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MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

バントエルドラージのサイドボードについての考察(Taking a Good Hard Look at Bant Eldrazi’s Sideboard By Brian Braun-Duin)

エルドラージ

» Taking a Good Hard Look at Bant Eldrazi’s Sideboard

より。

ーーーーー

 バントエルドラージは不思議なデッキである。最高のデッキであり、そして最低のデッキである。さらに言えば多様なサイドボードをもっているが、全く役に立たないサイドボードともいうことができる。

  どうしてこのような言説が成立してしまうのか。これはこのデッキのムラに由来する部分がとても大きい。貴族の教主→難題の予見者→現実を砕くものと動くことができればたいていのデッキをだまらせることができるだろう。一方で飛行持ち2/1や実質的な破壊耐性持ち3/2の3マナクリーチャーが初動となってしまうこともあり、これはモダンのスピードを考慮するに全くもっていい動きとはいえなくなるわけである。

 これはサイドボードにも同様のことが言える。古きものの活性の手によって仕組まれた爆薬や墓掘りの檻、呪文滑りをサーチすることができる。うまく行けばゲームは完全にこちらのものとなる。といってもそんなカードが通用しないマッチアップもこの環境には多くあり、流刑への道が実質こちらのクリーチャーに打つランパンにしかならなかったり四肢切断を残していたとしても有用とならないマッチアップだってあるだろう。最悪、大会に持ち込んだサイドの半分も使えないようなあたり方だって十分に起こりうるのである。

 確かに、バントエルドラージは素晴らしいデッキだとは思っている。しかしそれは「サイドボードが良好に作られている時」に限った話なのである。より素晴らしい、より意味のある、つまりより強いサイドボードを作ることができれば最良のデッキになるのは言うまでもない。正直僕自身もサイドボードがどのようにあるべきかについてははっきりとはいえないが、しかしながらどうあってはいけないかという点についてははっきりと言えるだろう。

 では、その話を僕の世界選手権でのデッキを基として進めていこう。

Bant Eldrazi

Lands
1 Hallowed Fountain/神聖なる泉
1 Temple Garden/寺院の庭
4 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
3 Yavimaya Coast/ヤヴィマヤの沿岸
1 Breeding Pool/繁殖池
3 Brushland/低木林地
4 Cavern of Souls/魂の洞窟
4 Eldrazi Temple/エルドラージの寺院
2 Forest/森
1 Plains/平地
Creatures
3 Drowner of Hope/希望を溺れさせるもの
4 Eldrazi Displacer/変位エルドラージ
2 Eldrazi Skyspawner/空中生成エルドラージ
3 Matter Reshaper/作り変えるもの
4 Noble Hierarch/貴族の教主
4 Thought-Knot Seer/難題の予見者
1 Spellskite/呪文滑り
4 Reality Smasher/現実を砕くもの
Spells
4 Path to Exile/流刑への道
4 Ancient Stirrings/古きものの活性
2 Dismember/四肢切断
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
Sideboard
4 Chalice of the Void/虚空の杯
2 Elspeth, Sun's Champion/太陽の勇者、エルズペス
2 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
2 Grafdigger's Cage/墓掘りの檻
1 Rest in Peace/安らかなる眠り
3 Stony Silence/石のような静寂
1 Worship/崇拝

 メインデッキについては特に触れるようなところもないだろう。あえて言うとするならば希望を溺れさせるものが3枚であるというところだろうか。これについてはアグロ環境であるがためにこれをキャストするタイミングがあまりないというものが理由となる。次に作り変えるものと空中生成エルドラージが3/2の採用となっている点について、これは空中生成エルドラージの適切な枚数がわからなかったのである。老いたる深海鬼のようなスパイスを採用はせずに、呪文滑りと仕組まれた爆薬を採用しているのはどちらもメインで活躍できるわけではないものの特定のマッチアップにおいては切り札となる可能性を秘めているというものに由来し、またそのようなマッチアップにおいて古きものの活性の手によって探すことも容易であるという点がある。極楽鳥を採用していないのは初手に来ないかぎりこのカードがデッキ最弱のカードで在り続け、つまるところ死に札となってしまうのを恐れてしまったからである。

 そして今回のマナ基盤については特にはいじっていなかったものの、太陽ペスをサイドに採用していることを考慮すれば2枚にすべきは森ではなく平地だったと言えよう。

 ……いや、今回話をしたいのはメインボードについてのものではない。サイドボードについての話をしたいのだ。幸運なことにこのデッキはMtGのカードが新枠になって以来全ての青緑白無色のカードを巧みに操ることができるのだ。しかしながらそのすべてを最大限に活用しているリストを見つけたことは僕自身未だにないのである。とはいえ、飽くなき探求によりそれはいずれ達成できると僕は信じている。

 サイドボードをより良いものにするために必要なことはこのデッキがほんとうに必要としているものがなんなのかをきちんと把握することである。幸いなことにもバントエルドラージはサイドボードがあまり、もしくはほとんど必要ないマッチアップが存在するデッキである。そのため本当に必要なデッキに対してのみサイドボードをしっかり割くことができるのである。また、それを念頭において過剰なサイドボーディングをしないように心がける必要もある。

 ではまず、ミッドレンジやクリーチャー主体のデッキ相手の話をしたいが、こここそが先に述べたカードが必要ないマッチアップとなる。エルドラージのサイズ、速さ、破壊力。流刑への道や四肢切断といった軽量除去、更に変位エルドラージの存在によってコンバットは完全にこちらの世界のものとなる。仕組まれた爆薬がさらなる補助となってくれるだろう。残忍な剥ぎ取りやタルモゴイフ、漁る軟泥をX=2で、未練ある魂のトークンはX=0で爆殺することができるのである。このカラーリングにおいてこの2種類のデッキは餌となることが多いために、そこまでサイドボードを取る必要はないといえる。

 一方でサイドボードを割くべきは親和やコンボ、墓地利用型のデッキとなる。たとえフェアデッキへのサイドカードが数枚しかない状態になったとしても、これらのデッキをきちんと対策することがこのデッキで勝つためのより良い方法となるのだ。

入れたいカード

 ざっくりと言って以下の通りとなる。

1 太陽の勇者、エルズペス

2 石のような静寂

2 仕組まれた爆薬

3 墓掘りの檻/安らかなる眠り(枚数の分け方は好みで)

 太陽の勇者、エルズペスはフェアデッキに対して1、2枚採用したいものの、それより多くはいらない。プレインズウォーカーという選択肢はサイドボードとしてとても強烈であり、中でも太陽ペスはその頂点に君臨するといえよう。このカードだけでゲームは容易に終わらせることができるうえ、触れる札もおおよそないと言ってしまっていいだろう。キャスト自体もそこまで難しいものではなく、環境の除去の流刑へのシフトがその追い風となっている。

 石のような静寂は親和対策として必須である。

 仕組まれた爆薬についても必須のカードといえよう。このカードの多様性はアンフェア、フェアに関係なく使える点よりすぐに分かってもらえるだろうし、古きものの活性によってサーチできる点がその採用可能性を大きく向上させている。

 また、墓地対策も必須といえる。安らかなる眠りと墓掘りの檻のどちらを採用すべきかには一考の余地がある。どちらも似た役割をもっているもののちょっとした差があるのだ。

 そして最終的にはこのような形に落ち着くこととなるだろう。

2 太陽の勇者、エルズペス/ギデオン・ジュラ

3 石のような静寂

3 仕組まれた爆薬(メインサイド合わせで)

4 墓掘りの檻/安らかなる眠り

  というわけでおおよそ8-12枚のサイドボードが確定することとなる。そして残りの7-3枚について考えることとなるのだ。

悩ましいカード

 入れたいカードではあるが、本当に必要なのか悩ましいカードが以下に続くこととなる。

 その筆頭が崇拝である。確かにこのカードは大好きだしとても強い。置くだけでゲームを取ることができるマッチアップも多くあるだろう。しかしながら重く遅いのである。またこのカードが輝くマッチアップに遭遇しない可能性も十分にあるのだ。尖ったサイドボードである上、これを本当に入れる必要があるのか怪しいマッチアップも少なく無いといえるだろう。

 虚空の杯も似たようなカードと言える。実際僕も最終的にコンポカードを採用したが、その理由はこのカードがぶっ刺さるデッキがある点と古きものの活性で探せる点の2つによっている。とはいえこれも尖ったカードであり、かつネタがバレてしまえばアーティファクト対策がきちんと取られているデッキならば容易に対処されてしまうのである。また、このデッキの動きの都合、置くとするならば古きものの活性や流刑への道とかぶるX=1での設置ではなく、3T目のX=2での設置が基本となる。とこのカードを使うためには非常に多くの練習が必要となることだろう。

 そして最後に出したいのが神聖な協力である。このカードの強力さは理解しているものの、このカードが必要となるマッチアップはエルドラージが得意なマッチアップとほぼかぶっているのである。そのため実際に世界選手権において僕はこのカードを採用しなかったし、今後もこのカードを採用することはないと思っている。これ以上こちらが有利なマッチアップに対して対策をとっても無駄となるからだ。

個人的に入れたくないカード

 世界を壊すものは多くのバントエルドラージに採用されているが、僕はこのカードは必要ないと思っている。重すぎる上、解答としても成立していないのである。確かにすべての回答となりうるかもしれないが、ミラーマッチにおいてもあまり活躍するとは思っていないのである。また、ミッドレンジに対しても7マナというマナ域は有用とはいえないのである。ウギンの目があるならまだ使ったかもしれないが、またあの冬を体験したいという者ももういないだろう。

 頑固な否認もあまり好きではないカードとなる。大抵の場合、このカードは魔力の乱れにしかならないのである。実際このデッキで獰猛を満たすことができるのは11枚しか存在せず、それが着地したターンに構えることも難しい。正直このカードをうまく運用できるタイミングがほぼないのである。

サイドボードが必要なマッチアップ

 スケープシフト、タイタンシフト、むかつきを始めとしたコンボデッキ。これらが対策すべきデッキとなる。エルフやアブザンカンパニーといったクリーチャーコンボについてもその中に数えていいかもしれない。

 その手のデッキに対しては確かに、頑固な否認が強いかもしれない。しかしながらそのブレ幅を考慮するにより強いカードがあると僕は思っている。

 否認、統一された意思、軽蔑的な一撃がそれにあたる。とは言えこれらにも一長一短はあり、例えば否認はタイタンを打ち消せず、統一された意思は序盤に打てず、安定しない、軽蔑的な一撃は3マナ以下の呪文に対しては効果がないのだ。しかしながらそれを鑑みてもクリーチャーでさえなければ、クリーチャーさえ揃えば、4マナ以上であれば実質的な対抗呪文となる長所は素晴らしいものであり、このデッキの抱える不利なマッチアップの改善策として有用となってくれるのである。

 虚空の杯もまた、有用なカードとは言えるかもしれないが、しかしスケープシフト系のデッキについては弱い札となってしまう。

 ルーンの光輪についてはむかつきの使ってくる稲妻の嵐や、ストームの使ってくるぶどう弾、スケープシフトのヴァラクートといった切り札を殺す対策札ともなりうるが、狭い上にそれをすり抜けてくる勝ち手段も相手は用意している。例えばストームには巣穴からの総出が、ヴァラクートにはタイタンなどで殴りかかる手段が、むかつきには偏執狂ルートがあるのだ。

まとめ

 以上で僕が言いたいことはおおよそおわった。そしてこれらの考えをもととすると、最終的なサイドボードは以下のようになるだろう。

2 太陽の勇者、エルズペス
1 崇拝
1 呪文滑り(メイン1)
2 仕組まれた爆薬(メイン1)
3 石のような静寂
2 墓掘りの檻
2 安らかなる眠り
1 否認
2 統一された意思
2 虚空の杯 

  ……そう、18枚のサイドボードだ。実際にこれを使ってしまえば即ジャッジが呼ばれてしまう。というわけで15枚にしてみたいと思う。するとこうなる。

2 太陽の勇者、エルズペス
1 崇拝
2 仕組まれた爆薬
3 石のような静寂
2 墓掘りの檻
2 安らかなる眠り
1 否認
2 統一された意思

  そしてコンボ対策にさらに重点を置きたい場合にはこのようになるだろう。

1 太陽の勇者、エルズペス
2 仕組まれた爆薬
3 石のような静寂
1 墓掘りの檻
2 安らかなる眠り
1 否認
2 統一された意思
3 虚空の杯

 枚数の細かい部分については、メタゲームに大きく左右されることになることになるだろう。しかし覚えておいてほしいのは本来有利なマッチアップ対策に時間を取られたり、カードを入れすぎたりしないことだ。そのようなオーバーパワーカードを入れずとも、エルドラージたちは十分にその強さを自分たちだけで発揮してくれることとなるだろう。