MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

デルバー、トラフトの復権(The Modern Renaissance of Delver and Geist by Adam Yurchick)

The Modern Renaissance of Delver and Geist by Adam Yurchick - Magic the Gathering (MTG)

より。

どんどん記事が古くなっていく!!誰か助けて!

といってもなんともならないので次回からちょっとリミテ記事とかも触れていこうと思います。

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 (2015/7に書かれた記事です)6月に行われたモダンGPや、今後行われるモダンPPTQのことを思うと、モダンは昨今とても盛り上がっているフォーマットと言えよう。その規模にかかわらず、様々なイベントで新たなメタゲームが形成されているのはとても面白いだろう。僕はとてもモダンに興味があるし、発展して行く方向がとても気になっている。

 MOにおいて、メタゲームの変遷はとても早く、青いコントロールデッキはどちらかと言うとクロックパーミッションの体をなしてきたように思う。クロックパーミッションというデッキシステム自体はとても強いものであり、どんな相手でも倒せるだけの地力をもっていることだろう。

 モダンのデッキの大半は、対策をされ、自身のゲームプランを崩さざるを得なくなる。そのためになんかしら別の方法を模索することが必要となるだろう。クロックパーミッションの場合においては脅威を一度場に送り出すことができれば、それによって相手の戦線を崩壊させることは容易だろう。

 昨今のイベントによるメタゲームの変化によって、コントロールデッキはより効果的な呪文を模索し、対戦相手のプランを崩壊させようとしている。クロックパーミッションもまた、ゲームのテンポに重きを置き、最高のマナ効率で動こうとするのだ。

 その点に於いて、クロックパーミッションの脅威への対処は主に打ち消しで行われると言える。相手の戦術を崩壊させるという点においてとても汎用的なのだ。モダン環境における打ち消し呪文は多岐に渡り、相手のプランを崩壊させるだけのパワーは十分にある。またマナ効率の点からみても、相手の重い呪文を軽量スペルで打ち倒すことができるというのは素晴らしいことだと言えよう。

 また、クロックパーミッションの除去も、メタゲームに合わせて柔軟に変化していく事となる。というのも大半のデッキが最終的にはクリーチャーによるビートダウンによってゲームを終わらせようとするからだ。といっても採用できる除去にも2種類があり、クリーチャー除去特化した呪文と、より柔軟に動ける火力に大きくわけられるだろう。しかしどちらも、テンポをとって盤面を有利にするために使われるだろう。

 コントロールデッキのサイドボード前後の強さの変化は他のタイプのそれに比べて極めて大きいといえる。それがコントロールデッキが✕○○の形でゲームを取る事ができる原因といえる。コントロールデッキは様々な強力なアンチカードを投げつけることができるものの、使い手はメタゲームを読みきり、どのデッキを対策すべきか、に大きく関心を寄せる必要があるだろう。クロックパーミッションもまた、同様のサイドボーディングが必要となる、打ち消し、除去、アンチカード……メタゲームを読みきったサイドボードが必要となるだろう。

秘密を掘り下げる者

 MOCSを、グリクシスデルバーを用いてDeepFinesseが制した。このデッキはクロックパーミッションとして最もメジャーと言って構わないだろう。

Grixis Delver by DeepFinesse 

Finished 1st Place at 2015 Magic Online Championship Series - 7/4

13 Creatures
4 Delver of Secrets/秘密を掘り下げる者
3 Gurmag Angler/グルマグのアンコウ
3 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル
1 Young Pyromancer/若き紅蓮術士

28 Spells
1 Deprive/剥奪
1 Electrolyze/電解
4 Gitaxian Probe/ギタクシア派の調査
2 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
2 Mana Leak/マナ漏出
1 Murderous Cut/残忍な切断
2 Remand/差し戻し
4 Serum Visions/血清の幻視
2 Spell Snare/呪文嵌め
1 Terminate/終止
4 Thought Scour/思考掃き

19 Lands
1 Blood Crypt/血の墓所
1 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Darkslick Shores/闇滑りの岸
3 Island/島
1 Mountain/山
4 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
2 Steam Vents/蒸気孔
1 Swamp/沼
1 Watery Grave/湿った墓

Sideboard
2 Blood Moon/血染めの月
3 Death's Shadow/死の影
2 Dispel/払拭
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
1 Izzet Staticaster/イゼットの静電術師
1 Monastery Siege/前哨地の包囲
2 Rending Volley/引き裂く流弾
2 Spellskite/呪文滑り

 またMOPTQにおいてchiralaneも同様のデッキを用いて勝ち抜いている。

Grixis Delver by chiralane 

Finished 1st Place at 2015 Magic Online PTQ - 7/18

14 Creatures
4 Delver of Secrets/秘密を掘り下げる者
2 Gurmag Angler/グルマグのアンコウ
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル
2 Young Pyromancer/若き紅蓮術士

27 Spells
4 Gitaxian Probe/ギタクシア派の調査
3 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
4 Remand/差し戻し
4 Serum Visions/血清の幻視
2 Spell Snare/呪文嵌め
2 Terminate/終止
4 Thought Scour/思考掃き

19 Lands
1 Blood Crypt/血の墓所
4 Island/島
1 Mountain/山
4 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
2 Steam Vents/蒸気孔
1 Sulfur Falls/硫黄の滝
1 Swamp/沼
1 Watery Grave/湿った墓

Sideboard
2 Bitterblossom/苦花
2 Blood Moon/血染めの月
2 Dispel/払拭
1 Dragon's Claw/ドラゴンの爪
1 Flashfreeze/瞬間凍結
1 Izzet Staticaster/イゼットの静電術師
1 Negate/否認
2 Rending Volley/引き裂く流弾
2 Shattering Spree/破壊放題
1 Tribute to Hunger/餓えへの貢ぎ物

 グリクシスデルバーはもちろんその名前を秘密を掘り下げる者からとっている。このカードによってクロックパーミッションは大きく変化することとなった。このカードは青いナカティルとも呼ばれるほどに迅速にライフを削っていくのだ。このデッキでは50%もの呪文が組み込まれており、変身はかなりの確率で起こると言えよう。また血清の幻視による裏口入学も可能である。またデルバーによって見えるカードが不必要なのならば、思考掃きによってリフレッシュすることも可能となる。

 また、このデッキは探査クリーチャーを採用することによってより単体のパワーに重きを置けるようになった。そう、グルマグのアンコウと黄金牙、タシグルだ。これらのカードは重厚であるがために、モダンで使われている除去の多くをいなすことができる。そして相手のライフを迅速に削ってくれるだろう。現代のタルモゴイフといっても誇張表現とはいえないだろう。探査コストは確かに多少重いかもしれないが、ギタクシア派の調査のような軽量スペルとフェッチランド、そして思考掃きによって十分軽いものとして運用できるのだ。これらのカードを基軸として、このデッキは成立したのである。

 今まで紹介してきたカードが縦に大きなカードだとすれば、若き紅蓮術士は横に大きくなるカードだといえよう。探査クリーチャー同様にこのカードも打点を作ってくれるカードではあるが、このカードはトークンを多量に生み出すことによってピン除去、クリーチャー単体を無視するかのように打点を与えることができる。形成一変のようなカードがなければ対処はできないだろう。

 瞬唱の魔道士も、このデッキを成立させる要素の一つだといえる。このカードは様々なカードとして動くことができる。防御的なカードとして動くこともできるし、サイドボーディングしたアンチカードを探したり使いまわしたりする事もできるのだ。

 除去という意味においてはグリクシスにとって終止は素晴らしいカードだと言えよう。どのデッキもクリーチャーに対処したいという思いは同じであり、終止はほぼ確実にその仕事を成す事ができるだろう。

 稲妻もグリクシスカラーの定番除去といえるが、勝利手段としても使えることカードは決して死に札とはならないのだ。

 コラガンの命令によって選べる4つのモードは、そのいずれもテンポを取るにはピッタリのカードである。

 また、瞬唱の魔道士とこのカードによって長期戦を戦うことができる。互いが互いを助け合うカードとなりアドバンテージを稼ぐことができるのだ。また、グリクシスデルバーの土地は18枚程度に切り詰められており、その大半がフェッチランドであるためにデッキの中には土地がほぼ存在せず、毎ターン呪文を引くことができるだろう。

 グリクシスカラーのサイドボードとして様々な打ち消し呪文が採用できる。特定のデッキ対策も血染めの月などを用いて十分にできるのである。払拭や否認はコントロール相手だけでなく、バーンやコンボ相手にも十分に働いてくれるカードとなる。そのためほぼすべてのデッキリストにこのカードは搭載されている。仕組まれた爆薬だけでなく、汚損破を超過で唱えられれば刻まれた勇者も破壊できる。バーンのような最悪のマッチアップに対しても、ドラゴンの爪や飢えへの貢物、死の影や吸血の絆によって対処することは難しくはないだろう。

 苦花もこの頃採用が増えてきており、グリクシスコントロール相手のような消耗戦においては素晴らしいカードとなるだろう。

 では、もう一つのクロックパーミッションへと目を移してみたい。おそらくトラフトのことだと気づいているプレイヤーも多いだろう。

聖トラフトの霊

 MTGOPTQにおいて、聖トラフトの霊と修復の天使をフィーチャーしたジェスカイデッキが登場した。

Jeskai Midrange by krazykirby4
Finished 2nd Place at 2015 Magic Online PTQ - 7/18

13 Creatures
4 Geist of Saint Traft/聖トラフトの霊
3 Restoration Angel/修復の天使
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
2 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆

22 Spells
2 Cryptic Command/謎めいた命令
2 Electrolyze/電解
4 Lightning Bolt/稲妻
4 Lightning Helix/稲妻のらせん
2 Mana Leak/マナ漏出
4 Path to Exile/流刑への道
2 Remand/差し戻し
2 Serum Visions/血清の幻視

25 Lands
2 Arid Mesa/乾燥台地
4 Celestial Colonnade/天界の列柱
1 Eiganjo Castle/永岩城
3 Flooded Strand/溢れかえる岸辺
2 Ghost Quarter/幽霊街
1 Hallowed Fountain/神聖なる泉
2 Island/島
1 Mountain/山
1 Plains/平地
1 Sacred Foundry/聖なる鋳造所
3 Scalding Tarn/沸騰する小湖
2 Steam Vents/蒸気孔
2 Sulfur Falls/硫黄の滝

Sideboard
1 Anger of the Gods/神々の憤怒
1 Celestial Purge/天界の粛清
2 Dispel/払拭
1 Elspeth, Sun's Champion/太陽の勇者、エルズペス
2 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Izzet Staticaster/イゼットの静電術師
1 Keranos, God of Storms/嵐の神、ケラノス
2 Kor Firewalker/コーの火歩き
1 Negate/否認
1 Valorous Stance/勇敢な姿勢
2 Wear // Tear/摩耗//損耗

 このデッキは懐かしいデッキと言えるだろう。秘密を掘り下げる者を採用しないことで、このデッキはどちらかと言うとミッドレンジ型のデッキになったが、クリーチャー除去の大半はピン除去、もしくは火力であるために呪禁をもつ聖トラフトの霊によって除去をキにせずに高速でライフを削ることができるようになった。グリクシスカラーのデッキはこのカードに打ち消しもしくはクリーチャーでしか対応することができないのだ。

 4/4の天使トークンの加護により、このカードは実質3マナ6/6のカードとして動くことができる、また稲妻、稲妻のらせん、流刑への道といった除去によってトラフト自身も攻撃に容易に移ることができる。コンボ相手ならばほぼ素通しだろう。そうしてライフを一気に削り切ることができるのである。

 修復の天使はこのようなクロックパーミッションにおいて狂った動きをすることができる。インスタントタイミングで飛び出すこともできるために、相手のターンにいきなり登場することもできる。また、このデッキに採用されている様々なカードとシナジーを形成できるのだ。瞬唱の魔道士で新たな呪文をフラッシュバックすることもできるし、トラフトをブロッカーから保護する事もできる。またヴェンディリオン三人衆を明滅させることで誘発能力をもう一度使うこともできるし、このカード自身が稲妻や突然の衰微の対象にならないという利点もあるだろう。

  このデッキにおいても、グリクシスデルバーと同様に火力が除去としてもとどめを刺すカードとしても使えるという利点があるが、稲妻のらせんがあるために火力の枚数という視点からはトラフト側に軍配が上がる事になるだろう。このカードはZooやバーン、親和といったアグロデッキに対抗するときに自身のライフを安全圏まで引き上げる事に使う事もできる。

 また、流刑への道はモダンの除去としては最高クラスのカードだと言えよう。少なくともCMCが終止の半分であり、瞬唱でフラッシュバックもさせやすい上にほぼ全てのクリーチャーに対処することができる。ゲーム序盤においては対戦相手に土地を与えてしまうという欠点こそあるが、ミッドレンジのデッキならば大して問題とはならないことだろう。

 また、このデッキには謎めいた命令が搭載されており、このデッキの地盤を引き上げる事に成功している。相手に対応できるカードである上に、相手のブロッカーを全て寝かせる事でトラフトの6点を素通しできるという能力もあるのだ。

 グリクシスデルバーに比べ、このデッキはミシュラランドも採用しているために、ゲーム中盤から終盤においてもマナ効率よく戦う事ができる。天界の列柱は嵐の息吹のドラゴンと同じく4/4飛行持ちであり、簡単にゲームを終わらせる事ができるだろう。土地をフィニッシャーとして用いる事もできるという利点は大きく、消耗戦に強いと言えるだろう。この土地基盤はミシュラランドを採用できないデッキに対してとても優位に立てるものとも言える。

 白という色はサイドボードに関して最上の力を秘めた色だと言える。バーン対策としてはコーの火歩きを用いる事ができるし、赤いデッキ対策としては天界の粛清を用いる事もできる上、摩耗損耗といったカードを使う事もできる。

 また、MOPTQで5位に入賞した青白トラフトにも目を向けてもらいたい。

UW Midrange by MagicDevil666
Finished 5th - 8th Place at 2015 Magic Online PTQ - 7/18

18 Creatures
4 Geist of Saint Traft/聖トラフトの霊
4 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
4 Restoration Angel/修復の天使
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
2 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆

16 Spells
3 Cryptic Command/謎めいた命令
2 Dismember/四肢切断
3 Mana Leak/マナ漏出
4 Path to Exile/流刑への道
4 Spell Snare/呪文嵌め

26 Lands
4 Celestial Colonnade/天界の列柱
1 Eiganjo Castle/永岩城
4 Flooded Strand/溢れかえる岸辺
2 Hallowed Fountain/神聖なる泉
4 Island/島
1 Mystic Gate/秘教の門
2 Plains/平地
4 Seachrome Coast/金属海の沿岸
4 Tectonic Edge/地盤の際

Sideboard
2 Aven Mindcensor/エイヴンの思考検閲者
1 Celestial Purge/天界の粛清
2 Relic of Progenitus/大祖始の遺産
2 Spell Pierce/呪文貫き
3 Stony Silence/石のような静寂
2 Sunlance/太陽の槍
1 Supreme Verdict/至高の評決
1 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆
1 Wrath of God/神の怒り

 このデッキは赤をデッキから排除する事で、金属海の沿岸や地盤の際といった安定したマナ基盤と相手の特殊地形対策を盛り込む事ができるようになった。

 赤を抜いた代償として、追加の流刑として四肢切断が投入されている。また、除去の絶対枚数が若干少なくなってしまう事を考慮してか、呪文嵌めをはじめとした様々な打ち消しに溢れている。これらのカードによって重くもゲームを決めるだけの呪文を唱える事ができるだろう。

 また、台所の嫌がらせ屋を4枚採用することからもわかるように、このデッキはより重いクリーチャーを採用している。このライフゲイン手段をもつ頑強もちはバーンやZoo相手だけでなく、コントロール相手にもぶっささることとなる。特にグリクシスのような火力と黒ピン除去に頼っているデッキには絶望的なものとなるだろう。

 また、サイドボードの白いカードにも着目してもらいたい。石のような静寂やエイヴンの思考検閲者といったメタカードに溢れているのがすぐわかるだろう。また対戦カード次第では太陽の槍を採用するというアプローチもとる事ができるだろう。

アグレッシブな心持ち

 モダン環境は相手への殺意に満ちている。その殺意から自らを守る一番の方法は、そう、相手を殺す事である。毒をもって毒を制すようなプレイスタイルはコントロールデッキが既に成立させている。ここで秘密を掘り下げる者や聖トラフトの霊といったカードがメタゲームに合致する事となる。よりアグレッシブに動く事で、除去をうまく使う事で、このクリーチャーだけでゲームを制する事ができる。よりメタゲームが複雑化し、コントロール偏重となったとき、デルバー/トラフトはその息を吹き返す事となるだろう。