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MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

迷える護符の探求者たちへ(Lost, But Seeking: Bloom Titan Redux By Kevin Grove)

護符コン

» Lost, But Seeking: Bloom Titan Redux

より。

ーーーーー

 このお話はPTFRFまで遡ることになる。Cabin Crewと調整をする中で、お気に入りとなるデッキが見当たらなかったのだ。出産の殻を使ったデッキを使いたかったが悲しいことに禁止されてしまった。フォーマット最強のデッキであると思っていたために、それに替わるデッキを見つける必要が出てきたのである。

 ……ある意味今思えばそれは最高の転機だったのだろう。フォーマット内の最も複雑なデッキに触れることができたからだ。ブルームタイタン、護符コンボがどのようなデッキなのかについては最初こそ理解ができていなかったが、回すに連れてどんどんと手に馴染むようになっていったのである。慣れなしにこんなデッキは使うことはできないといってもいいだろう。そんなこんなで8-2という成績を残すことができたのである。

 そしてそれから1年がたち、双子とともに花盛りの夏が禁止を食らうこととなった。安定性を失ったこのデッキを使い続けようとする人はほぼいなかった。

 そしてエルドラージの冬が訪れた。ウギンの目の禁止はエルドラージだけでなくトロンにも大きな影響を与えた。トロンデッキにも衰退の時が訪れたように感じたのである。それからおよそ半年がたち、土地対策のカードはゆっくりと減少傾向に有ると思う。血染めの月ジャンドなんてものはLevyやDezaniを除けばもう存在しないも同然となる。ジェスカイにも幽霊街は入らなくなったし、大爆発の魔道士もその数を減らし始めている。

 というのも何もかもドレッジのおかげである。モダンの多様性を考えるならばすべてのデッキを対策することなど不可能であり、今ドレッジが注目されてしまっているために土地対策は大きく減っていると言ってもいいこととなる。

 さて、そうなると……?そう、護符を使うべき時となるのだ。

 この発想自体がどのように収束していったかについてはここでは触れないこととするが、結果僕は大いに悩むこととなった。フォーマットについてのはっきりとした理解ができなかったのである。ポスト出産の殻ともいわれていたアブザンカンパニーを使い続けていたものの、その構築にもしっくりこず、かといってほかのデッキにも食指が動かなかったのだ。どのデッキにもその特有の弱点があり、サイドボード次第ではどうとでもなってしまうのだ。

 そういう逡巡を経て、僕はモダンにおけるデッキ選択のポイントをこのように感じ取ることとなった。

  • 強いデッキを使え。どのような動きをすべきかわかっていれば相手を殺すことなどたやすいのだ。
  • 速いデッキを使え。互いにキーパーツが手札に来なければ遅いゲームを戦うこととなるからそれへの準備を怠らないよう。
  • 安定したデッキを使え。限りなく同じ役割をもつカードをつめこみ、相手へのプレッシャーをかけられるようにするのだ。
  • 対戦相手への解答をもて。どれだけ素晴らしい3キルデッキを持っていたとしても毎ゲームグリセルシュートに2キルされてしまっていては意味がない。相手のゲームプランを破壊する策をきちんと準備しておく必要が必要だ。
  • メタゲームを読み、適切なデッキを使うべきだ。皆がチャリスを使っているときにSCZを使う理由もないし、血染めの月や幽霊街、大爆発の魔導士が跋扈している環境で護符コンボを使う理由などない。

 より強いカード、デッキを使うことはこのフォーマットにおいて素晴らしい意味を持つ。というのもこのフォーマットは美しさを競うようなコンテストではない、お互いに核爆弾を投げつけあう戦争なのだ。相手が投げてくるより先に、安定してこちらが爆弾をなげつける、そういったプランAをもてることが必要となる。もしそれが厳しいのならばスタートダッシュがなくとも戦えるようなプランBを作成しておくべきだろう。

 このようなポイントを心に刻み、僕はモダンのデッキを探すこととなったのだ。様々なデッキを探索したものの……良いデッキが見つからなかった。

 まずはJoelのフラッシュを使ってみた。デッキの動きは素晴らしかったのだが、力強さにかけていた。

 アブザンカンパニーはカリタスへの解答がないために断念することとなった。

 エルフやマーフォーク、ジャンドやトロン、感染にSCZ、バーン、ジェスカイも触れてみたが僕よりうまく作り、使えるひとがいることを思うと積極的に使おうとは思えなかった。

 この気持がわかるだろうか。大会が近いのにデッキが決まらない……この4週間は本当に地獄だった。

 そんななかでモダンリーグで5-0しているデッキを調べていたところ、夢の様な原石に出会うこととなった。

Amulet Titan

daviusminimus, (5-0)

Lands
1 Boros Garrison/ボロスの駐屯地
1 Cavern of Souls/魂の洞窟
1 Crumbling Vestige/崩壊する痕跡
1 Gemstone Caverns/宝石の洞窟
4 Gemstone Mine/宝石鉱山
1 Ghost Quarter/幽霊街
4 Gruul Turf/グルールの芝地
1 Kessig Wolf Run/ケッシグの狼の地
1 Khalni Garden/カルニの庭
1 Radiant Fountain/光輝の泉
4 Simic Growth Chamber/シミックの成長室
1 Slayers' Stronghold/処刑者の要塞
3 Tolaria West/トレイリア西部
1 Vesuva/ヴェズーヴァ
2 Forest/森
Creatures
3 Azusa, Lost but Seeking/迷える探求者、梓
1 Hornet Queen/女王スズメバチ
4 Primeval Titan/原始のタイタン
3 Sakura-Tribe Scout/桜族の斥候
2 Simian Spirit Guide/猿人の指導霊
Spells
4 Ancient Stirrings/古きものの活性
4 Serum Visions/血清の幻視
1 Pact of Negation/否定の契約
1 Spell Pierce/呪文貫き
4 Summoner's Pact/召喚士の契約
4 Amulet of Vigor/精力の護符
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Hive Mind/集団意識
Sideboard
1 Spell Pierce/呪文貫き
1 Boil/沸騰
1 Bojuka Bog/ボジューカの沼
1 Dismember/四肢切断
1 Firespout/炎渦竜巻
1 Melira, Sylvok Outcast/シルヴォクののけ者、メリーラ
1 Natural State/自然のままに
1 Nature's Claim/自然の要求
3 Obstinate Baloth/強情なベイロス
1 Pithing Needle/真髄の針
1 Spellskite/呪文滑り
1 Sudden Shock/突然のショック
1 Tireless Tracker/不屈の追跡者

  僕の見間違いだろうか。このレシピにはとても引かれるものはあった。確かにメインデッキの女王スズメバチや宝石の洞窟、ケッシグはあまり良好なカードとは言いがたいが、この基盤自体はとても素晴らしい物に思えた。サイドボードについても調整の余地が大いにあるためにこのデッキの精査を数日にわたって行うこととなった。

 まず使ったのは軍の要塞、サンホームだった。護符が2枚あればこれだけで対戦相手を殺すことができるようになる。原始のタイタンをパワー20を超える化物に変えるのはケッシグではできない芸当である。

 ということでそのレシピでリーグに参加し……即座に0-2した。精力の護符は助けとなってくれなかったのだ。

 とはいえ僕はこのデッキをプレイしていて楽しかった。強いデッキではなかったとしても、楽しいデッキを使うのは確かに気持ちが良いものであった。戦績に関係なく、今度のGPを楽しむことができるように感じたのである。

 そして、いや、しかし、2T目のタイタン降臨は未だになすことができなかった。リーグでは3-2の成績しか残すことができなかった。5回のリーグを乗り越え、僕のデッキはこのように変わることとなった。

Amulet Titan

Lands
1 Boros Garrison/ボロスの駐屯地
1 Cavern of Souls/魂の洞窟
1 Crumbling Vestige/崩壊する痕跡
4 Gemstone Mine/宝石鉱山
1 Ghost Quarter/幽霊街
1 Golgari Rot Farm/ゴルガリの腐敗農場
3 Gruul Turf/グルールの芝地
1 Khalni Garden/カルニの庭
1 Radiant Fountain/光輝の泉
1 Selesnya Sanctuary/セレズニアの聖域
2 Forest/森
4 Simic Growth Chamber/シミックの成長室
1 Slayers' Stronghold/処刑者の要塞
1 Sunhome, Fortress of the Legion/軍の要塞、サンホーム
3 Tolaria West/トレイリア西部
1 Vesuva/ヴェズーヴァ
Creatures
3 Azusa, Lost but Seeking/迷える探求者、梓
4 Primeval Titan/原始のタイタン
4 Sakura-Tribe Scout/桜族の斥候
1 Simian Spirit Guide/猿人の指導霊
Spells
4 Amulet of Vigor/精力の護符
4 Ancient Stirrings/古きものの活性
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Hive Mind/集団意識
1 Pact of Negation/否定の契約
4 Serum Visions/血清の幻視
1 Slaughter Pact/殺戮の契約
1 Spell Pierce/呪文貫き
4 Summoner's Pact/召喚士の契約
Sideboard
1 Bojuka Bog/ボジューカの沼
1 Dismember/四肢切断
1 Firespout/炎渦竜巻
1 Grafdigger's Cage/墓掘りの檻
1 Hornet Queen/女王スズメバチ
3 Leyline of Sanctity/神聖の力線
1 Nature's Claim/自然の要求
1 Pithing Needle/真髄の針
1 Seal of Primordium/原基の印章
1 Spellskite/呪文滑り
1 Swan Song/白鳥の歌
2 Thragtusk/スラーグ牙

キーポイント

  • メイン殺戮の契約によってクリーチャーの対処をしやすくなった。サーチ可能な実質ノーコスト除去はどのような相手に対しても十分な動きをしてくれることとなる。8/6二段攻撃警戒の攻撃を通すことができればそれだけで対戦相手の盤面は実質ボロボロと言ってもいいだろう。
  • 仕組まれた爆薬をメインに搭載することによってリリアナのようなコンボ殺しやSCZのクリーチャーを対処できるようになった。血染めの月や修復の天使、呪禁もちに親和を殺す札となってくれることもあったのだ。ついでにこれもトレイリア西部でサーチ可能となる。
  • 森2枚は原始のタイタンの除去として用いられるだろう流刑への道対策として入れており、またメインに2枚目を入れておくことでサイドボードの幅を広く取ることが目的となっている。75枚の中に森は2枚絶対に必要だと思っており、そうでもしないと血染めの月や流刑への道に完封されてしまうこととなる
  • 探検不採用については、このカードがモダンにおいてもったりしすぎているからである。おおよそこのカードを唱えられるのは3T目となり、そのころの動きとしては弱すぎるのである。古きものの活性や血清の幻視、梓や斥候をプレイするためのタイミングであり、このカードを使うような暇はない。
  • メイン1の呪文貫きはできれば2枚に増やしたいくらいのカードである。かつての護符コンほどこのデッキは爆発力がないために、5マナが払えないうちのカウンターとして用意することとした。思考囲いやリリアナだけでなく、SCZの激闘もとめられる点を評価した。

 また、このデッキにももちろん弱点はある。感染やSCZ、エルフにジェスカイ、トロンは相性が悪いデッキとなるだろう。一方でジャンド、アブザン、カンパニーやバーン、マーフォークにZoo、デルバーにヴァラクートといったデッキは相性のいいものとなる。ちなみに親和やむかつきは互角のものとなる。

 とはいえこれは相手がこのデッキを意識していない場合のみの相性であり、この手のマナランプ系の対策がない場合にのみ良いデッキとして運用することができるだろう。

 そしてこのデッキのさらなる調整は、まず2、もしくは3枚目の仕組まれた爆薬をサイドに仕込むことから始まるように思う。SCZや感染という最悪のマッチアップを何とかするためだ。そのためにスラーグ牙を1枚にしても召喚士の契約があるためにあまり問題はないと思う。また、花盛りの夏が桜族の斥候に変わった事で、今まで成し得なかったプレイが成立するようになる。

  1. アップキープに土地をプレイすつことができるようになり、契約コストを払いやすくなった。2枚以上の契約を使おうとした時に有用となる。
  2. 闇の腹心と相打ちを取りながらマナブーストをすることができる。
  3. リリアナ系のデッキ相手にカルニの庭を使う必要性が下がる。最悪斥候をサクることで仕事をさせることができるのだ。
  4. 相手のターン中にもマナブーストができるようになる。四肢切断や白鳥の歌、呪文貫きや仕組まれた爆薬を突然に使われれば対戦相手を驚かすことができるだろう。
  5. 相手のドロー・ステップ終了時のボジューカの沼はとても効果的だ。

サイドボードについて

 このデッキの核となる部分はとても多く、サイドボーディングは難しいものとなる。シナジー重視のコンボデッキであるがために、サイドアウトできるカードがほぼないのである。サイドアウトしたことがあるカードは以下のとおりだ。

2 古きものの活性 森

1 魂の洞窟 仕組まれた爆薬 幽霊街 ゴルガリの腐敗農場 集団意識 カルニの庭 否定の契約 光輝の泉 桜族の斥候 猿人の指導霊 殺戮の契約 呪文貫き

  まず、サイド後にはメインほど土地を入れておく必要が無い。サイドボードのために2〜3枚なら交換してしまっていいだろう。とりあえず24枚あれば問題はないが、25枚になることが大半だろう。打ち消しのないデッキ相手に魂の洞窟は必要なく、幽霊街はミシュランやトロンがないデッキにはいらない。同様に相手が幽霊街や血染めの月、流刑への道を使ってこないのならば森も必要ないし、黒いカードを使う気がないのならば農場も抜いてしまっていいだろう。

 土地だけでなく、更に入れたいカードが有る場合には遅いカードがメインから抜けることとなる。相手の速度にあわせて、例えば消耗戦が想定されるようなジャンドなどには呪文貫きや指導霊、斥候がメインから抜かれることとなる。

 また、どのような干渉カードが必要となるかもきちんと知っておく必要があるだろう。たとえばSCZや感染相手には殺戮の契約や呪文貫きが、むかつき相手には殺戮の契約や集団意識が無駄となる一方で否定の契約や呪文貫きが刺さり、親和相手には呪文貫きや否定の契約が無駄牌となりがちとなっている。そう、マッチアップにおいて必要な札が完全に変わることとなる。幸運なことに召喚士の契約や古きものの活性、トレイリア西部に血清の幻視といったカードで再度カードを探してくることは難しくもなく、たった1枚の墓掘りの檻や仕組まれた爆薬でも簡単に探し出してくることができるだろう。

 で、結局GPがどうだったかというと、素晴らしいものであった。月や大爆発がいないだろう、と予想し、また、このデッキ自体を楽しみたいという思いからこのデッキを使うこととした。そして1回戦、僕はサイドに4枚の血染めの月が搭載された氷雪赤単と対峙することとなった。幸運にも、血染めの月が1度しか戦場に降り立つことがなかったためにそのラウンドでは勝利をおさめることができた。2回戦はZooとおよそ20ターンほどの大決戦を行うこととなった。すべてのゲームで血染めの月をなんとか翻すことができ、その後血染めの月を見ることはなかった。

 正直、ペアリングに恵まれていたという点がとても大きいといえよう。ジャンドや異界の進化、バーンといったデッキとしか当たることがなく8-0までいくことができたが、最後の最後にSCZに黒星を得てしまうこととなった。とはいえこの結果は上々と言えるだろう。

 そして2日目である。エルフに負け、そこで呪文滑り無私の霊魂コンビを打ち倒すことができないことに気づいてしまった。しかしながらその後はジャンド、SCZ、ドレッジ、マルドゥ修復キキを轢き殺し、12-2-0の形で最終戦を迎えることとなった。この時点で8位という成績だった。

 そしてこれに勝てばトップ8確定というところで、最終戦がジェスカイとの戦いとなったのだ。1G目には祖先待機、斥候に稲妻、梓に瞬唱稲妻FB、斥候に流刑、ドロー後にヴェンディリオンと動かれてしまった。

 ……が、勝った。その時場には精力の護符、森、トレイリア西部が。手札には召喚士の契約、梓、原始のタイタン、グルールの芝地があったのだ。とは言え梓をキャストするので精一杯だったのだが、相手のヴェンディリオンによって梓が精力の護符にかわってくれたのである。これで契約から梓を持ってきて、タイタンを繰り出し、処刑者の要塞とボロスの駐屯地、サンホームとヴェズーヴァの順にカードを繰り出していくことで、相手の幻視待機が開ける前に相手を殺すことができたのである。

 ……正直ラッキーだったとしか言えない。そしてこれはまだ終わらなかったのだ。2G目に相手はマリガンをし、土地が3枚で止まってしまったのである。一方僕は呪文貫きや否定の契約、白鳥の歌まで引き入れ、原始のタイタンで相手を捻り潰したのである。そう、これでTop8……!!

 とは行かなかった。スタンディングで追いぬかれ、僕は9位で終えることとなった。その瞬間こそ怒りで震えたものの、この2日間をどれほどに楽しめたかを実感し、そしてハワイに行ける、PTに戻ることができる、そして自分がどれほど幸運だったかを噛みしめることとなった。護符コンを使うという選択をした結果、大爆発も、血染めの月も、幽霊街もほぼ見なかったのである。

 環境がこのようなランプデッキを無視し続ける限り、このデッキにはプレイする勝ちが多量にあると僕は思っている。もし土地対策をしてくる人が増えれば、このデッキはまた弱いものとなってしまうだろう。PPTQやWMCQに向けて、賢い選択をしてもらいたいと思っている。