MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

モダン環境でのデスタク(Modern Death and Taxes By Brian DeMars)

» Modern Death and Taxes

より。

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これだけはいっておきたい

モダンは今、最も人気な構築フォーマットである、と。 

 Cincinnatiで開かれたOpen大会は1000人を超える参加者を集めることとなった。GP Pittsも定員は早くに埋まっていたし、地方イベントにおいても火曜モダンの参加者はFNMスタンダードと同じくらいに参加者を集めている。

 モダンがここまで人気を集める理由は様々なものがあるだろうが、少なくともデッキの多様性がその一つを担っているのは確かだろう。グランプリなんかで9回戦を戦って、それぞれ全く違うマッチアップになるのは十分ありえる話なのである。

 今回は僕の友達であるAlex Fayが先週34位に入賞した、ちょっと変わったデッキを紹介したいと思う。

白黒デスタク、もとい白黒ヘイトベアー

 まず、この手のモダンのデッキをデスタクという人はほぼいないように思っている。どちらかというとヘイトベアーと呼称する人のほうが大半であろう。しかしながらこれらのデッキにそうそう差異はない。白を基調としたマナ否定型クリーチャーデッキであるのだ。モダンで使えないカードを置き換えただけの、これはデスタクであるといえる。

BW Hate Bears Alex Fay, 34th Place at SCG Cincinnati

22 Lands
2 Caves of Koilos/コイロスの洞窟
3 Isolated Chapel/孤立した礼拝堂
3 Shambling Vent/乱脈な気孔
4 Ghost Quarter/幽霊街
3 Tectonic Edge/地盤の際
4 Godless Shrine/神無き祭殿
1 Swamp/沼
2 Plains/平地
25 Creatures
4 Dark Confidant/闇の腹心
4 Leonin Arbiter/レオニンの裁き人
3 Wasteland Strangler/不毛の地の絞殺者
3 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
4 Flickerwisp/ちらつき鬼火
4 Thalia, Guardian of Thraben/スレイベンの守護者、サリア
3 Tidehollow Sculler/潮の虚ろの漕ぎ手
13 Spells
4 Path to Exile/流刑への道
1 Thoughtseize/思考囲い
4 AEther Vial/霊気の薬瓶
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
Sideboard
3 Rest in Peace/安らかなる眠り
3 Stony Silence/石のような静寂
1 Disenchant/解呪
2 Dismember/四肢切断
2 Spellskite/呪文滑り
1 Auriok Champion/オーリオックのチャンピオン
3 Burrenton Forge-Tender/ブレンタン炉の世話人

  この手のマナ拘束デッキにはいくつか亜種はある。(Wescoeの緑白型などが有名だろう)しかしながら僕はこのタッチ黒が好きなのだ。手札破壊やボブを使うことができるようになるからね。

 僕はレガシーで数多くこのデッキを使ってきた。レガシーでもこのカラーリングでデッキを作ってきたのだ。別にこれがモダンに来たからといって変わるこ必要もないだろう。

ライブラリー閉店の時間

 ライブラリサーチの重要性についてそれをないがしろにするものはもういないだろう。

 フェッチランドが10種類すべて揃ってしまった点も含め、土地をフェッチしてくるのはこのフォーマットではひどく一般的なものとなってしまった。そしてまた、ライブラリサーチはゲームに勝つ手段にもよく用いられている。

 タイタンや風景の変容、召喚の調べに森の占術……そんなカードをレオニンの裁き人によって差止めることができるようになる。それだけでなく、このデッキに採用されている様々なカードと、このカードがシナジーを形成することとなる。

 流刑への道、幽霊街は共に強い除去ではあるのだが、相手の場に基本土地を送ってしまうというデメリットが存在している。しかし、レオニンと組み合わせることによって実質そのディスアドバンテージはチャラとなるのだ。

もしレオニンが場にいる時にサーチをかけたいのならば、先にレオニンの分の2マナを支払ってからサーチをする必要がある。多くのプレイヤーがそれを忘れてしまっている。正しいやり取りとしては「フェッチしたいです」「どぞ」「じゃあ2マナ払います」というものだ。そうでもしないかぎりそのサーチはなかったことにされてしまうことになる。気をつけて。 

昇華者とのシナジー

 エルドラージのシナジーについて、今週は多く触れてきたことだろう。黒単エルドラージは最近現れた、昇華者ギミックを用いてアドバンテージを取っていくアーキタイプである。

 そしてまた、このデスタクもこのギミックを利用している。

 そう、不毛の地の絞殺者だ。

 この昇華のコストさえ準備しておけば、この考察者は3マナのカブーとなってくれるのだ。このデッキにおけるこのカードの役割に僕はとても冠名を受けている。まずはじめに気づくのは流刑への道とのシナジーだろう。しかしこのシナジーはその程度では収まらないのだ。

 昇華者が参照するのはあくまで追放されている、というデータだけであり、それが一時的なものであるかどうかなどは全く考慮されないのである。つまり、ちらつき鬼火で追放したカードを昇華することで実質的な1:2交換の除去となるのである。

 また、同様のギミックを用いて相手の裂け目の稲妻を殺しつつゴブリンの先達をも殺すという動きも見受けられた。

で、ほんとに強いの?

 強いさ。実際このデッキはフォーマットにおいてプレイ率が低いデッキの一つと言えるだろう。デスタクはかつてレガシーにおいて、トップメタに至るまで長くの時間を要した。

 同様にしてモダンでもこのデッキが評価されるまでに時間はかかるだろう。ヘイトベアーは単なるテディベアーでしかないのだ。

 また、様々な要素がこのデッキにまだ搭載されている。土地主体のコンボデッキでもない限り、7枚の不毛と3枚のミシュラランドを同時に積んでいるようなデッキはないと言っていいだろう。

 幽霊街はモダンにおいてもっとも重要なカードの一つとなっている。このデッキのように、メインに4枚幽霊街を積めるというのは大きなメリットになるのだ。トロンや護符コンがこの頃シェア率を上げているという事実を鑑みても、このデッキの立ち位置はどんどんと良くなっていくことだろう。