MtG訳記た。

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9月のメタゲーム変遷について(Modern Metagame Breakdown: 9/1 – 9/30by Sheridan Lardner)

Modern Metagame Breakdown: 9/1 - 9/30 - Modern Nexus

より。

紹介していただいたものですが、すごい情報量のあるサイトでびっくりしてます。

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 2015年9月は、ランタンコントロールがモダントーナメントを制したという素晴らしい記録によって語り継がれるだろう月となった。これがメタゲーム多様化の兆候といわずして、何を多様化と名付けられるだろう。また、Tier1,2にも大きな変化が見られる事となった。このページをみれば、現在のTiersについて把握する事はできるだろう。おおよそ見当はついているだろうが、親和がトップメタを走っており、それに続く形でアブザン、感染がフィーチャーされている。また、青白コントロールが長年の沈黙の果てに復活を遂げる事となった。いやはや面白い。

  今月、来月はモダンのシーズンオフに突入する事となり、その際のメタゲームはオンシーズンの影響を強く受ける事となる。もし年末のイベントに向けて調整を進めようと、もしくは地域イベントに参加しようとするのならばこの記事を読んで今月のメタゲームについて把握するのはとても素晴らしいこととなるだろう。

Tier1

 確かにZacの作り上げたランタンコントロールは素晴らしいデッキである。しかしながらこれを先月のモダンのメタゲームに組み込むのはいささか不公平のように思う。たしかにTier2においておくようなものでもないが……。そして他にも様々なデッキがTier1に君臨することとなった。そして驚くべきことは先月は大規模なモダントーナメントが行われたにもかかわらず、依然としてデッキの分散がとても大きいのである。トップメタとして7つものデッキを紹介することになるとは思っていなかった。これは7月にも同様のことを言っていたのではあるが少々事情が異なっているのだ。

 いつもはメタゲーム分析においては基本的に勝率よりも使用率を重視した統計を取っている。確かに勝率は重要であり、使用率は勝率に何ら関係なく、むしろ真逆の性質を持ってしまうこともあるのだが、少なくともどのようなデッキとあたる確率が高いかを検討することによってそれにあわせたデッキ構築が可能となるだろう。また、Tier1にあたるようなデッキは洗練されたデッキであることが大半であるため、よっぽど相手がひどくない限り、動き方がほとんど類似しているという点も見逃せないだろう。

 これが現在のTier1である。まずざっと見渡して親和の使用率が比較的高いことが挙げられるだろう。4月にこの調査を始めて以来初めてここまでの使用率を見ることができた。また、同様にして感染やアブザンがTier1に返り咲くこととなった。マーフォークはここしばらくこのTierの常連であるし、赤緑トロンも復帰することとなった。また、久しぶりに双子がTier1に存在しないことm興味深いだろう。では、これらのデッキの使用率の変遷についても触れていこう。

 おお、なんと親和が増えたことだろう。この分析において最も大事なのは、メタゲーム上で少なかったデッキが突然にその数を増やしているという点にあるだろう。

 もし親和の隆盛をいやがるというのならば、それは自分のせいであり、コラコマのせいである。そしてこれで気づくことができるだろうが、石のような静寂や古えの遺恨といったアンチカードを抜いたときに限って、このような地獄をかいま見ることとなる。コラガンの命令がメタゲーム上に現れた際に、多くのプレイヤーがそれに関心を寄せてはいただろうが、それに依存しすぎて親和が減るだろうなどと思ってはいけない、ということだろう。基本的にメタゲームがグリクシス・ジャンドに傾いてしまっていたために確かに8月の親和使用率はがくんと減ることとなった。それをみた親和使いは今こそ、ということで今月の使用率がぐんとのびることとなったのだろう。それを咎める双子や、アンチカードが少なかったことも面白いが、それは後で触れることとしよう。

 この親和の隆盛について語るためには、数ヶ月前からのジャンド・グリクシスの隆盛について語る必要があるだろう。これらのデッキが隆盛しすぎてしまったことで、ミッドレンジ型へとメタゲームがうつりゆき、僕たちは過去に存在していたTier1のデッキを忘れてしまったのだ。そのような動きを受けて、親和がその中を駆け抜け、この2つのデッキは大きくその力を落とすこととなってしまったのだ。

 また、赤緑トロンのTier1への復帰も興味深いといえるだろう。最後にこのデッキがTier1として登場したのは6月のことであり、そのときはジャンドがこのフォーマットを支配していたと言え、それへのアンチとしてこのデッキが存在していたのだろう。トーナメントはタシグルやタルモ、瞬唱コラコマといったカードに大きく依存する消耗戦の体をなしており、みなが消耗戦を好んでいたといっても良いだろう。そしてそのメタゲームにおいては石のような静寂が少なくなる。その瞬間をトロンは狙っていたのである。親和と同様に、トロンもまた双子を苦手としており、2種もの緑黒デッキが環境に存在し、それにより双子が消えてしまったことによって大きな恩恵を受けることとなった。そのためにトロンがその数を大きく増やしたといえよう。

 アブザンもまた、消耗戦を見据える形でまた戻ってきたデッキと言えよう。もしジャンドやグリクシス相手に消耗戦を挑もうとするのならば、未練ある魂以上に使えるカードもそうそうないと言えよう。1枚だけでタシグルやタルモ、アンコウを4Tは無力化させてくれる上に、相手のコラコマの対策にもなる。またもちろん自分の使うヴェリアナとの相性も抜群となるだろう。さらに、流刑への道をとることができるために、稲妻では対処できないような探査クリーチャーも簡単に場からどけさせることができる。この2つのデッキの使用率はすぐには逆転しないだろう(稲妻は感染や親和、バーン相手にとても強いカードであるため)が、しばらくの間きっとアブザンはこの環境のTier1として再び君臨することとなるだろう。更に言えば、アブザンはサイドに石のような静寂をとることができるために親和とのマッチアップが多少良好であるということも影響を及ぼすだろう。とはいえこれが1G目の稲妻に勝るのかについては若干迷いがあるが、その選択を多くのプレイヤーが強いられるのは確かなことだろう。

 そして今回のTier1について、もう一つふれるべきものがあるだろう。そう、感染である。6月以来このデッキはおよそ3%の使用率で潜み続けていたが、突然に4.5%へとその使用率を上げることとなった。メタゲームの変化全てが、このデッキに対して追い風となったのだ。トロン、アブザンの隆盛、そして双子の衰退の全てがこのデッキに対して都合のいいメタゲームの変化となっていたのだ。感染自体は2015年初頭に強大化を得てモダンのメタゲームへと飛び込むこととなったが、現在のメタゲームはそれにひどく類似しており、しばらくはこのメタゲーム上に残ることが推定されるだろう。

 残りについてはまあいつものこと、と言えるだろうが、気にすべきことは確かに存在しているのだ。バーンやジャンドは依然として使用者こそおおいものの、その数はだんだんと減ってきている。またマーフォークも同様に、だ。また、気を配るべきはここに上ってきたデッキだけでなく、ここから消えてしまったデッキであるだろう。双子やグリコンがTier2へと落ちている事実はとても興味深いものである。これについてはすぐに語ることとなるが少なくとも9月のメタゲームはいつもとは異なっているものを呈してきていたという事実に目を向けるべきではあるだろう。

Tier2

 いつものように、9月のTier2も混迷を極めるものとなり、モダンの多様性を象徴するものとなっているだろう。また、今回のTier2は今までと異なり、過去のTier1が2つも落ちてくるというおかしなメタゲームの変化を受けさらに多様化していると言えるだろう。Tier1と異なり、ベスト8を目指すときにこれらのデッキにあたる確率はどれほどか、と聞かれると低くもないが確実とも言えなくなるのだ。これらのいずれかとはほぼ確実にあたるだろうが、きっとあたらないアーキタイプも数種類存在することとなる。そのために対策するかはプレイヤー次第となるが少なくとも使うデッキとしてこのTier2デッキ群はとてもいい選択肢となるだろう。

 様々な小さな変化がおこっているのも見て取れるだろうが、それ以上に皆が気になっている現象について、ここで触れるべきだろう。なぜ、双子とグリコンがここまで数を減らしてしまったのか。更に言えば、タルモツインにいたってはTier2からも消えてしまっているのだ。これについての考察によってメタゲームをまとめたいと思う。

 ではまず解説が容易いグリクシスコントロールの没落の理由から述べていきたいと思う。世界選手権2015の結果からも読み取れる通り、グリクシスに負けたくないという風潮がひどく流れることとなった。ジャンドは基本的に弱点の少ないデッキである一方で、グリクシスは明確な弱点をもっており、さらに8月のメタゲームを支配していたといえよう。ここでマーフォークがTier1であるにもかかわらず死せる生がTier2となっている事実を考えてもらいたい。そしてグリクシスを咎められるデッキの増加を考えれば、グリクシスを使う理由は大きく減ってしまうのである。同様のメタゲームの変遷をうけて双子も大きくその数を減らしており、グリクシスが生き残るには厳しいメタゲームとなってしまったのだ。きっとまたTier1に派戻ってくるだろうがしばらくの間はTier2の世界をさまようこととはなるだろう。

 続いて、双子だ。この双子の大きな没落についてかいていこう。このフォーマット制定以来双子はトップメタであり続け、バーンや親和、黒緑と同様にこのフォーマットの四天王としてあり続けると誰もが思っていただろう。実際その神話はくずれていないと思っている。ではなぜ没落がおこってしまったのか。その理由についてこれから類推していこうと思う。

 一つとして、まず現実には減っておらず、データ上だけで減ってしまったという可能性が挙げられた。もしそうならば双子はまだTier1としてこのフォーマットに君臨し続けており、僕たちのデータ収集システムに問題があるだけとなる。しかし、GPOKCのDay2ブレイクダウンを見る限りそれは大きく下降していると言えたのだ。親和の隆盛は双子の没落なしにはおこらないことだろうし、実際に双子は大きくその数を減らしていると言えるだろう。では、この仮説は間違っていたということとなる。

 では、これがデータ分析の問題ではないのならば、何が原因となるのか。双子は親和に強いデッキであるがために、親和が増えたこのメタゲーム上においてはむしろその数は増えるはずである。……僕の考えが正しければ、この原因は6月から始まったのではないだろうか。そして、それは4つの要素で説明できる。まずはジャンドの隆盛。これは双子にとっては好ましくない動きである。次に、グリクシスコントロールの隆盛、それによって瞬唱クリコマ/稲妻といった双子のお家芸だったものがより強い形で現れることとなったのだ。そして3つ目がグリクシス双子だ。それによって新たな双子の亜種が形成されてしまったというものがある。そして最後に、双子に飽きてしまったという可能性があるだろう。長らく使ってきたプレイヤーが青白コンやグリコン、ブルージャンド、ティムール果敢といったデッキに鞍替えしてしまったのだ。この仮説の実証のためには更なるデータが必要となるものの、少なくとも状況を見る限りこれは正しいと言えるだろう。

 他のTier2の変化をみると、双子の不在によって護符コン、死せる生の大きな隆盛を確認することができるだろう。また、青白コンが再びTier2へと舞い戻ってきている。このデッキが本当に使われるだけの地力をもっているかについては僕はまだ懐疑的ではあるのだが、太陽のタイタンや瞬唱の魔導士といったカードの採用の差によって様々な亜種を生み出すことができるだろう。また、僕自身もアゾリウスカラーのファンであるために、このアーキタイプが増えてきていることについては好印象をもっている。また過剰評価こそされているようには思えるがこのデッキの地力は十分にあるとは思っている。

今月のメタゲーム予測

 この記事を、この項目目当てに見直す人は多いだろうし、先月の予測は大当たりだった。マーフォークやキキの調べは減ったし、青白コンや感染は増えた。きっと今後の予想もこの多様化したメタゲームでおおよそ正解となるだろう。

感染はTier1上でその数を増やすか。➡YES.

 先月の感染の増加はきちんとした土台に基づくものであったし、この動きを予想できて僕はとても喜んでいる。そしてこのメタゲームの動きは今年の1~2月に見られたものとほぼ同様の形なのである。少なくとも11月までこの風潮は続き、突然に感染はその姿を消すこととなるだろう。このメタゲームが続く限り、感染はトップメタになり得るだろう。

青白コンはTier2上でその数を増やすか。➡YES.

 青白コンの予想もあたっていた!感染の予想は大胆なものではなかったが、これについては過去のメタゲームでは1%を割るほどにしかいなかったのに今ではその数を倍に増やしているのだ。太陽のタイタン/空の遺跡、エメリアを含むリストがこのフォーマットに現れることとなったのだ。オジュタイやキッチン、修復といったその他のよく見るカードもその地力はとても高く、このバリエーションについてはSCGで好成績を収めたMichaelJessyのリストを参考にすべきだろう。青白コンが今後もメタゲーム上にいるかどうかについてはまだ判断すべきときではないだろうが、少なくともしばらくは増えるだろうと予測している。

 

 僕たちはしばらくモダンのオフシーズンに入ることとなる。そのため堂々とこれらの予測を口にすることはできなかった。BFZの発売はされたもののSCGPrimerの結果からは大きな兆候は見ることができなかった。ただ少なくとも、オフシーズンとなることでこれについてはきっとおこるだろうという予測がある。

青赤双子がTier1へと復帰する。

 タシグル大好きマンがそれを携え続ける者がいるかもしれないが、きっと純正双子がメタゲーム上に舞い戻ることとなるだろう。親和が3%以上も増加し、感染や赤緑トロンもTier1となっている現状、双子がかえってこない理由はほとんどないだろう。またこのデッキは護符コンにも構造的に強く、血染めの月を採用することで一瞬のうちにゲームは終わりを迎えることとなるだろう。黒緑系への不安は未だにあり、アブザンの増加によって詐欺師の総督のタフ4への信頼が若干落ちてしまうものの、これは双子使いならば経験しているものであるだろう。きっとグリクシス双子の利点であるコラガンの命令がその力を落とすために純正双子の方がきっと増えるだろう、という予測をしている。BBDがGPOKCで2位に入賞したという事実もそれを加速させることだろう。少なくとも10月に双子はメタゲームへと戻ってくる、僕はそう期待している。

 

 もしこれがおこらなければ僕たちはひどく反省することとなるが、少なくともそのときには罠の橋を燃やすこととなるだろう。

 

 これが今回のメタゲームのまとめとしたいと思う。この多様化したフォーマットからどのような兆候を読み取ることができただろうか。もし気づいたことがあったらおしえてほしい。その情報を用いてさらにアップデートをかけようと思う。では来週、双子の没落と禁止リストについて記事を書きたいと思う。