MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

モダンにおけるグリクシスコントロールの考え方(Grixis Control in Modern by Robert Vaughan)

Grixis Control in Modern by Robert Vaughan - Magic the Gathering (MTG)

より。

ジェイスくん、どこにでも現れるね!

ーーーーー

 モダンは見る側としてはとっても面白いフォーマットである。15回戦もみていれば相手を焼きつくすバーンからはじまり、エムラクールをなんとかしてだしてくるデッキまで様々である。そして出産の殻が禁止されて以来、モダンをめぐるメタゲームは複雑化し、全く予想ができないものとなってしまっている。

 モダンもスタンダードと同様にデッキの栄枯盛衰がとても激しいフォーマットであるにももかかわらず、それぞれのカードに対するコストが高いゆえに一般的にプレイヤーはひとつのデッキを作り上げることが多くなる。僕がこのフォーマットで戦う上で気をつけていることはすべてのデッキに5分となるようなデッキを持つことである。楽勝なマッチこそないものの、2:8の超絶不利なマッチアップも存在しない、そういうデッキがいいだろう。気になるかい?じゃあ次に進もうじゃないか

Grixis Control by Robert Vaughan

9 Creatures
2 Gurmag Angler/グルマグのアンコウ
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル
1 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆

29 Spells
2 Cryptic Command/謎めいた命令
1 Deprive/剥奪
1 Dispel/払拭
3 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Mana Leak/マナ漏出
1 Murderous Cut/残忍な切断
1 Remand/差し戻し
4 Serum Visions/血清の幻視
2 Spell Snare/呪文嵌め
4 Terminate/終止
4 Thought Scour/思考掃き

22 Lands
1 Blood Crypt/血の墓所
1 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Creeping Tar Pit/忍びよるタール坑
2 Drowned Catacomb/水没した地下墓地
3 Island/島
1 Mountain/山
4 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
1 Steam Vents/蒸気孔
2 Sulfur Falls/硫黄の滝
1 Swamp/沼
1 Watery Grave/湿った墓

Sideboard
1 Anger of the Gods/神々の憤怒
1 Dispel/払拭
3 Dragon's Claw/ドラゴンの爪
3 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
3 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
1 Grave Titan/墓所のタイタン
1 Izzet Staticaster/イゼットの静電術士
1 Keranos, God of Storms/嵐の神、ケラノス
1 Negate/否認

このリストを用いて、僕は先週Charlotteで行われたSCG Openでベスト32になることができた。そしてその結果に僕はとても満足している。僕はこの手のグリクシスコントロールをGP Charlotteの頃からずっとつかっているけれども、このデッキはモダンで今まで触ってきたデッキの中で一番のデッキである。(ここで僕達が時を越えた探索を打つことができたら、と思ったことはないことについては言及しておこう。)

どうしてこのデッキは成功したのか?

 モダンで使えるカードというものは強く制限を受けている。例えば思案、定業、そして渦巻く知識といった強力なカードを使うことができず、血清の幻視ぐらいのカードしかつかうことができない。そのために青を基調としたコントロールデッキやコンボデッキがその安定性を失うこととなってしまう。思考掃きと瞬唱の魔道士の組み合わせも若干その問題を解決してはいるものの、そのカードパワーは弱いままである。

 その問題を、コラガンの命令が大きく変えてしまったのだ。

瞬唱コラコマパッケージはほとんどのモダンのフェアデッキが対処できないレベルのカードパワーを持っている。クリーチャーを除去した上で、思考掃きで落とした瞬唱やアンコウやタシグルのような巨大探査クリーチャーを墓地から回収できるようになったことでゲーム中盤や終盤においても持続力を持つことができるようになった。これらのカードはジャンドのそれほど高いというわけでもないが、この戦略はゲーム終盤において強い影響力を持つことができるだろう。

 このデッキを調整している時に、このデッキのマナ効率について考えることがしばしばあった。一般的なマジックのゲームにおいてはマナ効率について意識しているプレイヤーが少量のアドバンテージを得ることによって勝利を獲得していることが多い。グリクシスカラーはこのマナ効率というものを多量の軽いキャントリップや除去、打ち消し呪文によって最大化することができる。探査クリーチャーもマナ効率としては素晴らしいカードであり、このデッキにおいてはほぼ確実に実質1マナのカードとして運用することができる。

 探査をするときにはこのマッチアップにおいてどのカードが重要となるかについて知識を持っておかなくてはならないだろう。このデッキは呪文の再利用をとてもよく行うデッキである。例えばジャンドに対しては呪文嵌めはむちゃくちゃに効くカードとなるが、払拭はそうでもない。そのために探査する際には呪文嵌めをできるかぎり墓地に残せるようにしつつ、払拭は真っ先に墓地から離れることとなる。これはわかりきっていることではあるが、実際に使っている時にはよくこの手のミスをやらかしてしまうのである。クリーチャーはコラガンの命令のために必要となるし、様々な呪文は瞬唱のために必須のカードとなる。このデッキは特定のマッチアップに対して効果のあるカードを何度も使い倒すというところを覚えておいてほしい。

 結局のところ、ジャンド、双子はお客様である、という点については言及しておきたい。にれら2つのデッキの核が、このデッキと対峙するときには大きく変化することとなる。双子は一直線に進むカードを多量に持っていいるものの、このデッキに対応できるだけのカードはあまり持ちあわせておらず、コンボを決めることは往々にして難しい。サイドボード後は双子もコントロールにシフトして、このデッキに似たようなデッキになるが、そのデッキはこのデッキの下位互換となるだろう。ジャンドはお客様と言ってもいいくらいで、このマッチアップは確実に消耗戦となるのだが瞬唱、コラコマ、クリコマによる2:1交換を続けることによって相手を圧殺することができるのである。

苦手とする相手は?

 このデッキはミッドレンジ型のデッキに対してはとても強いデッキではあるのだが、バーンのようなアグレッシブなデッキや、カンパニー系の1:1除去では追いつかないようなクリーチャーデッキ、そしてこのデッキの弱点であるクロックの遅さと非クリーチャーの相互作用の小ささを咎めてくるコンボデッキに対しては非常に弱いものとなる。

 現に僕が先週末負けたデッキはアブザンカンパニー、むかつき、緑白エルフ、そしてミラーマッチだった。カンパニー系のデッキはこのデッキのようなピン除去に除去を頼るデッキに対してとても強く、瞬唱を交えたとしてもこの相性差は簡単には覆らない。

 アブザン型のカンパニーデッキは頑強もちクリーチャーや復活の声によってドローゴー型のデッキを咎めることができ、そしてタップアウトしてしまえばコンボを決めてしまう。一方でエルフはよっぽどフェアなデッキではある。このマッチアップにおいてはこのデッキはビートダウンに傾くこととなる。このマッチアップに対する不公平さは拭うことができなかった。対戦相手は自分のしたいことをしているだけで、コンボプランに移行することなく、軽量の脅威を用いたビートダウンプランを突き通されてしまったのだ。サイドボード後には安らかなる眠りがぶっ刺さるために、神々の憤怒に替えて仕組まれた爆薬を採用したもののあまり効果をなさなかった。カードの採用についてあまり後悔はなく、また今後カンパニー系のデッキはそれほどに増えるとは思えない。また、追加の憤怒によってこのマッチアップが改善するとはあまり思えない。

 むかつきは何度か対戦したことがあるデッキではあるのだが、このデッキがこのフォーマットに存在していることに対して大きく不満をもっている。このデッキに不慣れの人のために解説をしておくと、このデッキが目指すことは睡蓮の花や五元のプリズムの手によってマナを稼ぎ、天使の嗜みやファイレクシアの非生、否定の契約を携えながらむかつきをキャストすることでデッキをすべて引き、その後稲妻の嵐によって土地をすべて捨てきって相手を殺す、という動きである。対処しやすそうだよね?実際のところ、このデッキは動くためのピースが大量にあるものの、実際に重要となるカードはそこまで多くない。むかつきなしではどうにもできないのだ。そのために対戦相手はそれをサーチする手段、そしてそれを守る手段を多量にもっている。だからこそ、決してタップアウトをしてはいけないのだ。僕の場合、ゲーム1はプレイミスで落としたも同然だった。睡蓮の花を破壊するためにタップアウトしてしまったためにむかつきを許可してしまい、そのまま死んでしまったのだ。なんということだ。

 そして最後の負けはMichel Majorのグリクシスコントロールだったのだが、彼はヴリンの神童、ジェイスをデッキの中に取り込んでいた。これはとても強いカードではないかと思われる。稲妻や突然の衰微といった除去の的とはなってしまうものの、このジェイスはゲームを決めるだけの力を持っていると僕は思っている。これまでのグリクシスコンミラーでは起こりえなかった稲妻の的みたいなものだろう、と思っていたがコラコマを打たれた後の二度目には終止させる必要があり、やられた、と思った。このジェイスに対してはすぐに解答しなくてはならず、仮にそうであってもこのカードだけでアドバンテージを稼ぐことができるのだ。また、このカードの追加によってコジレックの審問や思考囲いといったカードの採用がより行いやすくなることだろう。

そしてその先へ

Grixis Control by Michael Majors
Finished 5th - 8th Place at 2015 StarCity Open Modern - Charlotte - 8/23
10 Creatures
4 Jace, Vryn's Prodigy/ヴリンの神童、ジェイス
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル

27 Spells
2 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
3 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
3 Remand/差し戻し
4 Serum Visions/血清の幻視
2 Spell Snare/呪文嵌め
3 Terminate/終止
2 Thought Scour/思考掃き

23 Lands
3 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Blood Crypt/血の墓所
2 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
2 Creeping Tar Pit/忍びよるタール坑
1 Darkslick Shores/闇滑りの岸
2 Island/島
1 Mountain/山
4 Polluted Delta/汚染された三角州
3 Scalding Tarn/沸騰する小湖
1 Steam Vents/蒸気孔
2 Swamp/沼
1 Watery Grave/湿った墓

Sideboard
3 Dispel/払拭
2 Dragon's Claw/ドラゴンの爪
3 Molten Rain/溶鉄の雨
2 Nihil Spellbomb/虚無の呪文爆弾
2 Pyroclasm/紅蓮地獄
2 Spellskite/呪文滑り
1 Thoughtseize/思考囲い

 ジェイスを採用するのであれば、軽いハンデスはとても効果があると考えられる、というのもこのカードでは瞬唱のように打ち消し呪文を使うことができないからである。そしてこの変化によってこのデッキはコンボデッキに対してより能動的に動けるようになり、コンボデッキが手札を整えるだけの猶予を与えないようにできるとなる。Majorのデッキはゲームを終わらえる時のクロックが若干足りていない用に思えるので、僕はこのデッキに対してグルマグのアンコウを2枚採用するのは悪くないと思っている。

 これらの利点は無償で手に入れられるわけではなく、このカードの採用によってクリコマなどの打ち消し呪文をデッキから手放すこととなった。呪文嵌めはこの手のリストで真っ先に抜かれるカードであるだろうとは思っている。このカードの強さは十分に理解しているが、これはコジレックの審問によって十分に補うことができるだろう。そしてこの変化によって変わるのはマナ効率だけでなく、土地の採用の仕方もである。クリコマを抜くことによってUUUを準備する必要がなくなり、黒割れの崖を採用できるようになった。この土地はこのデッキの変化に対してとても効果的なカードであり、序盤の動きを潤滑にするだけでなく、窒息への対処もし安くなり、不利なマッチアップを改善させることもできる。ああ、利点ばかりではないか。

 Majorがこのリストに施したもう一つの大きな変化は大爆発の魔道士や血染めの月に変えて溶鉄の雨を搭載している点にある。僕のリストではコラガンの命令によって大爆発の魔道士を使いまわすことによって土地基盤のマッチアップに対して対処していたが、瞬唱とジェイスを採用している今ならばソーサリーで対処できる方がより理にかなっているということができるだろう。

 今週末僕はNJで行われるSCG Invitationalに参加するつもりで、このトーナメントはレガシーとスタンダードで行われるものではあるが僕は日曜に行われるModern 5kに参加しようと思っている。今回はMajorのリストにアンコウを加える事でより迅速にクロックを刻めるようになると思っている。今週末マジックをしていようとしていなかろうとも、楽しい週末になることを祈っているよ!