グリクシスデルバーについて(Grixis Delver Primer By Caleb Durward)
より。
リク記事です。
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グリスシスデルバーが、モダンにおいて素晴らしいデッキかと聞かれれば、僕はいつもこうこたえることにしている。
- 安定しているデッキである
- プレッシャーを与える能力が高い
- 相手を焼ききるだけのカードに揃っている
- メタゲーム的に良い位置にいる
と。
では、まずは僕の使っているリストを見てもらおう。
19 Lands
2 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
4 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
1 Swamp/沼
1 Mountain/山
2 Island/島
1 Darkslick Shores/闇滑りの岸
2 Steam Vents/蒸気孔
1 Watery Grave/湿った墓
1 Blood Crypt/血の墓所14 Creatures
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
3 Gurmag Angler/グルマグのアンコウ
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル
1 Young Pyromancer/若き紅蓮術士
4 Delver of Secrets // Insectile Aberration/秘密を掘り下げる者//昆虫の逸脱者27 Spells
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Forked Bolt/二股の稲妻
4 Serum Visions/血清の幻視
4 Thought Scour/思考掃き
3 Gitaxian Probe/ギタクシア派の調査
3 Terminate/終止
2 Mana Leak/マナ漏出
2 Kolaghan's Command/コラガンの命令
1 Electrolyze/電解
1 Murderous Cut/残忍な切断
1 Dispel/払拭Sideboard
1 Spellskite/呪文滑り
2 Dispel/払拭
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Rough // Tumble/乱暴//転落
1 Hurkyl's Recall/ハーキルの召還術
1 Dismember/四肢切断
2 Vampiric Link/吸血の絆
3 Thoughtseize/思考囲い
1 Negate/否認
1 Spell Snare/呪文嵌め
1 Surgical Extraction/外科的摘出
デッキ難易度:4/5
僕はこの手のデルバーデッキをいくつも触ってきたがこのデッキはとてもめんどうタイプだと言えよう。また、マッチアップに有用ではないキャントリップを見つけ出すことによって安定性を得、マッチを終わらせることができる。おそらくこのデッキをつかっていると相手のハンドから勝利へのパズルを解く必要にかられることがあるだろう。
レガシーとは違い、このフォーマットにはForce of Willが存在せず、デッキに入っているカードによって消耗戦が行えるために、わざわざ消耗戦を意識した戦い方をする必要はない。また、相手のこのデッキへの対抗策は、早期決着の妨害であるがために、コラガンの命令や瞬唱の魔導士によって1:2交換を迫ることができるこのデッキはその後の消耗戦ですら強いと言えよう。
実際このデッキの長所は、相手の妨害とプレッシャーにある。一度クロックが着地してさえしまえば、こちらがせねばならないことは相手のクリーチャーを殺し、相手を焼き切ることだけである。特に強調すべきは瞬唱コラコマのコンボであろう。それによって10点以上のライフすら、一瞬にして消し飛ばすことができるのだ。
ゲームプラン
このデッキの動きを理解することによって、序盤の動きは洗練されることとなる。キャントリップを連鎖させ、墓地のカードを増やし、相手のゲームプランを崩壊させつつこちらの脅威を着地させればいいのである。
また、マナ基盤はライフを多く支払うものとなる、特にギタクシア派の調査を何枚も打つはめになればさらにそれは加速することとなる。それを避けるために、このリストでは採用枚数を3枚に押さえている。手札に依存こそするものの、ゲーム最初期のフェッチは蒸気孔などの2色土地のために使い、その後のフェッチは基本土地のサーチに使いたいと思っている。
また、最初に蒸気孔をもってきたい理由としては、2T目以降には探査クリーチャーの為に黒マナを準備しておきたいというものがある。おおよそ1T目の湿った墓のフェッチはできる限り避けたい。手札に山がある場合を除き、おおよそ蒸気孔をもってくるのがベターな選択であることだろう。
デッキに3~4枚の若き紅蓮術士を採用している場合においては、僕はギタクシア派の調査を手札に溜め込み、若き紅蓮術士を出した直後に連打することでそのまま勝利に向かおうとする。しかしながら、今回のデッキレシピでは1枚しかヤンパイを採用していないために、手札にそのカードがない限り調査を手札に溜め込む必要はないように感じている。相手のデッキがわかった上での血清の幻視の占術、また1T目のデルバーの着地を目指すために、そして1T目を単に蒸気孔のタップインで終わらせないためにこのカードを使っていくべきだろう。
このデッキにおける秘密を掘り下げる者は、単なるクロックとしての役割だけでなく、キャントリップカードの働きを大きくするものとしても働いてくれるのだ。思考掃きによって探査カードや瞬唱、コラコマの餌が墓地に落ちなかったならば、これは1マナの動きとしてもあまりよろしいものとは言えないだろう。しかしながら、デルバーが場にいるときの思考掃きはそれだけの働きだけでなく、占術でトップにのせたカードを墓地へと叩き付けることによって、占術1を実質的に誘発させることができる。それは長いトーナメントにおいてよりその効果を高めることとなるだろう。また、デルバー2枚が並ぶときには、片方が不発であったとしてももう片方の変身を誘発させることができるかもしれない。
同様にして、フェッチランドもデルバーによってトップを確認した後に起動することで、より必要なカードを引くための手助けをしてくれるだろう。このデッキは19枚の土地で運用しているようなデッキであり、その構築意図からもできる限り土地を引きたくない、という思いは理解してもらえるだろう。
血清の幻視はおおよそどのタイミングで使っても問題ないカードではあるし、瞬唱でフラッシュバックしやすいカードと言えるだろう。このデッキには多量にシャッフル手段があり、1、2ターン引かなくても問題ないことが多いのだ。もしすぐに必要だというのならば思考掃きで相手を対象にとるなどして他のキャントリップを使うのが良いだろう。
採用カードについて
秘密を掘り下げる者は、このデッキの成立要因であり、グリクシスコントロールよりこちらを優先する理由となる。1マナの脅威が増えれば増えるほど、マッチアップは大きく、こちらのプレッシャーに相手が耐えるゲームへと変化していくこととなる。飛行という回避手段はグルマグのアンコウがもたない能力であり、地上を固めてくるデッキ相手にとても有用となるだろう。
デルバーを嫌う原因として、稲妻で落ちるというものがあるのかもしれないが、それはデルバーだけでなく、瞬唱や(他のカードと組み合わせて)アンコウを落としていただろう。また、仮に落とされたとしても、それは探査コストとして生きることとなる。
稲妻なしにこのデッキを組むことは出来ないだろう。正直このカードはこのフォーマットにおいて強すぎるカードだ。そしてこのカードをピッタリのタイミングで、かつ対戦相手より多く投げつけられれば、より良いカードとして動かせること間違い無しだ。
血清の幻視は定業よりもデルバーを変身させやすいという点において実際都合の良いカードとなっている、また、このデッキが血清の幻視を一番うまく使えるデッキであると僕は思っている。
払拭はミラーマッチにおいてとても重要な打ち消しとなる。終止からアンコウを守ったり、コラガンの命令を撃ち落としたりすることができるからだ。また、このフォーマットには御霊の復讐や裂け目の突破、むかつき、魔力変、けちな贈り物といったコンボカードへのカウンターともなりうる。メインデッキに1枚だけとしているのはこれが必要とならないマッチアップも多くあるためにそれを引きすぎたせいで死んでしまうということを避けたいからだ。1枚だけでもこのカードは十分なパワーを示す上に、長期戦にでもなれば思考掃きと瞬唱の手によって、キャストすることはとても容易となる。
二股の稲妻は素晴らしいカードである。かつて僕はレガシーのRUGカラーデッキにおいて、瞬唱の魔道士とこのカードを用いて未練ある魂と戦っていた。モダンにおいてこのカードの採用率は少々下がってはいるものの、環境には親和やエルフ、カンパニーといったデッキが十分量存在している上、最悪でも本体に投げつけることができる、またミラーマッチではデルバーやヤンパイの除去にも使えるのだ。
コラガンの命令の主な用途はクロックの回収でありつつ、トリッキーな動きをすることができるカードでもある。僕の考えとしては、ライフ残量を気にすべき局面で、35%以上の確率でこのダメージレースに勝利できると思った時には2点を投げつけ、そうでない場合に於いてはディスカードを対戦相手に強いることとしている。重要とすべきは、現在のライフ総量と、今後のゲーム進行、そして現在のクロック、火力の量である。もし稲妻と瞬唱が手札にある状態で相手のライフ残量が16しかなく、除去を大量に握っているというのであれば、火力として投げつけるほうがいいだろう。
他のカードの選択については、過去の記事で触れているために今回は特に触れないこととする。もし気になることがあったらコメントしてほしい。
サイドボード
ハーキルの召還術の採用について疑問に思ったプレイヤーは多いだろうし、実際採用しているプレイヤーはすくない。しかしながら僕はこのカードを親和相手に引くことは素晴らしいと思っている。このマッチアップはこちら側が有利ではあるのだが、ドロー次第では簡単に負けてしまう。特に後攻の場合、このカードを用いて戦況をひっくり返せるのはとても大きな利点と言えるだろう。とくに瞬唱でフラッシュバックできる場合はなおさらだ。
外科的摘出の採用は、グリセルシュートが環境に増えてきたことが理由となる。このデッキが環境から消えたとしても、カンパニー系が採用する台所の嫌がらせ屋などを叩き落としたりコンボデッキのキーパーツをハンデスした後にゲームから消し去ることもできる。
呪文滑りはこのフォーマットにおける最高のサイドカードである。双子に対しては双子を曲げられるし、またサイドボード後双子を抜かれていたとしても除去を吸う事ができるカードとなる。また、同様の理由で呪禁オーラ相手にこのカードは輝く上、親和戦においても電結を曲げたり勇者をブロックしたりできるほか、護符コン相手では速攻をすべらせることもできる。
仕組まれた爆薬はこのフォーマットにおける最高の除去であり、エンチャントや勇者に対する解答ともなりうる。
乱暴//転落は、アブザンカンパニーが増えてきているために採用したカードである。相手の戦線を崩壊させつつ、こちらの盤面には一切影響を及ぼさない。紅蓮地獄ではデルバーも死んでしまうためだ。
吸血の絆は現在僕が使っているバーン対策だ。アンコウにつけるだけでなく、相手の大歓楽にエンチャントするという方法もある。相手のバーンスペルの威力が落ちるだけでなく、自身の除去に使ってくれればより良いだろうし、それを打ち消すことができればライフ総量が増えることとなる。
思考囲いはトロンと護符コンというこのデッキの天敵に対して強いよ。
他のサイドボード候補
血染めの月は確かにトロンや護符コンの対策にはなる。しかしこれを見透かされた行動を取られてしまえばその効力は大きく少なくなるだろう。特に後攻の場合に顕著なのがその遅さであり、また自身も基本土地をフェッチしてくる必要がある。手札にフェッチも基本土地もない状況ならば、自身の首を絞めることとなるだろう。
その一方で、もしグリクシス側が血染めの月を採用しなくなった場合、トロン、護符コン側はそれをケアしない動きを取ってくるようになる。そこを狙い撃つこともできるだろう。また、スケープシフト相手でも払拭を構えながら打てば相当の打撃となる。さらに言えば墨蛾が能力を失い、クロック数が大幅に減るために感染相手にも効果は高いだろう。
幽霊街・広がりゆく海も確かにトロン対策にはなるがその他の苦手なマッチアップには効果がないだろう。
ラクドスの魔除けも確かにいいサイドカードだ。外科的摘出とコラガンの命令ある今、このカードは少々居場所が少ないものの、十分選択肢とはなりうる。
対抗突風は瞬唱や他のカードとの組み合わせがかなり良質なものである、がトロン戦を考えた時に窒息への対策をするためには否認のほうがベターであると考えたのだ。もしこのカードの採用枚数が減れば、対抗突風に戻してもいいように思う。
ドラゴンの爪は、青赤デルバーを使っていた頃にバーンを無視できなかったために使っていたカードではある。このカードのおかげで勝てた試合も十分量存在しているのだが、問題としてこれを引いたどうか、そして相手が破壊的な享楽や粉々をもっているかだけの坊主めくり勝負になってしまう感を拭うことができない。
手札について
このデッキは何を目指すものなのかという理解さえきちんとしていればマリガンはそんなに難しいものではないと気づくことができるだろう。僕の場合はクロックが手札にあるか、キャントリップばっかりの手札ならばそのままゲームを始めるだろう。
土地5枚はマリガンしなくてはならない。4枚ならばデルバーや幻視、瞬唱があればまあキープと言えるだろう。とにかくこのデッキは2枚ほど土地があれば十分であり、瞬唱コラコマ用の5マナが捻出できればそれ以降の土地は全て無駄牌といっても過言ではないのだ。
また、土地がない、青マナが出ない手札も絶対にキープしないと言っておこう。
手札にほしいのはクロックであり、このデッキでコントロール型の動きをすることはとても少なく、するとしても親和やエルフ、カンパニーといったパーマネント除去でどうにかなるデッキ相手だけである。その場合においてもデルバーは十分な働きをしてくれるが、おそらく火力のほうが重要となるだろう。
また、探査生物だらけの手札にも意味が無いというのは言うまでもないだろう。
サイドボードプランについて
モダンのメタゲームは複雑であり、全てを網羅するのは不可能であるため、メジャーなマッチアップについてのみ、触れることとする。
ミラーマッチ
アウト
2 マナ漏出
2 ギタクシア派の調査
イン
1 四肢切断
1 呪文嵌め
2 払拭
グリクシスコントロール
アウト
2 マナ漏出
2 二股の稲妻
イン
1 四肢切断
1 呪文嵌め
2 払拭
このマッチアップはグリコン有利だと思っているプレイヤーが多いだろうが、キーカードとなるのは終止、クロック、そして払拭である。両方のデッキが搭載し、唱えられるカードである。相手のほうがカードパワーは高いものの、こちらのほうが効果的に使えるといえよう。このマッチアップは僕は大好きだ。
双子
アウト
2 マナ漏出
2 二股の稲妻
1 秘密を掘り下げる者
イン
1 四肢切断
1 呪文滑り
1 呪文嵌め
2 払拭
デルバーの代わりに稲妻や調査をサイドアウトすることもある。また、このマッチアップでは何を入れるかのほうが何を抜くかより重要だと言えよう。デルバー側の勝ち手段は出来る限り速くクロックを並べ、殺しきることである。双子はいわばミッドレンジであるため、長期戦になればなるほどこちらが不利となる。
トロン
アウト
2 二股の稲妻
2 終止
1 電解
1 払拭
イン
1 否認
1 呪文嵌め
3 思考囲い
1 外科的摘出
護符コンの場合には更に -若き紅蓮術士、+呪文滑りが追加となる。
若き紅蓮術士はトロン戦においても、紅蓮地獄が採用されるために良いカードではないのだが、少なくともこれらのデッキ相手でも出来る限りクロックを速く置かねば殺されるのは当然のこととなる。
熟練者との戦いは正直最悪クラスであり、相手がこちらとの勝負よりはデッキトップの勝負を繰り広げるのを見ているだけになってしまうだろう。
エルフ
アウト
2 マナ漏出
1 払拭
イン
1 仕組まれた爆薬
1 乱暴//転落
1 四肢切断
全てを破壊せよ。そうすれば勝てる。
アブザンカンパニー
アウト
2 マナ漏出
2 ギタクシア派の調査
イン
1 仕組まれた爆薬
1 乱暴//転落
1 四肢切断
1 外科的摘出
払拭を残しているのは集合した中隊や召喚の調べ対策でもあるが、他の用途にも用いる。
親和
アウト
2 マナ漏出
1 ギタクシア派の調査
イン
1 仕組まれた爆薬
1 四肢切断
1 ハーキルの召還術
バーン
アウト
3 ギタクシア派の調査
1 電解
2 コラガンの命令
イン
1 呪文嵌め
2 吸血の絆
1 呪文滑り
1 否認
1 払拭
このマッチアップは5/5を場に送り出せるようになったという点で青赤デルバーの頃より相性が良いと言えよう。特に火力や打ち消しで補助ができれば、だが。
呪文主体コンボ(ストーム、むかつき、グリセルシュートなど)
アウト
2 二股の稲妻
1 残忍な切断
1 電解
1 コラガンの命令
3 終止
イン
3 思考囲い
1 呪文嵌め
1 外科的摘出
1 否認
2 払拭
ストーム相手の時には乱暴//転落や仕組まれた爆薬を入れて巣穴からの総出に対処するだろうし、むかつき相手ならばマナファクトを割るためにコラガンの命令を使うこともあるだろう。