MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

僕がモダン環境を勝ち抜ける秘訣(Why I'm Winning Modern States by Anthony Lowry)

StarCityGames.com - Why I'm Winning Modern States

より。

 こんなタイトルしてますが、中身、特に後半はグリクシスコントロールのDecktechみたいな感じです。

 また、今回スランプがきたのか訳出がちっともうまくいっていない部分が多々あるように思います。できる限り誤訳はしないようにはしているのですが、ご容赦を。

 (また、露骨な間違いがあれば指摘していただけると幸いです。)

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 SCGChampionshipsが近づいてきているが、今回はスタンダードでベスト16以上、モダンでは準優勝もしくは優勝をねらっている。

 僕がトーナメントで成功を収めた時、自身への信頼はとても重要であると気づいた。自分の思考をすべて理解しているのは、自分しかいないのである。

  前回、僕は嵐の息吹のドラゴンのカードパワー、ゴブリンの先達や僧院の速槍の早さに強く信頼を寄せていた。基本的にデッキ選択という点において、スタンダードよりモダンのほうが自信がある。またフォーマットとしてもモダンのほうが自信がある。その理由については僕自身いまいちわかっていないところもあるが少なくともメタゲームなどの把握については妙に予想が当たるのだ。今シーズンも、その特質を活かして積極的に動いていきたいと思う。

 いつもトーナメントで良質な結果を得られた時には、自身のことをきっちりとして僕の強さを理解しているプレイヤーに助言をもらっていた。一般的な言説である、全てを○✕で判断するという方法はあまり意味が無いと思っている。マジックがその程度のシンプルさしかないのならばロボットではない僕達は絶対に勝てないということになってしまう。

 様々な事象の安易な2種への分類はマジックプレイヤーとしては単に思考停止ということになるだろう。きっとそれによって、プレイヤーは本来のポテンシャルを見失ってしまうこととなるだろう。彼らから思考する術を奪い、テキスト以上の発想を生み出させなくさせてしまう。これはReddit上で龍王アタルカをつかうか、それに食われるかという2択ばかりにとらわれているプレイヤーを見てもわかるだろう。

 しかし、誰がこれを非難できようか、プレイヤーは皆自身のベストを尽くしていると思っている。誰かが間違っていると思うならば、ただ「間違っている」というだけで、その理由について述べるものはいない。間違ったことを好むものなどいない訳で、仮に後に正しくなるようなことであっても、この指摘で全てが終わってしまうのだ。

 だからこそ、僕は自身のプレイヤースキルを理解してくれる人たちと一緒にいられることは、有象無象のプレイヤーとともにいることより素晴らしいと思っているのだ。仮にその有象無象の能力が僕らのそれより遥かに高いとしても、彼らの助言は僕らにとってなんら意味のない助言となりうるのだ。

 簡単に言えば、少なくともこのゲームにおいて情報の正誤なんていうものは、それを議論する集団の理解に応じて大きく変動し、毒にも薬にもなりうるということなのだ。

では、モダンの話に移ろうではないか。

 僕はモダンでは基本的に速いアグロのデッキを使うようにしている。このフォーマットは予測をすることが不可能だからだ。地上を制圧したい、相手の戦線を崩壊させたい、といった様々な思いが交錯することとなる。また、もう一つ重要な点として、モダンは思っているほど変なことがおこらないフォーマットでもある。多くのプレイヤーは最悪のケースを想定しすぎてしまい、デッキの方向やプレイングが本来意図するところからはなれてしまっているのだ。たとえば双子使いがアグレッシブな動きを好んでいるならば、潮流の先駆けによってデッキプランが大きく変化することもないだろう。モダンフォーマットは、プレイヤーのスキルが如実に現れるフォーマットであり、それはデッキの作りやプレイから読み取ることができるだろう。

 昨今、青を基調としたミッドレンジ型のデッキが流行のさなかにあり、テンポデッキよりも好まれる兆候がある。8枚の瞬唱を使えるようになったこともそれの追い風と言えるだろう。

 瞬唱、ジェイスの2枚を主軸としたデッキ構築を企て、これを用いたアグレッシブなデッキはそれほど難しくないように思えた。ほとんどのプレイヤーはジェイスと打ち消しの相性は悪いと思っているが、僕はそれほどではないとおもっている。あくまでそれはいつものように打ち消しを詰め込みすぎているからであり、ジェイスをうまく使おうとするならば共存の手段はあるのである。

Grixis Control
Anthony Lowry

23 Lands
3 Island/島
1 Mountain/山
1 Swamp/沼
1 Blood Crypt/血の墓所
2 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
2 Creeping Tar Pit/忍び寄るタール坑
1 Desolate Lighthouse/僻地の灯台
3 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
3 Steam Vents/蒸気孔
1 Sulfur Falls/硫黄の滝
1 Watery Grave/湿った墓

12 Creatures
2 Hangarback Walker/搭載歩行機械
1 Gurmag Angler/グルマグのアンコウ
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
4 Jace, Vryn's Prodigy/ヴリンの神童、ジェイス
1 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル

25 Spells
3 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
1 Murderous Cut/残忍な切断
2 Remand/差し戻し
1 Shadow of Doubt/疑念の影
1 Slaughter Pact/殺戮の契約
3 Terminate/終止
2 Thought Scour/思考掃き
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
4 Serum Visions/血清の幻視

Sideboard
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Spellskite/呪文滑り
1 Blood Moon/血染めの月
1 Counterflux/対抗変転
3 Dispel/
1 Rakdos Charm/ラクドスの魔除け
1 Slaughter Pact/殺戮の契約
1 Keranos, God of Storms/嵐の神、ケラノス
1 Crumble to Dust/塵への崩壊
3 Radiant Flames/光輝の炎
1 Thoughtseize/思考囲い

 このリストをみて、きっとどのようにこのデッキでアグレッシブに動くんだろうか、と疑問に思ったプレイヤーも多いだろう。えっと、多くのプレイヤーが勘違いしてしまっているのだが能動的であることは必ずしもアグロチックな動きをするということではなく、直線的な動きをするというわけではないのだ。このデッキは毎ターンアクションをとることができるデッキであり、そのアドバンテージを最大限に生かすことができるデッキなのだ。僕のこのデッキの他にもう一つデッキを考えており、それへの鞍替えについては疑念をもっている。しかしこれはグリクシスコントロールが昨今目指すゲームシステムであろう。また、このデッキを作る際に2種のクリーチャーに光を当てようとしたことについても触れておこう。最終的にここには搭載歩行機械が収まることとなった。刻まれた勇者対策となる他、タルモゴイフのブロッカーとして動くこともでき、コラガンの命令と若干のシナジーもある。これによって守りをより強固にできるのだ。昨今のメタゲームでは追放除去があまり多くないために、このデッキには追い風が吹いていると言えよう。グルマグのアンコウや黄金牙、タシグルを早期にキャストするという動き動きも良質だと言える。

 また、搭載歩行機械では動きが不十分である、若き紅蓮術士の方がデッキにあっているという声もあるだろう。呪文を唱え続けるこのデッキと紅蓮術士の相性は確かにいいように思える。しかしながら若き紅蓮術士を採用するならばそれにあわせたデッキ構築が必要となるものの、それをするだけのスロットがもうこのデッキにはないのだ。また、神々の憤怒もこのデッキのサイドボードからは抜くべきだと思っている。このカードは緑黒主体のカンパニー相手などにとても有用なのだが、神々の憤怒の代わりに光輝の炎を使いたいと思う。これはキャストしやすいカードである一方でそのときに自分の場に1/1のトークンを多量に残すことができる。また、このデッキの動きを鑑みるならばデッキに採用するカードはできる限り軽量であるべきだろう、その理由から謎めいた命令もカードパワーは高いものの今回は採用しないこととした。

 また、電解をこのデッキでは採用せずに、コラガンの命令を3枚デッキに投入しようと思っている。というのも昨今のメタゲームが親和に傾いているように思えたからだ。また、デッキに採用しているクリーチャー群を回収できるというメリットもあり、これは電解ではなし得ないメリットとなるだろし、仮に電解を使おうとしても他のカードで代用することは十分可能であると予測している。

 コジレックの審問はよっぽどマナのかかるコンボデッキを作る場合や、双子絶対殺すマンにならないかぎり思考囲いの上位互換であると思っている。このフォーマットはアグロ化の蛍光が強くなってきており、2ライフすら重要となることもあるだろう。マーフォークやZooといったデッキに1G目を落とさないためにこの変更は重要となるだろう。差し戻しは打ち消し呪文ではあるが、このデッキにおいては多く採用することはできない。あくまでこのデッキは打ち消しをあまり必要とはしていないデッキであるためだ。しかしながら完全に相手にマウントをとられてしまうのもよろしくないため、数枚増やす、という選択肢をとることもできるだろう。マナ漏出も素晴らしいカードではあるが、手を進められるこのカードに軍配が上がると言えよう。

 疑念の影は3枚目の差し戻しより良質なカードということができる。時たまただのサイクリングとなってしまうこともあるが、フェッチランドや森の占術、探検の地図、原始のタイタンといったサーチ能力持ちを殺すことができる。このスロットは熟慮でもよかったのだが、少なくともドローソースにはあまり困っていないデッキであるため、それよりは汎用性を意識したのだ。また、アドバンテージを稼ぐことのできる呪文が増えればジェイスや瞬唱のとることのできる選択肢も増えることとなる。他種のデッキに比べて1Gあたりに見ることができるカードの数は圧倒的に多いこのデッキでは様々な選択肢を突っ込んでおくのが妥当と言えよう。

 続いて除去についてである。終止は容易に4積みできるカードではあるが、散らしておくのも悪い選択ではないだろう。残忍な切断は序盤に打ちづらく、差し戻しがブッ刺さるカードとなるのだがジャンド相手に1マナで除去ができる(、もしくは2マナでも搭載歩行機械を成長させながら除去を打てる)というのは大きな意味を持つだろう。アグロ相手には使いづらい、4ライフを必要とする四肢切断に比べればその効率は遥かにいいと言えよう。少なくとも、今僕はライフよりも墓地のカードの方が使いやすいだろうと思っているというバイアスこそあり、実際思考掃きを全て抜いて四肢切断にした方が強いケースも存在しているが、それは今のメタゲーム上のそれではない。殺戮の契約も同じような役割をもっているものの、双子対策という点で追加のハンデスの役割も担っている。少なくとも双子はメタ対象として必須のものだろう。この契約の代償はそれほど重くないと僕は思っているマナ消費はできる限り少ないような構築にしているし、その余ったマナで搭載歩行機械を大きくすることもできる!

 サイドボードについては特に説明するところはないと思っているものの、数枚触れるべきものもあるだろう。ラクドスの魔除けは双子対策としてそこまで強いカードではないものの、少なくとも素のパワーよりはカードの多様性を狙うことができる、という意味でこのカードを採用している。血染めの月や塵への崩壊は枚数こそ少なくなっているものの、これは汎用性よりも特定デッキへのメタを意識したものである。多少護符コンとの相性が悪くなることは問題とはなるが、他のサイドボードで十分対応が可能となるのだ。塵への崩壊は血染めの月ににたカードで、赤緑トロンなどにたいして突き刺さるカードではあるのだが、メタゲーム上で弱体化しているアーキタイプこともあり、それだけをメタっている訳ではないと言うところに注目してもらいたい。払拭はバーンに対するメタカードとして採用している。バーンとの相性の悪さは否定できないが、サイド後だけで戦うというつもりもない、という思いはある。

 光輝の炎は先ほど言った通りの側面もあるのだが、1赤赤より赤青黒の方が捻出しやすいという理由も挙げられる。また、追放できなくなるという点もあるが、それは大きな問題ではないと思っている。滅びや衰滅をとることもできただろうが、これで対処しなくてはならないような大きなクリーチャーはそこまで存在しないためにこれらのカードを必要とすることはないだろう。ここで、Zooがドロモカの命令をもっていたら、というシーンについて言及がされるかもしれないが、そのようなことは構築レベルでは想定するべきではないと思っている。思考囲いのピン挿しは不思議に思う人がいるが、コンボだけでなくZooやマーフォークも見据えた採用としているのだ。霊気の薬瓶や野生のナカティル、ゴーア族の暴行者、ロクソドンの強打者(!!!)といったカードにぶち当てることができれば、相手の序盤の動きを殺すことができるためにとても有利になれるだろう。仕組まれた爆薬は現在のメタゲーム的には若干の弱さこそあるが、血染めの月などと同様に、エルフなどのデッキに対して局所的に当てることを狙っているのだ。また、このカードはマーフォーク相手にも十分な力を発揮してくれるが、あくまでおまけである。

 サイドボードについて、もう一つ重要なことがある。あくまでこのデッキのサイドボードは柔軟に行うべきで、固定化してはいけないのだ。僕はこのデッキを使っていて、一度として同様のサイドボードを同じデッキ相手にでもしたことがないように思う。サイドボードも含め、このデッキがとることができる選択肢はとても手広い。そのためにそのときそのときのゲームプランに合わせたサイドボーディングをとる必要があるのだ。まあ、アグロ系に対して全体除去をぶちこむなどの基本的な要素はあるだろうが、その基本的要素についてはすでに上で触れている。とにかく、自身がよりよいと思ったプランがあるならば、それに従って恐れることなく最大限のアドバンテージをとれるように動くべきだろう。

 去年のベスト4は確かに素晴らしい実績ではあるが、もっと上を目指すことはできるだろう。モダンは僕にとって素晴らしいフォーマットであり、今回のデッキは前回のデッキよりも環境の理解が進んでいるために更に強いデッキになっていると自負している。また、練習も十分にしてきた。あとはそのまま進むだけだ。