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MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

アブザンカンパニーの強さの秘訣と倒し方(Why Abzan Company Is Winning (And How to Beat It) by Trevor Holmes)

Why Abzan Company Is Winning (And How to Beat It) - Modern Nexus

より。

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 先週末のSCGO Milwaukeeにおいて、アブザンカンパニーはその強さを如実に表し、Top8に3人を送り込んだだけでなく、優勝杯までもをわがものとしたのだ。そして、top16をみても、アブザンカンパニーと同じレベルのシェア率を誇るデッキはなく、あるのは赤緑トロン、感染、そしてジャンドが2人ずついただけという状況であった。エルドラージが久遠の闇に消え、アブザンカンパニーの時代が始まったと言ってしまっていいだろう。僕達が真っ先に対応せねばならないデッキは彼らなのだ。では。調べていこう。何故アブザンカンパニーが勝つのか、それがモダン環境に対しどのような意味をはらむのか、そしてそれ以上に、どうやって対策をするかを。

アブザンカンパニーのシンデレラ・ストーリー

 アブザンカンパニーはメタゲーム上において、アグロ系デッキとして最高の地位にある。かつてエルドラージによって環境が侵略されていた時、このデッキはエルドラージ対策として存在するデッキの一つとして数えられた。そしてこのデッキの素晴らしかったところは他に存在したアグロ系デッキ、バーン、感染、親和といったデッキ軍に対してもライフゲイン、壁と言った解答を持っていた、という点にある。エルドラージが久遠へと消えた今、アブザンカンパニーは最強のデッキとしてモダン環境に残ることとなった。

 さらに言えば、このアブザンカンパニーの隆盛は、双子の禁止にも由来している。双子がそうであったように、コンボをちらつかせながら相手を殺しにかかることができる、というプランをとれるのはデッキとしてとても強いのだ。アグロデッキに対してはコンボデッキとして、それ以外にはアグロデッキとして振る舞うことができるその性質はひどく高く評価できるものである。双子という無限ダメージコンボが消えた今、これが一番安定したコンボ搭載型のビートダウンとなったのである。これは2011年ごろのスタンダード環境を彷彿とさせるものだ。ヴァラクート側はカウブレードには絶対に勝つことはできないが、カウブレードを倒すことのできるアグロデッキを刈り取ることができた。そういうわけでヴァラクートのいるせいでカウブレードは高い勝率を誇ることができたのだ。

 そして今に至る。デッキとしてはそう大きくは変わっていないのにもかかわらず、アブザンカンパニーはその最強の座を譲り受けることができたのだ。赤緑トロンや高速コンボ、コントロールも確かに選択肢としてはありうる。そう、じゃんけんが始まったのだ。アブザンカンパニーを打ち倒すためのデッキ同士の。そういう視点に立って、このデッキを打ち倒す策をねってみよう。

アブザンカンパニーとは?

 アブザンカンパニーは、多量の優良クリーチャーを組み合わせることでさらなるシナジーを生み、相手のリソースを削り、コンボで相手を殺すこともできるデッキである。7枚の1マナクリーチャーと根の壁の力により、早期ターンでの脅威の着地、そして3T目の集合した中隊のプレイが可能となる。集合した中隊と召喚の調べによって低マナ域のクリーチャーを有用に活用できる他、コンボパーツを柔軟に探し出してくることが可能となるのである。

 例えばアグロデッキに対しては台所の嫌がらせ屋が壁として立ちはだかることとなる。根の壁や呪文滑り、漁る軟泥を超える能力を持っているのだ。中隊や調べによって呼び出されるこのカードはどのマッチアップにも強力であり、特にコントロール相手では絶大なアドバンテージを産んでくれることとなる。このカードをいかにうまく使うかが、このデッキを使う決め手となるだろう。

 そして、アブザンカンパニーにはアグロデッキの側面だけでなく、コンボデッキとしての側面もある。そう、コンボデッキながらも、アグロデッキとしての性質を十分に持ち合わせているのだ。それが故に、スケープシフトや死せる生のようなコンボカード頼みのデッキに比べこちらの対処が難しく、アグロ/コンボの両方をケアした動きが強いられることとなる。

 たしかに台所の嫌がらせ屋はこのデッキにおけるダメージソースではあるのだが、タルモやタシグル、それこそ前兆の壁によっても止められてしまうカードではある。悪鬼の狩人やガヴォニーを引かなければ、もしくはサイドから流刑への道を入れて実質的にデッキを弱体化させねばこれらのカードに対応することは出来ないのだ。

 一般に、このデッキの対策としては墓地対策がよくとられるものの、単にそれだけで効果があるというわけでもない。例えば安らかなる眠り一枚だけではアブザンカンパニーは沈黙せず、それ以外に様々な(高速クロックやブロッカーの確保、もしくはそれに似たアグロ戦略などの)方法を併用しないことないは意味が無いのだ。僕の使うグリクシスコントロールにもそれを意識し、神々の憤怒と滅び、そして虚空の力線が投入されている。

 虚空の力線は大体の場合安らかなる眠りより弱いとされているが、突然の衰微をよけられたり、ゲーム開始時からおいておけるという点で評価をしている。基本的に白黒を含むデッキならばどちらかがほぼ確実にサイドには入っているだろうが、そんなデッキを使っているプレイヤーならばこの2つのカードには一長一短があることは把握しておいていいだろう。墓掘りの檻も試してみたのだが、ナヤブリッツやSCZでもない限りこれを採用するメリットはないだろう(し、更に言うならその手のデッキならさっさと相手を殺してしまったほうが強いだろう)。確かに墓掘りの檻は軽く、強いカードではあるのだが、この頃隆盛しつつあるソプターコンボや発掘型のデッキに対しては効果が薄いのだ。また、永遠の証人に対しての本質的な弱さを抱えているという点も見逃せない。

この獣の殺し方

 このアブザンカンパニーに対して、僕はある弱点を見つけた空の弱さと~だ。まずはこのグリクシスコントロールを見てもらいたい。

Grixis Control, by Trevor Holmes

Creatures
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
4 Jace, Vryn’s Prodigy/ヴリンの神童、ジェイス
2 Kalitas, Traitor of Ghet/ゲトの裏切り者、カリタス
1 Goblin Dark-Dwellers/ゴブリンの闇住まい

Sorceries
1 Damnation/滅び
4 Ancestral Vision/祖先の幻視
4 Serum Visions/血清の幻視

Enchantments
1 Seal of Fire/炎の印章

Instants
3 Terminate/終止
2 Spell Snare/呪文嵌め
2 Remand/差し戻し
2 Mana Leak/マナ漏出
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Kolaghan’s Command/コラガンの命令
1 Slaughter Pact/殺戮の契約

Lands
4 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
2 Creeping Tar Pit/忍び寄るタール坑
2 Steam Vents/蒸気孔
2 Watery Grave/湿った墓
2 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
2 Darkslick Shores/闇滑りの岸
1 Ghost Quarter/幽霊街
2 Island/島
1 Mountain/山
1 Swamp/沼
Sideboard
3 Dispel/払拭
1 Damnation/滅び
1 Seal of Fire/炎の印章
3 Crumble to Dust/塵への崩壊
1 Bitterblossom/苦花
1 Anger of the Gods/神々の憤怒
2 Leyline of the Void/虚空の力線
1 Vandalblast/汚損破
1 Izzet Staticaster/イゼットの静電術師
1 Kolaghan’s Command/コラガンの命令

  グリクシスコントロールはアブザンカンパニーに対してデッキ構造的に強い。アブザンカンパニーの作ろうとする盤面を片っ端から破壊することによってコンボ成立を防ぐことができる。また、仮に集合した中隊などを経由し、コンボが成立したとしても、レッドキャップがでてこないかぎりはジェイスの奥義から十分勝つことはできるだろう。これに対しアブザンカンパニー側はサイド後には潮の虚ろの漕ぎ手を使ったり、重要な呪文を後に唱えたりすることでこちらの隙を作ろうとしてくるのだ。しかし、それすらもこちらのタシグルという壁によってさばくことができ、それに流刑への道が飛んできたとしても、そもそも流刑への道自体が相手のデッキを弱くしており、またサイドボード後の払拭との噛合いも抜群であるためにそこまで器にする必要はない。

 30枚近くものクリーチャーが採用されているデッキに対して払拭を入れるのか、という点について疑問を持つプレイヤーも多く入ることだろう。しかし、このデッキを使っているならばあくまで気を配るべきは集合した中隊と召喚の調べだけなのだ。漁る軟泥がいなければ、という話ではあるがおおよそ10/30はマナ加速用の貧弱クリーチャーであり、それらに対してケアをする必要など、何一つないと言っていいだろう。1:1交換をし続け、台所の嫌がらせ屋と永遠の証人をきっちりケアしながら動き続ければ、容易に勝利を手にすることができるのだ。

 そしてその2枚への対処、という意味においても虚空の力線を採用しているのだ。証人中隊ループを殺し、台所の嫌がらせ屋も実質的に復活させることができない、スロットを割くには十分すぎる理由となるだろう。

 そして、このマッチアップに於いてはやることはほんとに単純だ。祖先の幻視を除去のために交換するのもいいだろう。しかしながら、アブザンカンパニーはいくつもの攻め筋を持ったデッキであり、出来る限り経験を積んでおいたほうが身のためとはなるだろう。

Naya Blitz, by Trevor Holmes

Creatures
4 Thalia’s Lieutenant/サリアの副官
4 Champion of the Parish/教区の勇者
2 Thalia, Guardian of Thraben/スレイベンの守護者、サリア
4 Burning-Tree Emissary/炎樹族の使者
3 Kytheon, Hero of Akros/アクロスの英雄、キテオン
3 Lightning Berserker/稲妻の狂戦士
4 Lightning Mauler/稲妻のやっかいもの
4 Mayor of Avabruck/アヴァブルックの町長
4 Monastery Swiftspear/僧院の速槍

Instants
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Lightning Helix/稲妻のらせん
2 Atarka’s Command/アタルカの命令

Lands
2 Mountain/山
1 Plains/平地
1 Forest/森
3 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
2 Stomping Ground/踏み鳴らされる地
1 Temple Garden/寺院の庭
4 Arid Mesa/乾燥台地
4 Wooded Foothills/樹木茂る山麓
2 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
Sideboard
2 Boros Charm/ボロスの魔除け
2 Rest in Peace/安らかなる眠り
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
4 Kor Firewalker/コーの火歩き
2 Path to Exile/流刑への道
2 Stony Silence/石のような静寂
2 Wear // Tear/摩耗//損耗

  そしてもう一つ、ナヤブリッツ+サリアの副官という可能性を提示したい。このデッキは正直「あり」なデッキだ。トリッキーな動きを見せてくれる、とても強いデッキである、今のところはMO上でのアブザンカンパニーとバーンの数を考慮し、稲妻のらせんを採用し呪文多めのデッキとしている。

 このデッキに関しては今まで様々な形で語ってきたため、気になる人は過去の記事を是非読んでもらいたい。(訳註:この過去の記事については特に訳す予定はございません。ご了承ください。)特にアブザンカンパニーに対して、という意味で追記しておくならば、教区の勇者がとても強い、というものがあげられるだろう。

 アブザンカンパニーがこのデッキに対して取ってくるだろう動きは、多量のライフゲインと盤上のクリーチャー達によってこちらの動きを制限してこよう、とするものである。これに対しては炎樹族の使者やを用いて対処することができるが、それも台所の嫌がらせ屋を前にすればビタ止まりとなってしまう。そんな時に教区の勇者が役に立つのだ。そのようなゴキブリを単なるチャンプブロッカーに変えてしまうのである。

 そう、このマッチアップは至って単純である。どちらが先攻か、稲妻/嫌がらせ屋はいるか、というその2点でのみ考察ができてしまうと言ってしまってもいいだろう。そんな運試しのマッチアップに対して、僕は安らかなる眠りというスパイスを足すこととした。これによってキッチンは1度かぎりのブロッカーとしかならず、ライフゲインの回数も減る。ついでに無限ライフのケアもできているのだ。さらに言えば、漁る軟泥をも実質無力化できるというのは大きなメリットであろう。

 このナヤブリッツはおおよそ手札を投げつけるだけのものであり、それだけで対戦相手を死の淵においやることができる。つまるところアブザンカンパニー相手ではマナクリーチャーを並べている内にこちらがライフを削り切る、と言うかたちで相手の勝ち筋を潰してしまえるのである。そしてサイド後もそれを止められるのは精々2~3枚しか入らない流刑への道くらいなのである。

まとめ

 アブザンカンパニーはモダン最強のデッキの座につこうとしている。しかしながらこのデッキを玉座から引きずりおろすことはそう難しいことではないとは思っている。グリクシスコントロールやナヤブリッツと言ったデッキ、またもしくはこれらのデッキから発想を得た新たなデッキ。これらのデッキによってアブザンカンパニーは対策できるだろう、と思っている。もし有用なカードなどが見つかれば、ぜひ教えてほしい、読んでくれてありがとう、また来週会おう!