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えっ!!モダンでジェスカイサヒーリを!?(Modern Jeskai Saheeli—No, That’s Not a Typo)

» Modern Jeskai Saheeli—No, That’s Not a Typo

より。

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 (記事投稿当時)先週末に2ヶ所でモダンGPが開かれた。ヨーロッパの開催ではなかったために僕自身は参加できなかったが、チームメイトがブリスベンへと持ち込んだデッキが何なのかが気になった。そしてその返答として、サヒーリの名をモダンでも聞くこととなったのだ。

  Jason ChangにGPブリスベンで何を使っているか聞いたところ、ジェスカイサヒーリだよ、という返答があった。この言葉を受け、僕はフォーマットがスタンダードであると勘違いし、マルドゥ機体がメタゲーム上に多量に残っている環境でそのデッキはまずいんじゃない?というメッセージを送ったのだ。その返答として、このデッキリストが僕の眼前に現れたのである。

ジェスカイサヒーリ

土地
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
4 溢れかえる岸辺/Flooded Strand
1 乾燥台地/Arid Mesa
2 蒸気孔/Steam Vents
2 神聖なる泉/Hallowed Fountain
1 聖なる鋳造所/Sacred Foundry
2 硫黄の滝/Sulfur Falls
1 氷河の城砦/Glacial Fortress
1 僻地の灯台/Desolate Lighthouse
3 島/Island
1 平地/Plains
1 山/Mountain
クリーチャー
4 瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage
1 呪文滑り/Spellskite
1 ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique
4 守護フェリダー/Felidar Guardian
1 ピア・ナラーとキラン・ナラー/Pia and Kiran Nalaar
1 奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk
呪文
4 血清の幻視/Serum Visions
4 流刑への道/Path to Exile
4 稲妻/Lightning Bolt
1 稲妻のらせん/Lightning Helix
1 至高の評決/Supreme Verdict
4 差し戻し/Remand
3 広がりゆく海/Spreading Seas
4 サヒーリ・ライ/Saheeli Rai

サイドボード
2 石のような静寂/Stony Silence
2 安らかなる眠り/Rest in Peace
1 摩耗/Wear // 損耗/Tear
1 仕組まれた爆薬/Engineered Explosives
1 広がりゆく海/Spreading Seas
1 至高の評決/Supreme Verdict
2 神聖な協力/Blessed Alliance
1 機を見た援軍/Timely Reinforcements
1 天界の粛清/Celestial Purge
2 払拭/Dispel
1 思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought

 このデッキリストに惹かれた結果、僕はMOで早速この構築を試し、野試合でも回してみたのだ。その結果このデッキがとても大好きになり、また試合自体も大いに楽しめた。

 結局このデッキを使ったのはMTGBentcardsの一員たるAnthony Leeだけではあったが、彼は結局28位入賞という素晴らしい結果を得たのだ。今回は僕が使っていたリストについて紐解いていこうと思う。

 

 おそらくこのサヒーリフェリダーのコンボについてはよく知っているだろうし、かつての双子コンボがどれほどに恐ろしいものだったかもよく知っていることだろう。コントロールデッキが即死手段を持っているのはモダンのようなコントロールし切ることが実質的に不可能なフォーマットにおいてはとても重要だ。もし相手を制圧することができないと思ったときにはそのまま即死コースをたどればいいのだから。

 サヒーリとフェリダー、その両方はカードアドバンテージを稼いでくれるカードにもなる。相手が突然の衰微を構えていることが明白なのならば、瞬唱稲妻という青赤「いつもの」パッケージによるクロックパーミッションプランも取ることができる。

 また、今回この構築においてはフェリダーの能力を最大限に活用するために広がりゆく海を3枚採用している。正直このカードは前兆の壁より優先して採用されるカードとなるだろう。昨今のモダンに於いては前兆の壁は壁として役立たずとなりやすく、一方海は面倒な土地をすべて殺すことができる。エルドラージやトロンといったトリコロールコントロール殺しのデッキに対する切り札として、この無限コンボとともに重圧をかけられるのだ。

 ほかのCip持ちクリーチャーとしてはナラー夫妻やヴェンディリオンを採用している。伝説性ゆえにサヒーリとの相性の悪さは確かにあるもののそれをもっても余りある活躍をしてくれるし、フェリダーのブリンクの場合には全く問題がない。

 そして奔流の機械巨人である。このカード自体は以前のモダンGPにおいて上位入賞したデッキにも採用されており、ブリンク能力やサヒーリ奥義とも相性が良い。

 そして太陽のタイタンも採用圏内のカードであると言えよう。サヒーリを釣り上げ、コピーすることでアドバンテージを大きく取ることができる上、墓地に2枚以上のサヒーリがあれば無限コンボも達成できる。とはいえメインで6マナという動きはやはりモダンと言う環境にはそぐわないという思いがあるし、奔流の機械巨人のほうが実際使いやすいと思っている。

 そして今回打ち消しとして採用したのは差し戻し4枚だけだ。実際このデッキはテンポデッキとしての動きを取りやすいため、マナ漏出や論理の結び目より差し戻しのほうが有用に働いてくれる。

 そしてこのデッキに採用されている至高の評決はあまり好きではないカードとなる。たとえそれが盤面をひっくり返せる、このようなコントロールデッキ用のものであったとしても、だ。

 更にマナ基盤についてもこのデッキはテンポを重視したいためタップインランドを大きく嫌う事となる。その為天界の列柱や尖塔断の運河のようなカードは採用されていない事となる。

 

 次にサイドボードについて、と言いたいところだがモダンにおけるサイドボーディングはとても難しいものであり、おおよそそのプランというものは無駄に終わる。というのもTier1たりうるデッキの数が非常に多く、同じデッキでもその構築に大きく差が生まれることが多いためだ。

 とはいえ絶対にサイドボードに安らかなる眠りは2枚いれておくべきだ。ドレッジは今なお強力なデッキであり、ブリスベンでそれは実証された。Zen Takahashi、Lee Shi Tianはドレッジを使い各々ほぼ負け無しだったのだ。

 思考を築くもの、ジェイスについては最初はフェリダーとの相性も相まってメインデッキでの採用となっていたが、マナカーブが高くなりすぎることを懸念した結果対ミッドレンジ用のサイドボードでの採用となった。未練ある魂耐性を含め、このカードの強さを忘れているプレイヤーは数多くいることだろう。

 神聖な協力は死の影ジャンドやエルドラージトロン対策である。この頃メタゲーム上での位置を上げているこれらの対策をしない理由もないだろう。それもあって神々の憤怒より至高の評決を優先して採用しているのだ。

 

 もしスタンダードでのジェスカイサヒーリに熟達しているのならば、モダンでもこのデッキを使うべきだろう。様々な手段で相手に干渉し、その能力はスタンのそれを凌駕する効果と軽さをもつ。

 サヒーリを更地に着地させれば相手のマナを実質縛ることができる上に、結局コンボに至れなくてもそれまでの過程でダメージを稼ぐことはできるだろう。

 また、フェッチショック環境であるモダンの特性を利用し、稲妻を顔面に投げつける動きは想定している以上に起こることとなる。亡き双子の魂を受け継ぎたい者は、このデッキを手に取り、その懐かしき日々に思いを馳せてみるのもいいのではないだろうか?