MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

グリクシスコンの使い方(Grixis Control Deck Guide By Corey Burkhart)

» Grixis Control Deck Guide

より。

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 やあみんな!僕はグリクシス大好きな南カルフォルニアのゴールドプロ、Corey Burkhartだ!グリクシス好きが相まって知り合いからは「沼の王」とまで呼ばれていたし今回Dallasにおいて準優勝という栄冠を掲げることが出来た。今回はそのデッキについてサイドボーディング法を紹介する(編注:近いうちに翻訳予定です。)とともに、モダン環境にどのようにアプローチしていくべきかについて述べていきたいと思う。

グリクシスコントロール

Lands
4 汚染された三角州/Polluted Delta
4 沸騰する小湖/Scalding Tarn
3 島/Island
1 沼/Swamp
1 山/Mountain
2 忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit
1 尖塔断の運河/Spirebluff Canal
1 硫黄の滝/Sulfur Falls
2 湿った墓/Watery Grave
2 蒸気孔/Steam Vents
1 血の墓所/Blood Crypt
Creatures
4 瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage
3 黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang
Spells
4 祖先の幻視/Ancestral Vision
4 思考掃き/Thought Scour
4 血清の幻視/Serum Visions
4 稲妻/Lightning Bolt
1 仕組まれた爆薬/Engineered Explosives
2 呪文嵌め/Spell Snare
3 終止/Terminate
2 対抗突風/Countersquall
3 コラガンの命令/Kolaghan's Command
4 謎めいた命令/Cryptic Command
Sideboard
3 大爆発の魔道士/Fulminator Mage
3 外科的摘出/Surgical Extraction
2 太陽のしずく/Sun Droplet
2 神々の憤怒/Anger of the Gods
2 払拭/Dispel
1 滅び/Damnation
1 イゼットの静電術師/Izzet Staticaster
1 仕組まれた爆薬/Engineered Explosives

グリクシスの動きとは?

 グリクシスの目指す動きはジャンド、アブザンのそれにとても良く類似している。その原点は一本筋なデッキの戦略を破壊し、コンボデッキのパーツをぶち壊す、というコントロールデッキの性質にある。ジャンドやアブザンはハンデスによってそれを達成しようとするが、グリクシスは盤面のカードを除去することによって、そして打ち消し呪文を駆使することによってそれを達成しようとする。
 ジャンドやアブザンが強い理由として、積極的に相手の勝ち筋を潰していけるという点があげられる。思考囲いやコジレックの審問、集団的蛮行によって相手のキーパーツを次々と破壊していくことで相手の動きはどんどん鈍っていってくれるのである。一方グリクシスのような重コントロールデッキにおいてはどちらかと言うとマナに合わせた柔軟な動きが要求されることとなる。相手の使った呪文よりこちらの打ち消しのほうが軽ければ軽いほど都合がいいということとなる。しかしながらその裏目として打ち消したくない呪文が飛んできたり、マナを無駄に消費させようとしてきたりするという動きがあり、この相手の動きを理解することによって初めてグリクシスデッキをうまく使えるようになり始めるのである。

瞬速のゲーム

 様々な打ち消し呪文がデッキに入っていることもあり、むしろその様々な動きをできるような立ち振舞をする必要がある。3T目までは絶対に2マナ以上を立て続けることによって打ち消しの香りを匂わせる必要があるし、そうすれば相手の動きを実質的に縛ることができる。逆にこちらがマナを完全に倒して動いてしまえば相手の動きに対応するのはそれだけ難しいこととなり、インスタント呪文の恐ろしさを叩きつけることができなくなってしまうのだ。
 モダンはたしかに3、4Tで決着がついてしまう速いフォーマットではあるため、自身を守るためにうまく立ち回る必要がある。コントロールを使おうとするのならば、相手の脅威全てに対応し、相手の戦略を押しつぶし、コンボの道を絶つ必要があり、そのために様々なカードが必要となってくるのである。
 ジャンドがそうであるように、稲妻や終止を用いてクリーチャーを排除するのはそう難しいことではない。低いマナコストでほぼすべてのクリーチャーを対処できるのはとても大きな意味を持ってくれるだろう。呪文嵌めはその汎用性の割にプレイされていないカードではあるが、それはそもそもコントロールデッキを組もうとする人がいないことにある。頭蓋囲いや電結の荒廃者、荒廃の工作員に遥か見、長老、漁る軟泥にタルモゴイフ、そして剥ぎ取りにボブ。2マナ域の強カードを1マナで打ち消せることの強さを鑑み、また後半戦でも息の根を止めるカードとして運用できることを思えばその強さはすぐに理解できることだろう。

後半戦

 まず、モダン環境で後半戦を戦いたいというのならばきちんとした戦略をねっておく必要があるだろう。そしてこのデッキはトロンは別として長期戦に最も強いデッキとなってくれるのだ。
 瞬唱、クリコマ、祖先の幻視、コラコマ。
 この4種のカードによって相手の1:1交換を狙ってくる動きは無に返ることとなる。祖先の幻視は1T目の動きとして最高のものであり、解禁以来このカードをいかにうまく使うかをずっと考えてきた。祖先の幻視によって様々な機能がデッキに与えられることとなる。グリクシスにおいては相手に干渉してくるカードにあふれているためつまりどういうことになるかは想像におまかせしておこう。戦場がまっさらになったとき、そこには祖先の幻視の残した3枚の手札が残ることとなり、2回めの相手の動きを咎めるカードにあふれてくれるのである。1:1交換しかない世界において1:3交換できるカードがどれほど強いことか。
 瞬唱の魔道士こそ、モダン最強の青いカードとなる。青いデッキでコンボなしで相手を倒そうとするのならば、とりあえず瞬唱4をデッキリストに書き込むところから構築を始めてしまってもいいレベルである。瞬唱によって中盤以降に広がる選択肢は無限大となり、命令と合わせて使うことによってこれらの単なるコントロール用カードをテンポカードとしても運用することができるようになるのだ。
 コラコマ、クリコマは相手の戦略を完全に内潰す柔軟性をデッキに与えてくれることとなる。おおよそこのカードは死者再生+カラスの罪、対抗呪文+霧中の到達となってくれるわけだが、ここで気にするべきはこれらのカードの単純なCMCの合計値はコラコマ、クリコマのそれより1マナ少ないこととなる。しかしながらその1マナ分によって柔軟な動きを取ることができるようになってくれるのである。これらの命令をゲームの動きに応じてうまく使い分けることによってゲームに勝つこともできるし、逆も十分に有り得ることとなるのである。消耗戦、対コンボ、対アグロ、様々な動きがこれらのカードに要求されることとなり、基本的にこのカードがサイドアウトされることはないと思っている。できることならどちらも4枚フル投入しておきたいくらいである。
 血清の幻視、思考掃き、タシグルの3枚はデッキの動きを安定化させてくれるカードだ。血清の幻視については今更書くようなこともないので省略しておく。一方思考掃きとタシグルについてはとても素晴らしいパッケージとなるためここで紹介しておこう。思考掃きは青い暗黒の儀式であり、1マナで墓地を3枚も増やすことができるのである。しかもこのマナはマナプールではなく墓地に溜まっていってくれる上に、時には対戦相手のデッキトップを破壊しながらキャントリップすることを可能としてくれるのである。この効果は瞬唱やコラコマと組み合わせることもできるし、フェッチとうまく組み合わせることができれば2T目タシグルのキャストもできるようになるのだ。これらのカードはよくデッキから抜かれていくのを見てしまうが、これらはこのデッキの屋台骨となるのだ。確かにこれらのカードでゲームに勝つことは出来ないものの、様々なゲームを画一化するだけでなく、マッチアップにおいて必要な除去や、ライフを守る打ち消し、そしてゲームを決める切り札となってくれるのだ。

メタゲーム依存のパーツ

 僕は仕組まれた爆薬にとても大きく信頼を寄せている。そもそもマジックそれぞれの色には弱点が有り、そしてそれはそれぞれの断片にも拡張できるのである。例えばグリクシスカラーは着地したエンチャントへの対処能力を持っていない。謎めいた命令でバウンスすることも確かに可能ではあるがおそすぎたり、そもそも打てなかったりするのである。窒息や血染めの月、安らかなる眠りといったエンチャントに対抗するためのカードとして仕組まれた爆薬が存在するのだ。クリーチャー主体のデッキに対しては盤面を掃除する解答ともなってくれるため、腐ることも殆ど無いと言えよう。

 また、かつてGPLAで入賞したときには対抗突風が本当に使えるカードなのかに疑問を持っていた。僕はゼンディカー以降にしかマジックをプレイしておらず、ろくに対抗突風が使われる姿を目にしたことがなかったのだ。対抗突風は否認と黒マナの要求という点で大きな違いがあるが、それでもなお予想以上に2点のライフロスは大きな働きをしてくれたのだ。14ラウンドの中で7回はこのカードによってキルターンが変化したし、この黒マナ要求が問題となったのはたったの2回しかなかったのだ。(不運なことにそのうち1回が決勝だったわけだが)

 そして僕がこれらのカードを採用していたのはSCZ、親和、赤緑ヴァラクートといったデッキが多いだろうと予想していたからだ。もっとバントエルドラージやマーフォーク、バーン、呪禁オーラが多いと予想しているならば四肢切断や否認、呪文嵌めや本質の摘出、肉貪りといったカードを採用すべきだろう。グリクシスカラーはモダンのメタゲームの中でも戦っていくだけのカードを十分にはもっているが、いかんせん75枚しかカードを使うことができないという点が問題となる。例えばサイドボードが25枚取れるのならばグリクシスは素晴らしいデッキ足りうるのだろうが、15枚だけだからこそ、モダンという大海に沈んでしまっている部分がある。

ダンでの戦い方

 ゴールドレベルプロとして様々なGPを今まで巡ってきた。少なくとも20のGPにおいて、僕の姿を見ることはできただろう。そのなかでもモダンは最高のフォーマットだといえよう。これはプロの間では珍しい意見といえる。モダンはスタンダードやリミテッドより高いレベルの様々なスキルを要求され、かつレガシーに似た様相を呈しているのである。

 モダントーナメントにおいて成功を収めようとするならば、ここ最近の大きなトーナメント結果やMOのメタゲーム、そして新弾のカードを確認すべきだろう。セミプロのプレイヤーにとってモダンはセット発売のとき、もしくは2〜4ヶ月おきのシーズンのときぐらいにしかプレイされないものではあるが、それだけでもトップレベルになれるだけの実力をつけることができるのだ。今回部族とバーンがそうだったようにうまくいかないデッキも時には存在はするが、多くの人はそれでもそのデッキを使っているし、実際そのデッキは素晴らしいデッキなのだ。確かに新しい、強いデッキをモダンに求めたくなる気持ちもわかるが、他のプレイヤー達もみなそうであるというわけではないことはしっかりと心に刻んでおくべきだろう。

 その知識を元にすれば青赤果敢やドレッジが過去のシェアより多いものとなることはおおよそ想像がついた。これらのデッキはどちらも3T目の勝利を目指したデッキではあるが、ドレッジのほうが消耗戦に強く、稲妻系の除去に強いということから今回はドレッジ対策を多めにとったチューンナップろしたこととなる。

 3Tキルデッキに文句を言う前に、どのようにそれらのデッキを対策するかを考えたほうがいいだろう。青赤果敢、感染、SCZはクリーチャーのワンパンチでこちらのライフを吹き飛ばそうとしてくるデッキであり、スケープシフト、むかつき、グリセルシュート、ランタンコンはゲームを決める呪文を探しだし、通すデッキなのである。

 このフォーマットでフェアデッキを使うことは確かに素晴らしいことである。どのようなデッキがトップメタになるかをしっかりと予測し、それらの多様な戦略に対してどのようなカードを使って対策が可能かをしっかりと熟慮する必要がある。悲しいかなモダンWotCが当初望んでいた4Tkillフォーマットではもうなく、3Tkillフォーマットとなってしまっている。確かにその是正のために、多少のカードは禁止されるべきではあるかもしれないが、今現在僕はその必要はないのではないか、と思っている節もある。とはいえ確かにモダンは超高速環境になっており、Wizardsがこのフォーマットの定義を変更する日もそう遠くないのでは、という思いも確かにある。

 デッキ選択に関して言うならば、自分にあっているデッキを使うのが一番という点もある。僕は青いカードが大好きだ。モダン環境における青のカードパワーは確かに低いが、他の色と組み合わせた時のシナジーは本当に素晴らしいものとなる。対戦相手のドローステップに何枚目かのコラガンの命令を唱えた時の相手の顔を見るのがとても楽しいのだ。モダンやレガシーといったエターナル系フォーマットにおいては愛すべきデッキを見つけ、それをしっかりと練習することが勝利への第一歩となってくれるのである。少なくとも僕はこのグリクシスデッキと3桁台の試合はこなしてきているし、おおよそ僕の今のプレイは過去のそれを踏まえたものとなっているのである。きちんとした練習をしたうえでトーナメントに望むことができれば、たとえTier7のようなデッキだと揶揄されたとしても、しっかりと勝ち切ることができるのだ。

 これを読み終えた今、君はもう十分な力をもつ戦士となった。もし気になることがあればコメント欄やTwitterで是非聞いてほしい。