MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

アブザンの倒し方(The Deck to Beat This Weekend: Modern Abzan By Reid Duke)

» The Deck to Beat This Weekend: Modern Abzan

より。

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 今週はモダンの週となる。WMCQだけでなくSCGOがOrlandoでも開かれ、また異界月環境はカラデシュの発売を目前として息絶え絶えとなっている。そう、今こそモダンに注目すべき時なのだ。そして今、最も対策すべきはアブザン、剥ぎ取り採用型アブザンといっていいだろう。

  アブザンというデッキチョイス自体は世界選手権に於いてもメタゲームの1/3を占めるレベルで行われるものであった。また、個人的な経験をもととするならば、このようなミッドレンジが多量に存在しているように感じているのである。今、モダンと言う環境はアブザンを選択する人に満ちている。弱い部分が一つもなく、新たな切り札をも手に入れてしまったがために、アブザンの量はどんどん増えることが予想できる。

Abzan

Luis Scott-Vargas, 6th place at the World Championship

Lands
1 Swamp/沼
1 Plains/平地
1 Forest/森
1 Godless Shrine/神なき祭殿
3 Marsh Flats/湿地の干潟
2 Overgrown Tomb/草むした墓
3 Shambling Vent/乱脈な気孔
1 Temple Garden/寺院の庭
2 Twilight Mire/黄昏のぬかるみ
4 Verdant Catacombs/新緑の地下墓地
3 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
Creatures
1 Anafenza, the Foremost/先頭に立つもの、アナフェンザ
4 Grim Flayer/残忍な剥ぎ取り
3 Noble Hierarch/貴族の教主
2 Scavenging Ooze/漁る軟泥
4 Tarmogoyf/タルモゴイフ
Spells
4 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
1 Collective Brutality/集団的蛮行
3 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
4 Lingering Souls/未練ある魂
3 Thoughtseize/思考囲い
2 Abrupt Decay/突然の衰微
1 Murderous Cut/残忍な切断
4 Path to Exile/流刑への道
2 Mishra's Bauble/ミシュラのガラクタ
Sideboard
1 Damnation/滅び
2 Surgical Extraction/外科的摘出
1 Collective Brutality/集団的蛮行
2 Gideon, Ally of Zendikar/ゼンディカーの同盟者、ギデオン
1 Liliana, the Last Hope/最後の希望、リリアナ
3 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Maelstrom Pulse/大渦の脈動
2 Stony Silence/石のような静寂
1 Zealous Persecution/妄信的迫害

  BGがどのような動きをしてくるのかについてはきちんと理解できているだろうか。彼らの作るゲームプランはハンデス、リリアナ、様々な除去を駆使してこちらの場や手札をズタズタにし、タルモゴイフなどのクロックを用いて5〜6Tで相手を葬り去るというものである。そして残忍な剥ぎ取りが加わったことによって実質的にタルモゴイフが8枚であるかのように運用できるようになるのだ。1T目のハンデスから2T目のクロックを安定して提供できるようになったこのデッキはコンボデッキに対しても高速なクロックを刻めるようになったのである。

 2ヶ月前にアブザンは遅い黒緑であるという主張に満足はしていたが、剥ぎ取りの手によってこの話に若干の疑問が生まれることとなったのである。未練ある魂は白をタッチする最大の利点となるものの、このカード自体の遅さが問題となっていた。遅いマッチアップにおいては強いということでジャンドに対しては強かったし、親和や感染相手のブロッカーとしての役割も担うことができるのである。しかしながらむかつきやスケープシフトのようなデッキ相手にはあまり有効ではないといえる。そしてもう一つのタッチ白のメリットが流刑への道となるのだ。

 これらを簡単にまとめると、アブザンの倒し方は次のようになる。

「未練ある魂のもったり感」「流刑への道のディスアド」を突け。

アンフェア/高速ビートダウン

 これらのデッキの素晴らしい点は未練ある魂の遅さをつくことができる。……とはいえアブザンは丸いデッキであり、環境適応能力も高い。正直一番の方法は相手のデッキでは対応できないような戦法を用意するほかないのだ。悲しいかな、例えば親和ならば石のような静寂を、ドレッジなら虚空の力線がサイドにガン積みされている場合もあるだろう、とはいってもアブザンだらけの世界ならばこのような戦法をとることだけは間違っていないと思う。

 というわけでデッキ選択の話に移るわけだが、親和と感染についてまず触れたいと思う。確かに親和も感染も未練ある魂がメジャーなメタゲームでは活躍は難しいといった。とはいえ相手がこのスペルをうってくるのはどんなに早くても3T目、つまりこちらのキルターンになってようやくとなるのだ。親和はいまだに1G目最強のデッキであり、それは神話に対しても同じである。ヘイトが下がっていれば下がっているほどこちらに有利となるのだ。刻まれた勇者は未練・静寂両方を乗り越えられる素晴らしいカードであるため、親和を使うつもりならばその点を考慮にれて置くといいだろう。

 そしてTeam PantheonがかつてPTで感染を使ったのも同じ理由となる。アブザンに対して強いからだ。使徒の祝福とひずみの一撃を駆使することによって簡単に未練ある魂を乗り越えることができる。確かに流刑への道はその枚数が減っているし、重たい包囲サイもその枚数を減らしている。現在このマッチアップは5分と言っていいだろうが、それだけで感染を手放すのはもったいないだろう。

 そしてアタックすることなくゲームに勝てるようならばそれは未練ある魂対策という意味で最高といえるだろう。とはいえそのようなデッキで気にしたくなるのがハンデスである。むかつきやブリーチエムラは思考囲いに弱いため、そのかわりにスケープシフトやトロンといったマナ基盤をしっかりと整え、トップデッキさえすれば勝てるようなデッキを使うことをお勧めしたい。また、バーンは現在アブザン側がヘイトを落としているデッキとしてトップクラスに挙げられるため今使うべきデッキといえよう。

フェアデッキ

 アブザンをフェアデッキで対処するということは流刑への道と未練ある魂の海に溺れないようなデッキを作るということになる。スピリットトークンに単体除去を打つのは実質負けとなるうえにヴェールのリリアナによって対処札はどんどん失われていくのだ。

 そこでうまく使うべきは相手の流刑への道を最大限に活用することである。このカードを決してソープロの上位互換になどしてはいけないのだ。逆に言えば。きちんとデッキに基本土地を確保できているのならばたとえ除去されたとしてもアドバンテージの差をつけ、そこからフェアデッキの動きを続行すれば対戦相手を圧倒することはできる。

 次の例を見てもらおう。

例1

死の影に対してティムールの激闘を打ったら対応してパスを打たれ、基本土地をサーチできなかった。 

 例2

1T目のナカティルに対し相手が神無き祭殿ショックインからパスを渋々打ってきて、こちらは2T目で3マナを手にすることができた

  SCZのようなオールイン型のデッキは確かに素晴らしいものを多くもっているものの、今回に限っては例2のようなプレイヤーになりたいのである。

 というわけで流刑への道対策である。まずは基本土地を多量に入れるというものだ。(4枚以上はほしい)。そしてゲーム中基本土地をフェッチしないことだ。そして次に、システムクリーチャーをうまく使うことだ。闇の腹心や大歓楽の幻霊、メロウの騎兵がそれにあたる。そして最後に、流刑への道で増える土地をうまく活用する策を用意することだ。樹上の村や乱脈な気孔に代表されるミシュラランドは消耗戦において圧倒的な強さを誇る。という形でバントエルドラージ、マーフォーク、アブザンカンパニーがこの戦略にかなうものとなるだろう。

では、どうすべきか

  • 高速デッキを使い、相手が初手に対策札をもてていないといけない状況にする。
  • 墓地利用をうまくする。もしくはトップだけで勝てるようなデッキを作る。
  • 1枚でアブザンに優位に立てるカードをうまく使う。祖先の幻視、血染めの月、未練ある魂、原始のタイタン、ミシュラランド、RiPなどがこれにあたる。
  • 対アブザンという意味でおすすめとなるのは上から順にバントエルドラージ、ドレッジ/死せる生、バーン、マーフォーク、スケープシフト、トロン、コード/カンパニー系デッキ、祖先の幻視を使えるデッキ、となる。

では、何をしてはいけないか

  • 流刑への道、未練ある魂に簡単にやられるようなデッキを使わない。
  • ハンデスに弱いデッキを使わない。
  • 使うべきでないデッキの例としてはジャンド、SCZ、ミッドレンジ、ヘイトベアーがあげられる。

 

 確かにアブザンは素晴らしく、そして堅牢なデッキだ。どのようなデッキを選んだとしても相手が適切にサイドボーディングをしてきて、それが開幕の手札にきちんときてしまったならば負ける可能性は十分にある。どれほどに努力をしても5分の相性を超えない可能性は十分にあり得るといっていいだろう。だからと言ってあきらめていいわけなどない。この記事を読んでどうすればいいのかをどことなくでもつかみ、このアブザンだらけの週末をうまく乗り切る力としてくれるととてもうれしい。