MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

最良の練習法とは?(Intelligent Practice Makes Perfect By Owen Turtenwald)

» Intelligent Practice Makes Perfect

より。

この下半期から様々な記事を訳させてもらいました。

来年ものんびり自分のペースで翻訳業をやっていこうと思うので、よろしくお願い致します。

  プレイテストはなんぞや、ということをマジックを知らない人に対して語るとき、僕はそれが単なる練習ではなく、更に洗練されたものである、ということを強調するようにしている。仮にバスケットボールのプロプレイヤーを目指そうとするときにはただコートに毎日行ってシュート練習を12時間するだけでは終わらないだろう。それが今後生涯ずっと続くものだとしても、僕の技量はプロの最下層にも劣ることとなるだろう。

 よく言われている、「練習すればうまくなる」というのは正直間違っており、信じてはいけないフレーズの一つとなるだろう。そう、僕が言いたいのは「きちんと考えたうえでの練習によってのみ、うまくなれる」というものだ。この考えた練習というものは、つまるところ達成したい点を設定して練習するというものだ。それによって練習はより制度の高いものとなる。かつて、僕に「養分にならないようになるためにはどのくらい練習しなきゃいけないんだ」と聞いてくる人がいて、それには「今のままなら10000時間かな」としか言えなかった。

ストレステスト

 どんなプロツアーの前にも、たとえデッキが決まっていたとしても僕たちはこのストレステストを行うようにしている。例えばエルフを使うと決めたとしよう。単純化してエルフ40枚と森20枚のデッキを使うこととした。その後にするべきことは、対戦するだろうデッキのリストを作製し、その遭遇率を考慮したうえで練習を重ねるとともに、苦手とするデッキに対しては大きく時間を割くよりにしている。

 この場合において、自分たちはこのデッキがトーナメントに対し最強のものだと思い込んでいる。そうでありながらも、このデッキが最強成り得ない状況への考慮も行っている。もし他のチームがエルフが最強だと分かったとしたら?おそらく彼らはその対策として紅蓮地獄を4枚サイドに積んでくることだろう。こうなってくるとそんな対策カードを積んだ他のトップデッキに対して苦戦を強いられることとなる。

 そう、これがストレステストである。もし最悪の状態でも4~6割勝てるようなデッキを作ることができれば、練習不足相手ならばとても容易いものとなるだろうし、仮にきちんと準備してきたプレイヤー相手でも、きちんとした練習に基づいたより良い決断を行っていけることだろう。

 もちろんこのテストには裏目はある。たとえ素晴らしいデッキを作ることができても、精査がきちんとできなくては本当にこのデッキを使うべきかどうか怪しくなってしまう。しかし自分の持っているデータを基として、最高の決断をせねばならない。

実践

 まずやってみる、ということによって必要としているものがはっきりとする。この実践が僕にとってはとても重要なものである。というのも試すことによって僕自身の知識としてそれが蓄積することとなる。たとえそれが既知の物のであったとしても、僕の目標がゲームに、マッチに、ドラフトに勝利するというものであるかぎり、出来る限りデッキは最良にしようとする。それは悪いと思ったカードも入れるということではない。

 しかしながらよくあるのがたとえ悪そうなカードであっても、それを使ってみると妙にうまくいくことがある。そうなってしまうとおそらく混乱してしまうだろうが、要するにこの場合には自分の結果に素直になり、その新たな知見を基にさらなる調整と実践を続けることとなるだろう。

 このいい例がドラフトにおいて新たに出てきたレア、もしくは神話レアが評価しづらいということがあるだろう。どのプロツアーにおいてもこの理解が重要なものであり、それに対し十分に時間を割くべきだと思っている。

 例えばBFZドラフトにおいて、荒廃の一掴みとグール・ドラズの監視者のどちらを第一ピックとして取るべきかについて考えた時、おおよそ前者の方が優れていると判断するだろう。しかしながらもしこれが環境初期ならば、積極的にレアを取っていくべきだろう。プロツアーの前にこのレアについて知識を持っておく絶好のチャンスである。もしプロツアーの席において虚空の接触と今まで使ったことのないレアをパックの中に見つけてしまったならば、どちらのカードを使うべきか、どちらのカードを流すべきかについては大きなリスクが伴うこととなるだろう。これがつまり出来る限り勝率を上げるためにすべき実践である。そのレアをとったとしても確かにそのドラフトでは勝てないかもしれない。しかしながらそれよりも重要な知識を僕たちは獲得できるのである。