MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

今週のデッキ-モダン編:グリクシスミッドレンジ(Owen’s Pick of the Week – Modern By Owen Turtenwald)

» Owen’s Pick of the Week – Modern

より。

Owenによる、グリコンの利点の解説。

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 今週はGerryのグリクシスコントロールを取り上げたいと思う。今回このデッキを取り上げた理由としては、もうこのデッキはグリクシスコントロールではなくなっているからだ。あくまで青いジャンドとして僕はこのデッキを見ている。そう、グリクシスカラーは新たなジャンドカラーとなったのだ。

 Grixis Control By Gerry Thompson

23 Lands
2 Island/島
1 Swamp/沼
1 Mountain/山
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
1 Blood Crypt/血の墓所
2 Steam Vents/蒸気孔
1 Watery Grave/湿った墓
2 Creeping Tar Pit/忍び寄るタール坑
1 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
4 Polluted Delta/汚染された三角州
3 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Sulfur Falls/硫黄の滝
11 Creatures
4 Jace, Vryn's Prodigy/ヴリンの神童、ジェイス
2 Pia and Kiran Nalaar/ピア・ナラーとキラン・ナラー
3 Snapcaster Mage/瞬唱の魔道士
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル
26 Spells
1 Murderous Cut/残忍な切断
3 Kolaghan's Command/コラガンの命令
3 Thought Scour/思考掃き
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
4 Serum Visions/血清の幻視
1 Thoughtseize/思考囲い
3 Terminate/終止
3 Mana Leak/マナ漏出
4 Lightning Bolt/稲妻

Sideboard
2 Dispel/払拭
2 Radiant Flames/光輝の炎
2 Vandalblast/汚損破
1 Tribute to Hunger/飢えへの貢ぎ物
1 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
1 Countersquall/対抗突風
1 Glen Elendra Archmage/エレンドラ谷の大魔導師
3 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Surgical Extraction/ 外科的摘出

  冗談を言っているように思う人もいるかもしれないが、黒割れの崖、稲妻、コジレックの審問を使うようなデッキはジャンドだろう。つまりはそういうことだ。しかしながらタルモゴイフという強力なクリーチャーの代わりに幻視、ジェイスというパワーカードを採用している。瞬唱なしの血清の幻視はそれほどシナジーはないものの、たとえ瞬唱や瞬唱もどきのジェイスがなくとも、このカード自体のカードパワーは十分に高いと言えよう。

 モダンで血清の幻視フル投入をせずに成立している青いデッキは天界の列柱を4枚採用しているがために、1T目に安定してこのカードを打つことができないトリコロールコントロール程度だろう。また、仮にこのデッキに血清の幻視を多量に投入して、最高のジェスカイをつくったといってきても何ら驚くようなことはないだろう。あくまでこのデッキはこの形でそれまで成功してきたという過去のデータをもととして、多くのプレイヤーが幻視の枚数が減らすのに賛同しているだけであって、ほんとうにそれが正しいのかというのを大規模なサンプリングから実証したのか、単に思考停止しているのかはこちらからは判別不可能といってしまっていいのだ。

 さて、ここでジャンドとグリクシスとの比較において、大きな疑問が湧いてくることとなる。タルモゴイフと瞬唱、どちらのほうがより優れているか、というものだ。とはいえ思考の結果、タルモゴイフのほうがおそらくより良いカードではあると判断している。となると問題は、ジェイスとタルモについて、どちらが優れているか、というものとなる。これは解答が難しい。というのもジェイスはまだこのフォーマットにおける新参者であり、そもそもボブより強いかすらも正直明らかにはなっていないといえるだろう。そしておそらく、僕のぷていテスト結果を鑑みる限り、コンボデッキ対策を考えた時にハンデスや除去を引き入れられるボブのほうが、引き込んだ後のそれを使い回すことしかできないジェイスよりは強いのではないかという結論に至りつつある。

 たしかに、ジェイスはライフロス無しにカードアドバンテージを稼げるカードであり、そのまま勝利への道を作ることができるカードではあるし、これは青黒系のデッキでジェイスをボブより優先するには十分な理由になり得るだろう。しかし、まだ僕はヴェリアナ、ボブ、そしてオリヴィアを使ったいわばほぼジャンド同然のグリクシスを作らない理由はないだろう。

 ところで、もしジェイスが今後環境に居座ることとなれば、よじれた映像がまたよく見かけられるカードになる可能性が高いだろう。このカードは以下に示すように、様々な非コンボデッキへの解答となるのだ。

親和

信号の邪魔者・羽ばたき飛行機械・呪文滑り

感染

貴族の教主・呪文滑り

グリクシス

ジェイス

  たしかにこのカードが有用とならない、双子やバーンのようなマッチアップも確かに存在する。しかしながらよじれた映像は今後十分に考慮しておくべきカードとなるだろう。

 そして最後に、このリストに2枚しか忍び寄るタール坑が採用されていないことに大いに驚いたということを追記しておこう。このカードが採用されている事自体は何ら驚きもないし、とてもいいことだとおもっている。しかしながら今やこのデッキはほぼジャンドである。どうして怒り狂う山峡のように、4枚フル投入しない理由があるだろうか。ワールドウェイクのミシュラランドサイクルはとても素晴らしいものであり、列柱、山峡、野生林はそのいずれもトーナメントシーンですらその活躍を確認できるカードだ。溶岩爪の辺境については……。ともかく、タール坑はその色のせいであまりプレイされてこなかったものの、もし青黒系のデッキを今後使おうとするので貼れば、このカードは4枚投入する価値が十分にあるだろう。

 この手のグリクシスデッキにおいて一番グっとくるのは、環境に合わせて様々なピン積みカードを採用できることにある。ジェイスや瞬唱、幻視の力によって、ジャンドでは探しだすことができないようなピン積みの二股の稲妻をさかしだすことができる。二股の稲妻はメタゲームを考慮するならば素晴らしいカードだと思っており、何度も使えるのならばそれは本当にいいことだと思っている。モダンのような広漠なフォーマットにおいては、汎用性と安定性を同時に求める必要がある。ピン積みカードの束は汎用性こそあれど並大抵のデッキならば安定性を大きくかけさせてしまう。しかしながら、グリクシスならばその安定性を失うことなく、様々なデッキに丸く対応し続けることができるはずなのだ。