MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

今こそ、ティムールの時(Temur Midrange in Modern By Reid Duke)

» Temur Midrange in Modern

より。

みんな祖先の幻視大好きですね……。僕も好きです。

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 我々モダンプレイヤーの多くにとって先の禁止改訂は驚きの一言だっただろう。確かにエルドラージの禁止を望んでは板だろうが、まさか解禁まで来るとは思っていなかっただろう。これらの解禁によって、モダンはまためっきり違う環境となったのだ。

 そして僕はこの解禁を受け、「何を使うか、どこから始めるか」という思考にまず至ることとなった。

  今回作ったこのデッキはわかりやすく、強い上に、祖先の幻視を有用に使うことができるデッキの一つとなる。そう、ティムールだ。

Temur Midrange

Reid Duke

23 Lands
1 Forest/森
7 Island/島
1 Mountain/山
1 Breeding Pool/繁殖池
1 Stomping Ground/踏み鳴らされる地
2 Steam Vents/蒸気孔
4 Misty Rainforest/霧深い雨林
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
1 Polluted Delta/汚染された三角州
1 Flooded Strand/溢れかえる岸辺
12 Creatures
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
3 Tarmogoyf/タルモゴイフ
2 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆
3 Huntmaster of the Fells/高原の狩りの達人
25 Spells
4 Ancestral Vision/祖先の幻視
3 Serum Visions/血清の幻視
2 Vedalken Shackles/ヴィダルケンの枷
3 Cryptic Command/謎めいた命令
4 Lightning Bolt/稲妻
3 Spell Snare/呪文嵌め
3 Mana Leak/マナ漏出
1 Flame Slash/炎の斬りつけ
2 Electrolyze/電解
Sideboard
1 Glen Elendra Archmage/エレンドラ谷の大魔導師
3 Blood Moon/血染めの月
1 Thragtusk/スラーグ牙
3 Ancient Grudge/古えの遺恨
1 Pyroclasm/紅蓮地獄
1 Firespout/炎渦竜巻
1 Negate/否認
2 Dispel/払拭
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
1 Spellskite/呪文滑り

  これがデルバーレスティムールデルバーに見えるというのも確かにわかる。実際のところアグロ要素を少々切り捨て、狩達や枷、祖先の幻視を加える事でミッドレンジ型のデッキに仕上げたのだ。

 このデッキは祖先の幻視を使うのに一番ふさわしいデッキだと思っている。確かにこのデッキはコントロールデッキと言うには少々妨害手段にかけており、どちらかと言うとクロックパーミッションに近いデッキとなっている。瞬唱や電解を使いながらアドバンテージを稼ぎ、タルモゴイフや狩達、稲妻によってゲームを終わらせていくのだ。

 そのゲーム終盤の力を作り出すのが5T目、すなわち祖先の幻視の待機明けである。3枚のカードを引くことによってゲームを完全に掌握し、小さな勝ち筋を大きな物へと変えてくれるのだ。

ではなぜティムールなのか

 祖先の幻視はどんなデッキにも入るような強カードであることは否定しない。実際様々なカラーリングでこのカードは使われることだろう。ではなぜこの色で使おうとしたのか。答えは単純に青を含む色の組み合わせで、一番攻撃力が高いデッキ、幻視によって引く呪文を効果的に使っていく事ができるデッキがティムールカラーだったからだ。赤の火力、緑のクリーチャーパワーを兼ね備えているこの色が一番アグレッシブに幻視を使うことができる。

 ブルームーンのような青赤系のデッキでこのカードが有用に使えるのは言うまでもないが、緑にはタルモゴイフがいる。モダン環境最強のクリーチャーだ。そして狩達もいる。コスパ最高、かつ軽量インスタントにあふれるデッキのマナカーブトップに君臨できるクリーチャーだ。そしてサイド最強カード、古えの遺恨も積むことができる。

 さて、青白、トリコといったデッキでもこのカードは強いのでは?という意見も確かにあるだろう。しかしそこに一点、僕は穴があると思っている。そう、天界の列柱だ。このカードからゲームが始まるとするのならば、1T目幻視待機は不可能となる。さらに血染めの月やヴィダルケンの枷との相性も悪い。これはティムールで組む理由の後押しとなってくれた。

デッキ細部について

 このリストを見て気になることといえば、かつて4積みだっただろうカードの多くが3枚にその枚数を減らしているというところだろう。それぞれについて解説していこう。

血清の幻視

 8幻視は正直いって多すぎるのだ。序盤の立ち上がりはモダンにおいて重要なポイントであり、そこで押し負けてしまったらそのまま敗北まっしぐらとなる。後攻1T目血清の幻視スタートによって相手の脅威に対応することができず、そのまま殴り殺されてしまうということも十分にありえるのだ。確かに瞬唱との組み合わせは中盤においてすさまじい動きとはなるが、祖先の幻視ある今、幻視を手札に貯めこむというのはあまりしたくないだろう。

 そしてタルモゴイフも3枚だ。確かにビートダウンのカードとしてこのカードは最強クラスのカードではあるが、今回のこのデッキは厳密にはビートダウンではない。そしてこのデッキにおけるタルモの役割はナカティルや先達、そして相手のタルモを止める壁なのだ。その点に於いて序盤戦では1枚引ければこのデッキでのタルモの役割は十分であり、その枚数として3枚は適切といっていいだろう。更に言うならば相手の安らかなる眠りを一応ケアすることができる、というのもこの枚数のメリットとは言えるだろう。

 そして、スネア、リーク、クリコマについても枚数が3に抑えられていると気づいたプレイヤーもいることだろう。タルモと同様にこれらのカードは確かに1枚は引きたいのだが複数枚手札に引き入れたくないのである。青いデッキを組もうとするとき、後攻でも勝てるようにする、テンポをしっかりとれるようにするというのはとっても重要な事である。先攻だったら強いからといって差し戻し・マナ漏出で6~7枚スロットが埋まっているデッキをみると吐き気がする。

 そして差し戻しについて、このカードはおおよそマナ漏出より使い勝手がいいとされており、待機呪文対策としてもピッタリだと思われているフシがあるが、このティムールデッキはあくまでミッドレンジデッキであるために、マナ漏出のほうがベターである、と判断した。追加ターンを得ることよりも相手の脅威を排除しきるほうが、このデッキにとって大事なことだと思っているのだ。

デッキを組む上で大事なこと

 ここでこのデッキに採用されているカードそれぞれについて様々な解説を加えていくことは容易ではあるが、今回はデッキビルダー諸君のために、よりためになる一般論を記しておきたいと思う。

 瞬唱の魔道士やドローソースにあふれた青いデッキを使うならば、多様性を持っておいたほうがいい。思考停止の4積みはむしろ自身の首をしめてしまう。どんな相手にでも丸く対応できるように、様々なカードを積んで置くのが適切だろう。

 とはいえ、祖先の幻視や稲妻のような初手に握っていれば思わずニッコリするカードがあるのも確かだ。それらのカードは4積みする価値があると言っていい。また、瞬唱の魔道士はこのデッキにおける最強カードであり、中盤戦に入ってしまえば何枚引いても無駄ツモとはならない。また、4積みできなかったインスタント、ソーサリーの実質的な水増しにもつながってくれる。だからこそ瞬唱は4枚積むべきだし、それで使い回す呪文は多様化させておいたほうが良いのだ。

 最後に、モダンで新たなデッキを作ろうとしている人たちへ、僕はまず祖先の幻視を使ってみることをおすすめするよ。色を選び、戦略を作り、そしてこの記事から得た知見を使って最高のデッキを編み出してくれ。