MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

ランタンの灯を点せ(LIGHTING THE LANTERN by Corbin Hoslter)

Lighting the Lantern | MAGIC: THE GATHERING

より。

ランタンコントロールについて本人が語る、インタビュー記事です。

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 その灯りは、とてもちっぽけなものだった。

  様々なデッキがトーナメントの度に新たなる名誉を求めてフィールドに現れるが、現実はとても厳しいのである。それが故に、過去の遺物のようなライブラリアウト型のロックデッキがGP Charlotteにおいて勝ち抜いている、という噂に、多くの人たちが驚いた事だろう。

 その噂を聞いた者たちは会場中を探しまわった、そして見つけてしまったのだ。上位卓に、写本裁断機などという奇妙なカードが存在している風景を。このカードは確かに面白いカードではある。しかしながら、このような、競技レベルの場において、こんなカードが並んでいるなんて。信じられなかったことだろう。相手の勝ち手段を奪う事で勝利するデッキは、概してトップデックを止める事ができずに沈んでいく。また、きちんとした対応を続けていけば、どのようなロックであってもこのフォーマットならば、いずれ戦線が崩壊するだろう。このデッキはどうせぽっと出のただのローグデッキだ、もうこんなデッキを見る事はないだろう。そのトーナメントにおいては確かにこのデッキはベスト16に入賞する事となったものの、数多くのプレイヤーがその灯は一瞬のものと思い、口に出してしまったプレイヤーもいたのだろう。

 Zacは自身がその悪評の闇にいることを知っていた。GP Oklahoma Cityにおいて、デッキ批評家たちを黙らせるだけの成果を、Zacはランタンを振るい、明るみにしたのだ。

 「僕のこの大会での目標?そうだね、このデッキでベスト8に残ることかな」12回戦を終えてなお1敗のみという驚異的な成績を残した後、Zacは確かにそういったのだ。「Charlotteでも、もしもうちょっと、このデッキをうまく回せてれば、優勝だってあり得た。あのときの2敗は対戦相手への負けじゃない。僕自身に負けてしまったんだ。だから今回は、いっぱい練習を積んできた。もうこのデッキを完全にマスターしたと言っても良いだろうね」

 彼の発言は単なるほらではなかった。たしかにCharlotteにおいて、彼は1日目を9-0という驚異的な成績で抜けているのだ。彼の二つ名はすぐに掲げられる事となる。「洞察のランタンの体現者」と。ランタンコントロールは、このフォーマットにおいて一つのアーキタイプとして成立してしまったのだ。このデッキはハンデスによって相手の手札を枯渇させ、罠の橋や紅蓮地獄を用いて戦場を自身の支配下においたうえで、洞察のランタンや写本裁断機、グール呼びの鈴によって有効牌を消し去り、相手の対抗手段を奪っていくのだ。そう、古典的なロックデッキがそうしてきたように、このデッキは相手の手段を完全に奪い、相手のライブラリーを全て削り落とす事によって勝利するデッキなのだ。

 「このデッキはとっても安定していて強いよ」Zacは語る。「このデッキを作ってから勝ち続けていたよ。まあ確かにCharlotteでこれを使うのはちょっと怖かった。ただ僕は自身の灯を信じていたんだ、どんなデッキも打ち倒せると。そしてその念願はかなった。例えば昨日も、こんな相手がいたね。ウギンの奥義を2度使ってもなお、勝利する事ができない、と察して降参してきた相手が、ね。」

 Charlotteでのベスト16の後、Zacのマジックの世界は大きく変化することとなった。LSVやSam Blackといった名だたるプレイヤーが、このデッキを使い始めたのだ。そしてまた、あった事のないような人から、アドバイスを求められるようにもなったという。

 Zacはそれらの申し出を快諾し、ともにこの大好きなフォーマットで自分の作ったデッキを動かしてくれる人がいる事を喜んだ。もちろん、もし彼がプロツアーにおいてまたランタンをふるう事ができるのであれば、それはもっと喜ばしい事であろう。

 「みんながこのデッキを楽しんでくれるのならば、それはとっても幸せな事だし、プロさえもこのデッキを使おうというんだ。これ以上の事はあるだろうか」感慨深く、言葉は紡がれていく。「僕は様々なデッキがどんどん進化していく、モダンという素晴らしいフォーマットがとても大好きだ。そして、この世界にはまだ僕たちが明らかにしていない闇に包まれたカードたちが大量に眠っていることだろう。そう、このデッキがその闇から生まれた、灯火のひとつさ」

 「あとは、このイベントで、ベスト8に残るだけだ」

 

Lantern Control by Zac Elsik
Finished 1st Place at 2015 Grand Prix Oklahoma City - 9/12

3 Creatures
3 Spellskite/呪文滑り

40 Spells
2 Abrupt Decay/突然の衰微
4 Ancient Stirrings/古きものの活性
4 Codex Shredder/写本裁断機
4 Ensnaring Bridge/罠の橋
1 Ghirapur Aether Grid/ギラプールの霊気格子
4 Ghoulcaller's Bell/グール呼びの鈴
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
4 Lantern of Insight/洞察のランタン
4 Mox Opal/オパールのモックス
3 Pithing Needle/真髄の針
2 Pyrite Spellbomb/黄鉄の呪文爆弾
2 Surgical Extraction/外科的摘出
2 Thoughtseize/思考囲い

17 Lands
2 Academy Ruins/アカデミーの廃墟
2 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Copperline Gorge/銅線の地溝
1 Forest/森
2 Ghost Quarter/幽霊街
4 Glimmervoid/空僻地
4 Llanowar Wastes/ラノワールの荒原
1 Tendo Ice Bridge/氷の橋、天戸

Sideboard
1 Ancient Grudge/古えの遺恨
2 Grafdigger's Cage/墓掘りの檻
1 Nature's Claim/自然の要求
1 Pithing Needle/真髄の針
3 Pyroclasm/紅蓮地獄
4 Sun Droplet/太陽のしずく
3 Welding Jar/溶接の壺