MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

モダン環境における、マルドゥというデッキ。(Mardu in Modern By Paul Rietzl)

» Mardu in Modern

より。

ーーーーー

 モダンは様々なデッキの経験を僕に与えてくれるという点で大好きなフォーマットである。世界選手権における親和や、Oklahomaでのマーフォーク、Charlotteでの中隊Zoo、そしてOmahaでのデルバー。

 PTOGWに向けて、僕は様々なデッキをテストしてきた。エルフ、親和、デルバー、青白コントロール、ジェスカイ、スケープシフト、アブザン、裂け目の突破、感染、ブルームーン、そしてジャンド。MOでの調整が中心であったために、そしてカード不足であったがために、エルドラージについては練習をすることが出来なかった。

  瞬唱稲妻パッケージを内包したデッキや、むかつき/ストーム、そしてバーンのような攻撃的戦略を取ってくるようなデッキに対して相当に不利がつくこととなった。そして親和を使おうとも思ったのだが、先の禁止改定により親和は目の上のたんこぶとなっていた。石のような静寂や粉砕の嵐を最速で打たれ続け、Atlantaに行く気が少し失せてしまった。

 とは言え感触の良いデッキもあった。ヴェリアナリンリンという核を持つアブザンは消耗戦型のデッキとしてとても好感触であり、ジェスカイもパス、稲妻、らせんと豊富な除去を構え、どちらも対クリーチャー戦は任せろ、という気概を魅せつけられた。ジャンドは1T目のハンデスからボブ、コラコマと繋いでいく流れはとても良いように思えた。アブザンには感染、マーフォーク、親和といった稲妻、らせんがないゆえの弱いマッチアップが存在し、ジェスカイではコンボを止められない。ハンデスがほしかったのだ。そしてジャンドは消耗戦での決め手に欠け、つまるところ未練ある魂が欲しかったのだ。

 となるとこの3つを組み合わせる他どのような選択肢があるだろうか。双子のいた世界ではマルドゥなんて選択肢は存在し得なかった。ジェスカイならばインスタントで対応できるし、アブザンやジャンドならば衰微がある。マルドゥにはそのいずれもなかったのだ。そして双子の死んだ今ならば、このデッキはその真価を発揮できるようになったのではないだろうか。

 インターネット上で同様の結論にたどり着いた人がいないのか、様々なサイトを調べた。僕はビルダーというよりかはチューナーであり、とりあえずのたたき台が必要だったのだ。そしてMOの5-0デッキを見つけることが出来た。

Mardu Ver.1

22 Lands
2 Arid Mesa/乾燥台地
4 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Blood Crypt/血の墓所
3 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Ghost Quarter/幽霊街
1 Godless Shrine/神無き祭殿
1 Marsh Flats/湿地の干潟
2 Mountain/山
1 Plains/平地
1 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
4 Shambling Vent/乱脈な気孔
1 Swamp/沼
10 Creatures
4 Abbot of Keral Keep/ケラル砦の修道院長
4 Dark Confidant/闇の腹心
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
1 Pia and Kiran Nalaar/ピア・ナラーとキラン・ナラー
28 Spells
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
2 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Lightning Helix/稲妻のらせん
4 Lingering Souls/未練ある魂
1 Murderous Cut/残忍な切断
1 Painful Truths/苦い心理
3 Path to Exile/流刑への道
1 Terminate/終止
3 Thoughtseize/思考囲い
3 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
Sideboard
1 Crumble to Dust/塵への崩壊
4 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
2 Lightning Helix/稲妻のらせん
3 Rest in Peace/安らかなる眠り
2 Stony Silence/石のような静寂
1 Wear // Tear/摩耗//損耗
2 Zealous Persecution/妄信的迫害

 MO上でこのデッキを試した結果、グリセルシュート系を除いて11/13勝という素晴らしい成績を得ることが出来た。除去は感染やマーフォーク、親和にぶっ刺さる上、ハンデスはスケープシフトやむかつき、トロンに効果的となる。さらに言えば未練ある魂がジャンド戦で花開くこととなったのだ。ただ唯一、グリセルシュートだけはハンデスや墓地対策を詰め込んでもどうにもならないデッキであったためになんかしらの対策が必要であるように思えた。

 とはいえこのマルドゥによって僕はモダン熱を再び盛り上がらせることができた。その情熱のもとデッキ調整を始めることとした。Rich HoaenやBen Stark、Pat CoxにMatt Severaの力を借りて、そしてUltra Proチームの手によってこの調整が素晴らしく行われたのだ。

 まず最初にこのデッキをみてコメントされたのが、ケラル砦の採用過多と土地の採用過少であった。これは同時に解決できる問題であったためにすぐにこいつを23枚めの土地へと変換した。確かに序盤土地を持ってきたり、終盤の手数増やしとしてこのカードは非常に役に立つが、中盤では少々役立たずとなる。3マナの呪文などをめくった時にキャスト出来ないとなると単なるバニラでしかない。……2枚が適切だろう。鋭い突端も試してみたが、溶岩爪の辺境のほうがまだ使いやすいということに気づいた。このデッキは自身と相手、両方のリソースをガリガリ削っていくデッキであるために、ミシュラランドの存在はとても貴重であった。5枚目のミシュラランドによって、起こりうるマナフラッドへの対策も兼ねることが出来たと行っていいだろう。

 ナラー夫妻、残忍な切断、そして苦い真理は他のカードに置き換えられうるところだった。特に苦い真理はこのデッキにあまり合っていないカードだといえた。ただでさえ囲いボブでライフリソースがかつかつであるために苦い真理のライフロスは無視できない存在であり、またアドバンテージはボブとリリアナ、リンリンでなんとか稼ぐことができるだろう、と判断したのだ。同様にボブでめくってしまう可能性のある残忍な切断についても流刑への道のほうがライフロスも加味するならば最良の選択肢だろう、という結論に至った。

 ナラー夫妻に関しては、正直抜くことをとても戸惑ったカードであった。このカードはとても強力であり、コラガンの命令との相性も抜群であり、フィニッシャー伴ってくれるカードであった。しかしながらこのカードは4マナと少々重く、出来る限りマナカーブは低く抑えたかった。また、すでにこのカードが輝くだろう消耗戦に対する強さは他のカードで補えていたため、出来る限り他の、コンボやコントロール、ランプ系のデッキの対策が必要とされていた。

 そうして大爆発の魔道士、復讐のアジャニ、3枚目の稲妻のらせんがこの3枚のスロットに収まることとなった。マナカーブが若干低いものになった上、稲妻のらせんによってバーン、Zoo、親和、マーフォーク、感染といったアグロ系のマッチアップが改善出来た上に、ボブのライフロスを補うこともできるようになった。

 大爆発アジャニの採用はビッグマナ系、つまるところトロンやエルドラージに対してメインから抗うためのカードとしてのものである。特に大爆発の魔道士はコラコマとの相性が抜群だし、アジャニは最悪バーンに対してのライフゲインソースとして使うこともできる。また、アジャニは特に手札を使うこともなく現実を砕くものを実質的に除去し続け、さらにはハルマゲドンまでたどり着くことができる。ハンデス、ボブ、土地破壊の3枚コンボによって基本土地に気を配っていないデッキを1G目で轢き殺すことができるようになったのである。

 サイドボードに関して、安らかなる眠りを1枚、ラクドスの魔除けに変更した。ラクドスの魔除けは親和に対して使うこともできるし、シュート系のデッキに対して、また死せる生に対しても実質的なカウンターとして働いてくれるようになる。そして最悪死せる生相手ならば3番めのモードでライフを一気に刈り取ることもできるのだ。

 Pat Coxは僕に、機を見た援軍の採用を勧めてきた。これまでのPTのメタゲームを考慮するに、バーンはトップメタになる恐れがありったのだ。確かにこのデッキは乱脈な気孔や稲妻のらせん、コジレックの審問やアジャニといったカードをメインから採用しているが、さらなる矢を僕たちは必要としていた。

 また、アジャニは何度も使う内にエルドラージやトロン、ミッドレンジ系とのマッチアップを見据えサイドにもう一枚欲しくなった。また最悪バーンに対しても使えるというのも大きな評価点だった。

 そして多分、Mattだったと思うのだけれども、滅びの採用も勧められた。MOを見る限りだと、エルドラージはコントロールよりはアグロにその重点を置いているデッキが多いように思えた。滅びならば荒廃を招くものや希望を溺れさせるもの、そして現実を砕くものを必要最低限のコストで流す事ができるのはとても都合がいいといっていいだろう。また、親和やマーフォーク、Zoo、そしてワンチャン感染相手にもこの全体除去は効果的に働いてくれることになる。

 結局のところMOで見つけたレシピから15%ほど採用カードが変更されることとなった。それほど大きく見えないという人もいるだろうがこの差はとても大きいものである。そしてそのリストが、これである。

Mardu Ver. Final

23 Lands
3 Arid Mesa/乾燥台地
4 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Blood Crypt/血の墓所
2 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Ghost Quarter/幽霊街
1 Godless Shrine/神無き祭殿
1 Lavaclaw Reaches/溶岩爪の辺境
2 Marsh Flat/湿地の干潟
1 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
4 Shambling Vent/乱脈な気孔
1 Mountain/山
1 Swamp/沼
1 Plains/平地
8 Creatures
2 Abbot of Keral Keep/ケラル砦の修道院長
4 Dark Confidant/闇の腹心
1 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
29 Spells
1 Ajani Vengeant/復讐のアジャニ
3 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
4 Lingering Souls/未練ある魂
3 Thoughtseize/思考囲い
2 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
3 Lightning Helix/稲妻のらせん
4 Path to Exile/流刑への道
1 Terminate/終止
Sideboard
1 Terminate/終止
1 Lightning Helix/稲妻のらせん
1 Crumble to Dust/塵への崩壊
1 Damnation/滅び
1 Rakdos Charm/ラクドスの魔除け
3 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
2 Rest in Peace/安らかなる眠り
2 Stony Silence/石のような静寂
1 Wear // Tear/摩耗//損耗
1 Zealous Persecution/妄信的迫害
1 Timely Reinforcements/機を見た援軍

Tips & Tricks

  • ヴェールのリリアナは毎ターン起動しなければならないというものではない。相手がハンドレスで、こちらの手札が潤沢ならば起動しないという場合も十分にある。
  • ヴェリアナは自分の手札も捨てるために、サイドボーディングはアグレッシブに行ってしまっても多少は問題ない。摩耗損耗も死に札となっている時には捨ててしまえばいいのだ。
  • 召喚酔いさえしていなければ溶岩爪は自分をタップしてパンプできる。
  • 除去は基本的にボブを守るために使い、それで得たアドバンテージで相手を殺すのだ。
  • バーン相手の大爆発の魔道士はアタコマ/ボロチャを腐らせるためのカードともなる。土地を根絶やしにするためにダメージを受けるのも悪いことではない。
  • パスは自分のクリーチャーにも使える。クリコマをバウンスドローで使われたり、らせんの対象にされた時に使えばちょっとしたアドバンテージも取れる。
  • 土地の配分には気をつけよ。ヴェリアナをいつでも出せるように黒2マナは確保しておいたほうがいい。
  • ほとんど起こることではないが、白マナがないときには囲いやコジ審で自身の未練を対象とすることもできる。
  • サイドボード後にはフェッチショックをうまく使うことで機を見た援軍を最大効率で運用できるように動くのが良い。

採用の可能性があった他のカード達

  • ゼンディカーの同盟者、ギデオン-リンリンとの相性やフィニッシャーとしての性能は高かったが4マナは重い。
  • 赤青/白赤剣-リンリンとの相性はいいし、メインからアーティファクト除去を持つデッキも少ないが、やはり実質5マナかかるのはネック。
  • 真面目ソリン-シナジーはあるがカードパワーは低い。ただバーンとのマッチアップは若干よくなる。
  • ナラー夫妻-先述の通り。パワーカードではあるが4マナという重さは低評価。
  • 紅蓮チャンドラ-他のリンリンを使うデッキとの相性はいい。ミラーマッチが多くなるならば採用候補。
  • はじける破滅-エムラや現実を砕くものに効果的ではある。

対エルドラージ戦について

  さて、現実を砕くもの、そしてエルドラージについてちょっと語っていきたいと思う。エルドラージとはPT中2度対戦することとなり1-1の結果とはなったももの、正直不利なマッチアップであると思っている。アジャニ、大爆発、滅びはエルドラージに対しての武器となる。実際今滅びの枚数を増やしているところだ。また終止は難題の予見者や果てしなきもの、不快な集合体に対して有用な除去となるために、それこそ稲妻から終止への数枚の変更はあり得るとは思っている。塵への崩壊も枚数を増やし、エルドラージの核である、ウギンの目やエルドラージの寺院に対応できるようにしたい。

サイドボードについて

  • アジャニ-バーン、エルドラージ、スケープシフト、緑黒、トロン、むかつきに対して
  • 大爆発-バーン、エルドラージ、スケープシフト、緑黒、トロン、むかつきに対して。また親和や感染にはデッキリスト次第では1~2枚。
  • 稲妻のらせん-バーン、緑黒、親和、Zoo、マーフォーク、ヘイトベアー、感染に対して。
  • 塵への崩壊-エルドラージ、トロン、スケープシフトに対して。
  • 滅び-親和、バーン、エルドラージ、Zoo、マーフォーク、ヘイトベアー、感染に対して。またデッキ次第ではアブザンやジャンドにも。
  • ラクドスの魔除け-親和、墓地利用デッキ(ストーム、死せる生、シュート系)に対して。
  • 安らかなる眠り-メリーラコンボ、ストーム、死せる生、シュート系に対して。
  • 石のような静寂-親和、トロン、ランタンコンに対して。
  • まもうそんもう-親和、マーフォーク、感染、むかつきに対して。また魂の裏切りの夜を採用してくるデッキに対して。さらに言えばアーティファクトやエンチャントを増やしてくるバーン相手(最悪大歓楽の除去として使う)
  • 妄信的迫害-親和、マーフォーク、感染、未練ある魂に対して。
  • 機を見た援軍-バーン、ブリッツ型Zoo

 GP Detroit以降も見据えて考えるならばマルドゥはモダン環境において素晴らしいデッキとなりうる。3T目のタップアウトに怯える必要のなくなった今、未練ある魂を抱えたこのデッキは親和やバーン、感染や緑黒、スケープシフトに有利のつく素晴らしいデッキである。唯一の課題は対エルドラージ戦ではあるものの、復讐のアジャニや滅び、はじける破滅といった解答や幽霊街、大爆発の魔道士、塵への崩壊といった土地破壊はすでに存在しており、そこまで難しいものでもないとはいえ陽。

 そしてできればこのデッキを使ってみてほしい。あ、もし使うのならば闇の腹心はぜひラヴニカの頃のものを使ってくれると嬉しい。