MtG訳記た。

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集合した中隊は新時代の双子たるか?(Is CoCo the New Twin? By Brian DeMars)

» Is CoCo the New Twin?

今年1月からエルドラージ対抗馬として、そして今やトップメタとして活躍するアブザンカンパニー、その強さの秘訣は?

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※はじめに。聞いてくれないとこちらから答える事もできない。もし気になることがあれば是非コメントしてほしい。

 別に賢くなるために賢くなるわけではない。あくまでいろいろなことを考えた結果賢くなるだけだ。そして様々なものをつなげていくことによって、マジックの今まで、今、これからを考えていくことによって、その知見は僕にさらなる賢さを与えてくれることだろう。

  本題に入る前に。まずは双子と中隊には大きな違いがあるということについては書いておくべきだろう。あくまで双子は青いコントロールコンボであり、カンパニーはアブザンカラーのアグロコンボ型のデッキである。どちらも確かにコンボデッキのキーパーツではあるのだが、その性質が大きく異なっているということについては覚えておいてもらいたい。

 さて、アブザンカラーのクリーチャーデッキが新たなイゼットカラーのコントロールのように場を支配するようになった、という考えは生物における人間と恐竜の関係にひどく似たものがあるだろう。どちらも時代、姿形こそ違えど環境を完全に支配しているのだ。食物連鎖、メタゲームのトップという点で、双子という恐竜亡き今、アブザンカンパニーは人間となり、このモダンという環境の覇者となったのだ。

 確かに、この2つのデッキは大きく異なっている。しかしながら、それでもこの2つには共通する項目があるのだ。「コンボデッキではあるが、コンボに頼る必要が無い」という点である。コンボに依る勝ち手段とそれ以外の勝ち手段をもつデッキがモダンにおいて最強の座につけるのである。

 未だに、僕はモダンでの双子の禁止についてはフクザツな心境ではある。というのも少なくとも双子はモダン環境のルールを何一つとして破ってはいなかったからだ。基本的に3Tキルは行われず、エルドラージのように環境の多様性を奪うようなことはしてこなかった。とはいえ、ずっとTier1でありつづけたこのデッキに引導を渡してやるというのも悪いものではないだろう。

 Tier1として君臨し続けていたこのデッキがフォーマットのルールを守っていないと言えるだろうか。とても丸く、柔軟に動くことが出来、安定できるくせにコンボに依る速やかなゲームエンドも目指せる、となると禁止も仕方ないと言えるだろう。

 そして今、アブザンカンパニーは双子のその地位を自身のものとしたのではないだろうか。僕の経験から察するに、エルドラージの禁止以来、アブザンカンパニーはトップメタとして、討伐すべきデッキとして真っ先にあげられるデッキとなったのだ。

 確かに、他にもいい選択肢はある。感染、バーン、Zoo、ジャンド、親和が二番手争いをしている。しかし、それが魅力的かはまた話が少し変わってくるのだ。

 エルドラージが消え、本当の双子無きモダンが始まったのだ。そしてカンパニーがその覇者として、冠を握ることとなった。

アブザンカンパニー

By Brian DeMars

デッキリストは原文通りです。

Lands
2 Forest/森
1 Plains/平地
1 Swamp/沼
2 Overgrown Tomb/草むした墓
2 Temple Garden/寺院の庭
1 Godless Shrine/神無き祭殿
2 Razorverge Thicket/剃刀境の茂み
2 Gavony Township/ガヴォニーの居住区
4 Verdant Catacombs/新緑の地下墓地
4 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
2 Marsh Flats/湿地の干潟
Creatures
4 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
1 Orzhov Pontiff/オルゾフの司教
1 Fiend Hunter/悪鬼の狩人
3 Eternal Witness/永遠の証人
1 Murderous Redcap/残忍なレッドキャップ
Spells
4 Collected Company/集合した中隊
4 Chord of Calling/召喚の調べ
4 Birds of Paradise/極楽鳥
3 Noble Hierarch/貴族の教主
3 Viscera Seer/臓物の予見者
3 Wall of Roots/根の壁
1 Scavenging Ooze/漁る軟泥
2 Melira, Sylvok Outcast/シルヴォクののけ者、メリーラ
2 Anafenza, Kin-Tree Spirit/族樹の精霊、アナフェンザ
1 Spellskite/呪文滑り
Sideboard
1 Burrenton Forge-Tender/ブレンタンの炉の世話人
1 Scavenging Ooze/漁る軟泥
1 Kataki, War's Wage/戦争の報い、禍汰奇
1 Qasali Pridemage/クァーサルの群れ魔道士
1 Reclamation Sage/再利用の賢者
2 Stony Silence/石のような静寂
2 Sin Collector/罪の収集者
2 Wheel of Sun and Moon/太陽と月の指輪
2 Voice of Resurgence/復活の声

 このリストについて、いろいろ突っ込みどころがあるだろうが、もし気になる人がいればコメントしてくれれば助かる。そしてこれは僕が今使っているリストであり、実際勝率は他のデッキを使っている時よりも高い。

 無限コンボでの勝利が可能である、という性質はマジックというゲーム、特にモダンという環境においてとても重要な意味合いを持つ。集合した中隊によるコンボさえ成立してしまえばそれ以前のやりとり、ライフ、手札、その全てが全く意味をなくしてしまうのだ。そしてそれこそが、双子がトップメタたる所以だったのだ。「あー、次のターン死んじゃう?じゃあエンド時総督、双子。なんかある?」……聞き飽きただろうか。

 そして、このデッキの一番の強みは、相手の動きを実質的に制限できるところにある。例えば相手が双子やカンパニーとわかっていないとき、4T目のコンボを妨害できない手札がきたとき、それをキープするだろうか?実際のところ、キープしてしまう人が大半だろう。それこそがこのようなコンボデッキにおける構築レベルでの強みとなるのだ。

 そして双子、カンパニーの一番の強みは、コンボを決めなくても簡単に勝利できるというものがある。例えばカンパニー対策として安らかなる眠りと倦怠の宝珠を詰め込んできた相手がいたとしよう。そうしたらこちらはガヴォニーを使った単なるビートダウンとして振る舞うことができるようになるのだ。これはかつての双子にも言えたことで、引き裂く流弾を読んで双子をさっさとデッキから抜き、ケラノスを用いたコントロールプランに移行するというのはよくみられたものであった。

 そう、プランBの存在がこのデッキを強いデッキたらしめているのだ。

 実際、双子とカンパニーはおんなじデッキではない、様々な点で異なっているというのはみなもわかっていることだろう。しかしながら、これらのデッキについて共通している点が幾つかあるのだ。

  • どちらもモダン環境のソリューションたるデッキである。
  • 4Tで無限コンボを決めるという選択肢ももっている。

 そう、2つの攻め方があるという点だ。その特質が故に、完全な対策が不可能となり、サイドボードも難しいものとなってしまうのだ。

 僕は今やアブザンカンパニーはモダン環境のトップメタとして真っ先に対策しなければならないデッキだと思っている。そして、面倒なのがアブザンカンパニー自体、倒せなくはなさそうに見えてしまう点にある。双子の頃と同じように、「ぱっと見対話ができる、おおよそ接戦となるデッキ」としてその存在が確立してしまったために、メタゲームがアブザンカンパニーを最高のデッキとして押し上げてしまったのだ。

 しかし、カンパニーが双子と大きく異なるものとして、その歴史の薄さがある。双子がモダン黎明期からその地位を築いていたのに対し、カンパニーの歴史はせいぜい1年程度である。……とはいえ、僕達は忘れてはならない。アブザンカラーの、これに似たデッキを。

 そう、殻だ。カンパニーは殻と完全にその特質を同じくしているのだ。

 おおよそプレイヤーはぶっ壊れだったりただ強だったりするカードを禁止にしたがる。その点において、コンボとアグロ/コントロールプランの2つを使うことができるデッキはその声を浴びやすくなってしまうのだ。

 双子、殻。このコンボ/アグロorコンボ/コントロールデッキを成立させてきた4マナカードはいずれも禁止されてしまった。そしてそれをおう形で、いずれ集合した中隊も禁止されてしまうことだろう。正直、かつての殻、双子が位置していた地位、安定したトーナメント上位という栄光を、このカンパニーが今もっているといって過言はないと思っている。

 そしてあくまで僕の予想として、今までの流れを鑑みるに、いずれ集合した中隊は禁止されてしまうと思っている。とはいえこのような結論で終わってしまえば特にこのデッキを使っているものに対して不満しか抱かせないだろう。だからこそ、簡単に結論を述べさせてほしい。

 アブザンカンパニーはモダン環境における強デッキの要素、2軸性をもち、他のデッキを打ち倒すだけの(、そして禁止されてもおかしくないほどの)能力を持っている。今までの現モダン環境における最強デッキと言ってしまっていいだろう。 クリーチャーによるビートダウンで、もしくはいつもの無限コンボで、相手をどんどん打ち倒せるというのはとても楽しいデッキだと言えよう。

 そう、これがカンパニーなのだ。