MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

世界選手権で見られた、モダンの変化(Modern After Worlds—and the 5 Most Important Pieces of New Tech By Sam Pardee)

» Modern After Worlds—and the 5 Most Important Pieces of New Tech

より。

 世界選手権の結果を受けたWMCQの予測も行っているようですが、さて、答えはどうだったのでしょうか?

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 (記事執筆当時)先週行われた世界選手権はとても面白かったね!世界中の24人のトッププレイヤーたちが4つのフォーマットを渡り歩き、14ラウンドものマッチを戦ったわけだ。この中でも僕は今回モダンフォーマットを巡るメタゲームに関して焦点を当てていきたいとおもう。選手たちはおおよそ既知のデッキを使っていたが、いくつか、目新しいデッキも発見できた。きっとこれは(記事執筆当時)今週末のWMCQに多大な影響を及ぼすことであろう。

  今回のメタゲームは想像を絶する複雑さを呈していた。

6 親和

4 死せる生

3 呪禁オーラ/双子(UR、RUG、URBそれぞれ1ずつ)

2 白黒トークン/緑黒(ジャンド/アブザンそれぞれ1ずつ)

1 マーフォーク/バーン/URヤンパイコン/青白コン

 興味深いのは、2つのチームが親和を持ち込むことを決めた結果、手堅い勝利をおさめたというところである。JacobとMichealは不運にも0-4、1-3フィニッシュとなってしまったものの、他の4人は全員3−1を決める事ができた。この原因は親和のデッキパワーだけではなく、これまでのメタゲームにもあると言えるだろう。これまで行われた3度の世界選手権において、親和を持ち込んだプレイヤーはわずかに1人しかいなかったのである。この親和の活躍によって石のような静寂や粉砕の嵐といったカードはその数を増やす事となるだろう。

  死せる生の数にも、親和とは異なる理由で大きな驚きがあった事だろう。親和はメタられなければ最強のデッキだということに疑念をもつ者はいないだろうが、死せる生はそのような系譜をもっていないのである。Team Thommoは8-8という、堅実ではあるが地味な結果に落ち着く事となった。

 死せる生はメタゲーム上で上位には存在していないが、多少今後増えるのではないかと予測できる。おそらく彼らは昨今話題のグリクシスコントロールを持ち込む選手が多いだろう、という予測をしたのだろう。結果としてそのデッキをプレイしていた選手はいなかったのだが、呪禁オーラに対しては効果があったようである。

 呪禁オーラと言えば、2013年の世界選手権においてReid Dukeがこのデッキを使っていた事が思い出される。これはフェアデッキがメタゲームを席巻しているときにはとても効果的なデッキであり、準備段階にある相手を押し殺す事ができる。問題となるのは感染やグリセルシュートのような自分より早い相手、そして死せる生のような大賞を取らない破壊をしてくる相手に対して第二のプランを用意できないということである。呪禁オーラという選択肢自体は悪くないが、今回は死せる生に軍配が上がったということでいいだろう。

 おそらく一番驚くべき事象としては双子のシェア率の低さにあるだろう。双子はこの手のイベントにおいては確実に登場するだろうと予測されるし、緑黒以外のデッキに対しては基本的に優位にたつ事ができると思っている。Antonioは1-3というふがいない結果に終わってしまたものの、この手の場において1G目をコンボで勝利できるということはすばらしい事であろう。

 その他のデッキははっきりいっていつもの、という感じではあった。これこそがモダンらしさといってもいいだろう。そして僕たちは2種類の、新たなデッキをかいま見る事となった。

 まずは3-1をきめた渡辺雄也の青白オジュタイコントロールをみてみよう。

青白オジュタイコントロール

26 Lands
4 Celestial Colonnade/天界の列柱
1 Eiganjo Castle/永岩城
4 Flooded Strand/溢れかえる岸辺
4 Ghost Quarter/幽霊街
2 Hallowed Fountain/神聖なる泉
3 Island/島
1 Minamo, School at Water's Edge/水辺の学舎、水面院
3 Plains/平地
4 Mystic Gate/秘教の門

16 Creatures
2 Dragonlord Ojutai/龍王オジュタイ
4 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
3 Restoration Angel/修復の天使
1 Sun Titan/太陽のタイタン
2 Vendilion Clique/ヴェンディリオン三人衆
4 Wall of Omens/前兆の壁

18 Spells
3 Cryptic Command/謎めいた命令
2 Detention Sphere/拘留の宝球
4 Path to Exile/流刑への道
2 Remand/差し戻し
4 Spell Snare/呪文嵌め
3 Supreme Verdict/至高の評決

Sideboard
2 Aven Mindcensor/エイヴンの思考検閲者
1 Glen Elendra Archmage/エレンドラ谷の大魔導師
1 Spellskite/呪文滑り
1 Celestial Purge/天界の粛清
1 Crucible of Worlds/世界のるつぼ
1 Grafdigger's Cage/墓掘りの檻
2 Negate/否認
2 Stony Silence/石のような静寂
3 Threads of Disloyalty/不忠の糸
1 Dispel/払拭

 これはいわゆる古き良き青白コンというべきデッキであり、瞬唱の魔導士を使わずに僕の大好きなモダンのカード、台所の嫌がらせ屋を採用している。龍王オジュタイや太陽のタイタンを採用する事によってフェアデッキに対しては圧倒的に優位にたつことができるだろう。そしてオジュタイと水面院をつかうことによってとても低コストでオジュタイの呪禁を保ち続けられる、というちょっとしたコンボについても覚えておくべきだろう。ただ、このデッキは呪文嵌めで対処できないカードや重いソーサリーのためにコンボデッキに大しては多少不利になる事だろう。

 そしてこのサイドボードはとても好みのものである。1G目で出会う事になるだろう戦闘に関する問題を解決してくれるという点においてだ。世界のるつぼ-幽霊街のコンボは消耗戦においてとても強いカードとなるだろう。

 僕はこのデッキが今後どのように進化していくのかがとても楽しみである。(執筆当時)今週末のWMCQにおいてはこのリストをそのまま使うのがいいだろうし、もしコンボに対しての不安があるならば否認や差し戻しの代わりにマナ漏出を使うのがベターかもしれない。

 つづいては2-2の戦績をおさめたShaun McClarenのURヤンパイコンについてみてみようではないか。

青赤ヤンパイコントロール

21 Lands
1 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
2 Desolate Lighthouse/僻地の灯台
3 Island/島
1 Mountain/山
3 Polluted Delta/汚染された三角州
4 Scalding Tarn/沸騰する小湖
3 Steam Vents/蒸気孔
4 Sulfur Falls/硫黄の滝

12 Creatures
4 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
4 Snapcaster Mage/瞬唱の魔導士
4 Young Pyromancer/若き紅蓮術士

27 Spells
1 Cryptic Command/謎めいた命令
1 Dispel/払拭
2 Electrolyze/電解
3 Gitaxian Probe/ギタクシア派の調査
4 Lightning Bolt/稲妻
3 Mana Leak/マナ漏出
4 Remand/差し戻し
1 Roast/炙り焼き
4 Serum Visions/血清の幻視
1 Spell Pierce/呪文貫き
3 Spell Snare/呪文嵌め

Sideboard
2 Roast/炙り焼き
2 Spellskite/呪文滑り
2 Blood Moon/血染めの月
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
2 Pyroclasm/紅蓮地獄
2 Relic of Progenitus/大祖始の遺産
2 Shatterstorm/粉砕の嵐
2 Dispel/払拭

 このデッキは4枚の渋面の溶岩使いと2枚の電解によって小粒クリーチャーを用いるデッキに対しては圧倒的優位に立つ事ができるだろう。また2マナの打ち消しが7枚、1マナの打ち消しも5枚と、コンボデッキへの対応力もかなりのものという事ができる。URというカラーリングのおかげで、さらに払拭や血染めの月をサイドボードに忍ばせる事ができる。

 このデッキの問題点は黒緑への対応力の少なさがある。双子が黒緑に対峙したときにサイドボード後にとるケラノスがこのデッキには存在せず、またタシグルやタルモゴイフへの除去手段もあまり豊富ではない。おそらくこのデッキはShaunがこの世界選手権のメタゲームを読み切ってミッドレンジの少ない、渋面の溶岩使いが大活躍するだろう、と予測した事によるだろう。このデッキは過去にあったブルームーンに類似しているものの、それほど人気を博することはないだろう、と思っている。

おまけ 世界選手権で見られたテクいカード5選

5位 鷺群れのシガルダ in アブザン

 僕はこのカードをミッドレンジ系の切り札として、コラガンの命令によって信頼をおきづらくなった殴打頭蓋に替わるカードとして、期待している。

4位 エレンドラ谷の大魔導師 in 青白コントロール

 エレンドラはコンボデッキに対して最強クラスの妨害札となるうえに、ミラーマッチにおいてもタップアウト対策となるすばらしいカードだ。

3位 搭載歩行機械 in ジャンド

 このカードをは4マナ域のカードとして運用できるが、めくれても闇の腹心によるダメージはないし、前哨地の包囲や紅蓮の達人、チャンドラのように手札にだぶついて困る、ということも少ない。

2位 復活の声 in アブザン

 このカードはとても強いカードではあるが、適切なデッキが思いつかなかった。アブザンがジャンドに対してもつ弱点のひとつである、2マナ域の弱さを改善する事ができる良いカードであるだろう。

1位 ギラプールの霊気格子 in 親和

 以前には馬鹿げていると思ったが、トークン戦略をもつデッキやミラーマッチ対策として完璧なカードとなりえるだろう。また、なんとか出す事さえできれば石のような静寂の対策となる点もすばらしいと言える。

 

読んでくれてありがとう!もしSanta Claraで勝つ事ができたらその事について来週お話しようじゃないか!