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ジャンドを使ってイタリアのRPTQでTop8になった話(Modern Jund – Top 8 at the Italian RPTQ By Andrea Mengucci)

» Modern Jund – Top 8 at the Italian RPTQ

より。

ジャンドを選択した理由について、そしてそのサイドボードについて。

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  僕は再び、プロツアーに出そびれるところだった。しかしながら、なんとかアトランタで行われるPTゲートウォッチの誓いに、ジャンドの力を借りて出場することができるようになった。僕は特にモダンに入れこんでいる訳ではないのだが、このRPTQを勝ち抜くためにモダンをプレイする必要があった。しかしこれは150人ものPPTQ通過者がいるローマにおいては難しいものであるように感じていた。そしてこの150人の中にはモダンが大好きなプレイヤーが多数いて、彼らはきちんと準備をした上で何をすべきかについてはっきりとしたプランをもっていたことだろう。

 そのために僕は、きっちりとしたプランを作ることが必要があった。僕が最後にモダン環境に触れたのはPT運命再編が最後であり、ちょうどいいデッキを探す必要があったために、かなり早くから準備を進めた。そのなかでいくつかのデッキについて触れてきたものの、そのいずれもRPTQに持ち込むには不適切だと判断した。それらの理由について述べていきたい。

  •  双子:BBDがGPOKCでこのデッキとともに準優勝を果たしてから、僕はMOや地方イベントでこのデッキをまわしては見た。確かに運用しやすいデッキでこそあったのだが、引き裂く流弾や倦怠の宝珠を毎回のように打たれる上に、環境に緑黒系のデッキが多数見受けられたことから、これは適切なものではないと判断した。
  • マーフォーク:潮流の先駆けは確かに素晴らしいカードであった。しかしながら、親和、ジャンドとのマッチアップを考えると手から離れていくこととなった。
  • ジャンド:コンボデッキが多すぎるせいで対策ができないと判断した。(が後に戻ってくることとなる。)
  • ランタンコン:Decktechを何度も読みあさり、MOで100tixを投じて罠の橋まで買った。そうして練習するうちに、今の練習量で使いこなせるほどこのデッキは甘くないと判断した。
  • 白日の下にスケープシフト:スケープシフトが8枚体制になったからといって、このデッキの致命的な弱点であるもったり感は拭えなかった。そしてバーンが環境に数を増やしている環境においてこのデッキは不適だろうと判断した。
  • ナヤカンパニー:友人たるCammilluzziが地方イベントでこのデッキを用いて何度も優勝しており、自分にも勧めてきたのだが、どうしてもマーフォークやスケープシフト、その他アンフェアデッキに勝ちきることができず、このデッキはまだモダンでプレイアブルなものとは言いがたい、と思っている。
  • ナヤバーン:アタルカの命令によってこのデッキは素晴らしく進化を遂げたものの、このデッキはバーンでしかなく、独特の弱点は現存していた。また、このデッキに合わせたプレイングがうまくできず、戦績こそよかったものの、使おうという気は起きなかった。

 じゃあどうしろって言うんだ。試したデッキがことごとく失敗作。これは神から与えられた負けの通告ということなのだろうか!!……といっていたが、木曜の夜に、天啓が訪れることとなった。親友たるEnrico Baldratiが僕がかつてあらゆるフォーマットでジャンドを手としてトーナメントを駆け巡っていたこと、そしてジャンドは未だにデッキとして成立していることを思い出させてくれたのだ。午前2時、彼は僕のデッキ調整につきあってくれた上でこう教えてくれた。Reid Dukeのことは知ってるだろう?ジャンドマスターたる彼に話を聞くのが良い、と。慣れ親しんでいないフォーマットについてあれこれ聞かれるときの気持ちは十分に理解していたつもりだし、僕はそんな気持ちを与えたくなかった。しかしAlexander Hayneの説得によりついに僕は折れることとなった。そして、Reidの返事はこうだった。

やあAndrea、君の助けになれて僕もうれしいよ!もしメタゲームの予測があるのなら、それに合わせた最高のジャンドを作ってみせようじゃないか 

  そう、メタゲームを聞いてきたのだ。おおよそのメタゲームに伝えたところ、彼はすぐにそれはジャンドを使う最高の環境だよ、というメッセージとともに、リストを送ってきたのだ。

 Enricoとともに、あまり好みではないカードに関して調整を進めていたのだが、その内にこのカードは全て重要だと気づけたのだ。もしマジックで素晴らしい人のことを考えるときには、ぜひReid Dukeのことを樹にしてみて欲しい。彼は僕がしたいと思ったことをきちんと受け取ってくれる上に助言も素晴らしく、もちろんプレイも最高のプレイヤーである。

 僕はReid Dukeの第一ファンになりたいし、できればチームイベントで彼と組むことができれば本当に素晴らs……、そういうことはどうでもいいだろうね。では、デッキリストだ。

ジャンド(Italy RPTQ Top 8)

24 Lands
1 Overgrown Tomb/草むした墓
1 Stomping Ground/踏み鳴らされる地
1 Blood Crypt/血の墓所
4 Verdant Catacombs/新緑の地下墓地
3 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
2 Wooded Foothills/樹木茂る山麓
4 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
4 Raging Ravine/怒り狂う山峡
2 Forest/森
2 Swamp/沼

Creatures
4 Tarmogoyf/タルモゴイフ
4 Dark Confidant/闇の腹心
3 Scavenging Ooze/漁る軟泥
1 Olivia Voldaren/オリヴィア・ヴォルダーレン
1 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル

Spells
4 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
2 Thoughtseize/思考囲い
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Abrupt Decay/突然の衰微
3 Terminate/終止
2 Maelstrom Pulse/大渦の脈動
2 Kolaghan's Command/コラガンの命令

Sideboard
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
1 Ancient Grudge/古えの遺恨
2 Shatterstorm/粉砕の嵐
1 Thoughtseize/思考囲い
1 Duress/強迫
1 Abrupt Decay/突然の衰微
3 Fulminator Mage/大爆発の魔道士
3 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
1 Thragtusk/スラーグ牙
1 Deathmark/死の印

トーナメントについて

 RPTQには158人ものプレイヤーが集まり、そのプレイヤーの中にはこのシステムに対して文句をいう人もいた。確かにGPに関してもアメリカが圧倒的に開催数としては有利であるという現実は覆らないことだろう。実際アメリカのRPTQの規模もヨーロッパのそれより大きく、4-2さえすればおそらくPTへの切符は手に入ることとなる。これは7-1せねば手に入らない、という違いは大きいように思う。

 そして、トーナメントが始まった。会場にはアブザンやジャンドが溢れており、トロンは1人見かけたくらいだった。また親和は一瞬の内に上位卓から姿を消し、これがWMCQの効果なのか、という思いすら抱いた。そして僕はこのような対戦順を踏むこととなった。

  1. 親和 2-1
  2. アブザンカンパニー 2-0
  3. ナヤカンパニー 2-0
  4. グリクシス双子 2-1
  5. アブザン 2-1
  6. ボロスバーン 2-1
  7. ジャンド 0-2(全勝者は僕だけだったためにIDはできなかった)
  8. ID 

 ということで6位抜けという形になった、また残念なことにGiuada Remiaは6-1-1ながらもオポ差で9位で終わることとなってしまった。

カード選択について

 僕が最初にReid Dukeから譲り受けたマナベースは実際のものとは少し異なっていた。元のレシピから、以下のように変更を加えている。

In:樹木茂る山麓 怒り狂う山峡 森

Out:血染めのぬかるみ 樹上の村 草むした墓 

  まず、僕は森は2枚にしておくのが好きなのだ。ライフを攻めてくるデッキが多い都合、漁る軟泥や台所の嫌がらせ屋をライフ損失をできる限り少なくして出せるほか、血染めの月の対策としても十分な力を発揮してくれるためだ。また、樹上の村は大好きなカードではあるのだが、このマナベースの変更によって樹上の村を手放さざるを得なくなってしまった。

 また、他のカードについても何枚か変更があった。Reidから送られてきたレシピでは終止は2枚の採用に留められ、高原の狩りの達人も採用されていた。しかしながらこの頃のコラガンの命令のことを考えると使う気はあまり起こらなかった。また、ナラー夫妻を使っているプレイヤーも見かけたものの、オリヴィアも同じくカードパワーが低いように感じた。毎回のようにサイドインしていたことを鑑みると4マナ域を一切採用せずに、台所の嫌がらせ屋を採用するのも悪くなかったのだろう。

 サイドボードは最も難しい点であり、多量の選択肢があり多量の決断をせねばならなくない。また、もしサイドボードについて聞かれても、僕はBrad Nelsonが僕に入ったように、「好きな様にやれ、モダンは難しいフォーマットであり、自身以外が納得できるサイドボードは作ることが出来ないだろう」といううことになるだろう。実際このリストはみんなのメタゲームにあっているか怪しいし、実際好きなカードを詰め込むべきだろうと思うし、もしくは対策したい5つのデッキについてきちんと対策できるようにしておくべきだろう。

 サイドボードに関しては殺戮の契約を突然の衰微に替えた程度の変更にとどまった。殺戮の契約はミラーマッチや対双子・親和戦、そして血染めの月に対して弱いからである。確かに0マナで飛ばせるメリットこそあるが、それだけしかメリットがないとも言えるだろう。また、僕は魂の裏切りの夜が大好きなのだが、Reidは親和相手には闇の腹心を抜かずに、渋面の溶岩使いを入れている、とのことであり、それに加えて粉砕の嵐と古えの遺恨があれば十分だろう、ともいわれたのだ。

サイドボードガイド

対ジャンド

In

3 台所の嫌がらせ屋

1 渋面の溶岩使い

1 突然の衰微

1 スラーグ牙

1 死の印

Out

4 コジレックの審問

2 思考囲い

1 ヴェールのリリアナ 

  ヴェリアナは確かに、相手が2T目にクリーチャーを繰り出してきた時にとても素晴らしいカードとなる。しかし3枚もの嫌がらせ屋が入っていれば話は変わってくるだろう。また、このミラーマッチで大爆発の魔道士を入れるプレイヤーも多くいるが、僕は入れる必要はないように思う。10T目以降に引いてしまえばただの無駄牌としての役割としてしか持たないだろう。というのもそのくらいまでゲームが長引けばこのゲームはトップデッキの叩きつけあいとなるからだ。もちろんハンデスなんて以ての外である。

対親和

In

2 粉砕の嵐

1 古えの遺恨

1 突然の衰微

3 大爆発の魔道士

1 渋面の溶岩使い

Out

4 ヴェールのリリアナ

2 思考囲い

1 闇の腹心

1 漁る軟泥 

  このデッキを使い始めてすぐのうちは、闇の腹心をほぼすべてサイドアウトしていたのだが、Reidは勝ちたいのならカードアドバンテージのために寧ろボブを残すべきだ。5点ほどそのせいで失ったとしてもさほど問題ではない、と教えてくれた。

対双子

In

1 突然の衰微

1 思考囲い

1 強迫

3 台所の嫌がらせ屋

Out

4 闇の腹心

1 オリヴィア・ヴォルダーレン

1 漁る軟泥 

  1ゲーム目は相当に楽なマッチアップとなるだろう。2ゲーム目以降は相当な消耗戦が予想され、ヴェリアナをいかに使うかがキーとなることだろう。2ゲーム目のプランとしては、出来る限り相手のリソースを削ることにより、稲妻や電解を本体へと投げざるを得ない状況を作り上げ、それを台所の嫌がらせ屋のライフゲインをもって実質打ち消す動きを考えている。闇の腹心は稲妻で容易に除去されてしまうために信用ができない。そして稲妻をインスタントの溶岩の撃ち込みへと変化させてしまえばいいのだ。嵐の神、ケラノスは確かに対処できないパーマネントでこそあるが、タルモゴイフによって早急に相手のライフは消えてしまうことだろうし、思考囲いによって落とすこともそう難しくもない。

 また、青赤型の双子はほぼ確実に血染めの月をサイドインしてくるうえ、おそらくほぼ確実にコンボを少量残してくるために、注意が必要となる。グリクシスやタルモツインの場合は血染めの月やコンボ残しはそれほどないものの、念のために出来る限り沼森はサーチしておくのがいいだろう。

対バーン

In

1 強迫

1 突然の衰微

1 スラーグ牙

3 台所の嫌がらせ屋

1 渋面の溶岩使い

Out

4 闇の腹心

2 思考囲い

1 オリヴィア・ヴォルダーレン 

  このサイドボードプランはとてもわかりやすいだろう。また、プレイの最中にも出来る限り受けるダメージを最小限に抑えるように動くのがベターである。時たま、相手がクリーチャーや、相手に合わせて打つカード(流刑への道、焼尽の猛火、跳ね返す掌など)を引きすぎて自滅してしまうこともあるだろう。ヴェリアナはこのマッチアップにおいても輝き、タルモはエースとなるだろう、そういうふうにこのデッキを捉えていた人はどの程度いただろうか?

 たしかに、バーンはジャンドの苦手なデッキとして認識されているが、実際に僕やSimone Giovannettiは何度もバーンに対して勝利を収めており、それほど苦手なものでもないのではないのか、と認識が変化しつつある。

 今回対策すべきとしたデッキは上記のものにとどめた。というのもモダンは正直アーキタイプの範囲が広すぎるためにカバー仕切ることは出来ないからである。しかしながら、方針としては稲妻を使ってくるデッキに対しては闇の腹心をサイドアウトする、といった行動である。しかしながら、これはボブが弱いカードであるというわけではない。単にこのカードのせいでただでさえ稲妻で削られかねないライフをさらに落としてはいけない、という話でしか無い。

 さあ、次のモダンイベントでまた見えることを楽しみにしているよ。そして、ジャンドが素晴らしいデッキであることを覚えておいてくれ!