でありたいと思ったことは数度ある。おおよそ2〜4マナのカーブはきれいに形成されていたが、その2マナが絹包みだったということが何度もあったためだ。

 マナカーブという観点からするならば、絹包みは後攻で使いたいカードと言えるだろう。しかしながら、絹包みは除去でしかなく、べつにそれでゲームが決まってしまうということもほぼないと言ってしまっていいだろうし、マナカーブについて気にかけるべきカードとは言いがたい。しかしながら、絹包みはフェッチランドとジェイスが存在し、召喚酔いが解けてしまえばすぐに裏返ってしまうのを避けるために打たねばならないカードであり、かつ裏返ってしまえば対処が不可能となるためにできる限りジェイスの返しに、3マナに到達される前に除去を行う必要があるだろう。先攻側でも、相手のジェイスに対応するために3T目の行動を犠牲としてもジェイスに対応する必要があるのだ。また、このフォーマットには率先しておきたい1マナのカードがそうないために、3T目に2マナのカードをおいてしまえば他にできることはあまりないと言えるのだ。たいていの場合、相手の2マナのカードに対処するために絹包みが使われているということを考慮するならば、相手の3T目の行動を縛ることができるのは十分によいことだと言えよう。私はこの問題について、ソーサリースピードに信頼を寄せすぎているという節があるのではないかと思っている。マナ効率を悪くしないように、と打たなくても良い除去を打ってしまうために、相手の他の脅威に対処できなくなってしまっているのだ。

 では、何がおこるというのか、この情報をどのように使うべきなのか……デッキレベルから見直す必要はとくにはないとはっきりと思っている。例えば緑白のようなデッキではジェイスに対処することが絹包み以外ではほぼ不可能である。そのようなデッキにおいてのマリガン基準として、この情報は使えるようにい思われる。後攻において、2マナ域のカードが絹包みだけなのならば、それはキープ基準として十分足るものになるだろう。しかしながら、先行の場合に於いてはマリガンすべきハンドとなるだろう。2T目にアクションを取ることができず、また3T目もおそらくこのカードのキャストに費やされてしまう、ということは大きなテンポロスと言えるだろうし、先行の利点が少なくなってしまうとも言える。

 この問題で重要となるのは、たとえスタンダードのデッキの範囲の話であったとしても、全てのデッキに対してこの話が当てはまるわけではない、ということだ。ジェスカイブラックのようなデッキならば、様々な除去が使えるために、この問題についてはそれほど大きくはならない。だからといってジェスカイブラックを使っている側がこの記事に対して何も有益なものがないと判断しそうなのならば、もう一度見返してもらいたいともう。相手の除去がどのように使われるのかについて、ある程度でも知識を持っておけば、その知識を活かしてより強いプレイを遂行できるようになるだろう。更に言うならば、例えば2T目には囮として脅威もどきを出すことでそのカードを絹へと包ませ、次のターンに本命を通す事もできるようになるわけだ。

1枚ごとの、カードの影響

 この記事は、出来る限り一般的なところから特別なところへと話をひろげてきたつもりである。そして、この最後のセクションとして、様々な、先行後攻でその価値が大きく変わるカードに付いて触れていきたいと思っている。まずはゼンディカーの同盟者、ギデオンからだ。ここ数週間のマジックの試合は、このカードのミラーマッチと言っても良かっただろう。その戦争は先行がより有利なものとなっているのである。これは確かだといえよう。先にギデオンを出した側が有利となるためである。特に除去との組み合わせによって、後に展開されたギデオンは早々に退場してしまうのだ。しかし覚えておいてもらいたいのは、これはプレイのパターンによる差に由来している、ということである。ゲームにおいては様々なポイントが存在し、デッキ構築のレベルから先手後手どちらでもギデオンを巡る戦いで優位に立つための方法を探すことができるのだ。例えば、早期に荒野の後継者などのクリーチャーを並べてしまえばいいだろう。結局のところ、デッキ構築のレベルから、この戦争にどのように打ち勝ち、そしてどのようにしてギデオンだけに戦況を支配されないようにするかについて、しっかりと考えておく必要があるだろう。一般的に、ギデオンはテンポを護るために強いカードであるために、先行側に有利をもたらすカードである、ということは覚えておかねばならない。それが故に、後攻ならばしばしば、ただの4マナの全体強化ソーサリーとして使ってしまうのもそう悪いことではないだろう。

 白蘭の騎士も、このごろよくプレイされるようになったカードではあるが、これも先攻後攻で大きくその強さが変わってしまうことはいっておきたい。先行ならばこのカードの能力はゲーム後半にならないと、もしくはマナスクリューに陥っていないと活かされることはないだろうし、もし後者なのならば、それはすぐに負けてしまうこととなるだろう。しかしながら、これが後攻のサイドに立つと一転して3T目にはこの効果を有意義に使うことができるようになるだろう。この大きな違いによって、白蘭の騎士が後攻時にデッキに入っているだけでその評価は大きく異なることが推測できる。また、相手の白蘭を誘発させないために、と土地を置かないプレイをするのはなお悪いことといえるだろう。もしこのカードを使いたいのであれば、先手を取ることができる場合以外はサイドボードにいれて置くのがベターであろう。また、もし相手がこのカードを採用していそうならば、あえてご手を取る、という選択肢もできるのかもしれないが、これは流石に冗談じみていると言っていいだろう。

 そして最後に、オジュタイの命令について触れておきたいと思う。このカードはジェスカイの主軸となっているとも言えるカードで、またジェスカイブラックにおいても十分に使われうるカードであるのだ。神童ジェイスと組み合わせることによって、このカードはゲームを膠着状態へと導き、そして対戦相手が届かないレベルまでライフを稼ぐことができるのだ。このカードも先手後手によって大きくその評価が変わるカードであり、先手ならば相手の5T目を待つことなくこのカードを使うことができるのだ。つまり、およそ半分のゲームに於いては包囲サイをカウンターできるカードとなると言えるのだ。例えばジェスカイブラックにおいては、後攻の場合における着地してしまった包囲サイへの対処法を考えておく必要がある、というわけなのだ。

 このように、先手後手によって、その強さが大きく変わるカードはレガシーの目くらまし、モダンの差し戻しのように、スタンダードにもおおく存在している。この違いは明確で無い事も数多くあるものの、少なくともその意識を保っておくことによって、スタンダードにおける勝率は大きく上昇するといえるだろう。また、その違いをどう利用するかについても、きちんとした知識をつけておく必要があるだろう。