MtG訳記た。

モダンを中心とした(というよりはモダンの)海外記事翻訳保管庫

緑黒、ジャンド、ジャンクとは?(The GBx Primer – Jund and Junk By Jacob Wilson)

» The GBx Primer – Jund and Junk

より。

私事ではあるんですが、THS期から参入した身としては黒緑といえばアブザンという印章しかなくて、むしろだいたい今までの間使われていたのはジャンドだったということに若干驚いてます。

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 モダンフォーマットの制定以来、ゴルガリミッドレンジはメタゲーム上を席巻してきた。しかしながら、感染や親和を相手にした時や、死儀礼のシャーマンの禁止によるトップデッキの弱体化によって若干のメタゲーム上における弱さがあった。もしいまジャンド、もしくはアブザンを使い始めようとするのならば、きっとそれはとても長い道のりになることだろう。というのもこのデッキを使っていて、「簡単に勝てる」という事は一切なく、ロングゲームを耐え抜く必要があるからだ。もしその手のデッキが好きなのならば、ジャンド、ジャンクはあなたのためのデッキといってもいいだろう。この記事はこの2つのデッキの差異が無視できる場合において、可換である、ということについて示していきたいと思っている。

ゲームプラン

  1. タルモゴイフを2T目に戦場に送り出すのは勝利への一番の近道である。相手がアーティファクトやエンチャント、部族呪文を用いている場合においてはタルモの支配力がさらにあがるという点についても覚えておくべきだろう。
  2. 対戦相手をどんどんと勝利から遠ざけていこう。特にこの戦術はコンボデッキに対して有用であり、ヴェールのリリアナの能力を毎ターン起動させることによって相手のコンボパーツを崩壊させ、そして奥義によって土地すらもかき消してしまえばいいのだ。ジャンドの場合は更にコラガンの命令を使う事によって相手のドローすらも殺してしまう事ができるだろう。
  3. ミラーマッチにおいては長い長い消耗戦を勝ち抜く事となる。ミシュランである怒り狂う山峡や活発な野生林、樹上の村をうまく使っていきたい。ジャンク側が未練ある魂を使っていない場合においてはミシュランがより強い、ジャンド側の方が有利となるだろう。

ジャンド

 Brad Nelson

24 Lands
4 Blackcleave Cliffs/黒割れの崖
1 Blood Crypt/血の墓所
3 Bloodstained Mire/血染めのぬかるみ
1 Forest/森
1 Mountain/山
2 Overgrown Tomb/草むした墓
3 Raging Ravine/怒り狂う山峡
1 Stomping Ground/踏み鳴らされる地
2 Swamp/沼
4 Verdant Catacombs/新緑の地下墓地
2 Wooded Foothills/樹木茂る山麓

13 Creatures
4 Dark Confidant/闇の腹心
3 Hangarback Walker/搭載歩行機械
1 Scavenging Ooze/漁る軟泥
4 Tarmogoyf/タルモゴイフ
1 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル

23 Spells
2 Abrupt Decay/突然の衰微
4 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
2 Kolaghan's Command/コラガンの命令
4 Lightning Bolt/稲妻
4 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
2 Maelstrom Pulse/大渦の脈動
3 Terminate/終止
2 Thoughtseize/思考囲い

Sideboard
1 Abrupt Decay/突然の衰微
1 Grim Lavamancer/渋面の溶岩使い
2 Huntmaster of the Fells // Ravager of the Fells/高原の狩りの達人//高原の荒廃者
3 Kitchen Finks/台所の嫌がらせ屋
1 Ancient Grudge/古えの遺恨
2 Choice of Damnations/滅びへの選択
1 Duress/強迫
1 Golgari Charm/ゴルガリの魔除け
2 Nihil Spellbomb/虚無の呪文爆弾
1 Slaughter Pact/殺戮の契約

ジャンク

Thiago Saporito

24 Lands
1 Forest/森
2 Gavony Township/ガヴォニーの居住区
2 Godless Shrine/神無き祭殿
3 Marsh Flats/湿地の干潟
2 Overgrown Tomb/草むした墓
1 Plains/平地
2 Stirring Wildwood/活発な野生林
2 Swamp/沼
1 Temple Garden/寺院の庭
1 Urborg, Tomb of Yawgmoth/ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
4 Verdant Catacombs/新緑の地下墓地
2 Windswept Heath/吹きさらしの荒野
1 Woodland Cemetery/森林の墓地

16 Creatures
3 Noble Hierarch/貴族の教主
2 Scavenging Ooze/漁る軟泥
3 Siege Rhino/包囲サイ
4 Tarmogoyf/タルモゴイフ
2 Tasigur, the Golden Fang/黄金牙、タシグル
2 Voice of Resurgence/復活の声

20 Spells
4 Liliana of the Veil/ヴェールのリリアナ
3 Abrupt Decay/突然の衰微
1 Dismember/四肢切断
3 Inquisition of Kozilek/コジレックの審問
3 Lingering Souls/未練ある魂
3 Path to Exile/流刑への道
3 Thoughtseize/思考囲い

Sideboard
1 Abrupt Decay/突然の衰微
1 Lingering Souls/未練ある魂
1 Thoughtseize/思考囲い
2 Sigarda, Host of Herons/鷺群れのシガルダ
1 Dromoka's Command/ドロモカの命令
1 Engineered Explosives/仕組まれた爆薬
1 Leyline of Sanctity/神聖の力線
3 Leyline of the Void/虚空の力線
1 Maelstrom Pulse/大渦の脈動
2 Pithing Needle/真髄の針
1 Damnation/滅び

デッキの難易度:一般的なデッキよりは簡単。

 ジャンドが目指すのは相手の場を完全に崩壊させる事である。相手のゲームプランが崩壊してしまえば、こちらのカードパワーは相手のそれよりも圧倒的に上となる。「呪文や能力を、毎ターン最効率的に使う」ことを念頭に置いておけばいいのだ。

弱点

 ジャンドに組み込まれているカードの全てはどのマッチアップにおいても活躍すると考えられているが、モダンの広大なアーキタイプのせいで、1G目においてはとても不利となる相手がいくらか存在している。例えばいわゆるグリセルシュートに対して、1G目の勝率は3割程度であるだろう。相手がどのようなデッキを使っているのかがわかっている際には、有効札を引くまでマリガンしてしまうのも一つの手ではあるだろう。

 しかしながら、メインボードにおける弱点はサイドボードの汎用カードによって対処する事ができる。ジャンドの強いところはそれを他のデッキより成し遂げやすいという点である。神々の憤怒や自然に帰れ、石のような静寂によってゲームを簡単に掌握することができるだろう。

緑黒にとって好ましいメタゲームは?

 クリーチャーを基軸としたアグロ/コンボデッキ(e.g.Zoo、エルフ、マーフォーク、白ウィニー、双子)は緑黒のお客様である。護符コン、トロン、青白コン、親和、グリセルシュートなどが跋扈するメタゲーム上では活躍が難しくなるだろう。幸運な事にも、ジャンドをつかっていれば4つか5つ程度のデッキならばきちんと対策をとる事ができる。もしメタゲームを正確に読み切る事ができるのならば、ジャンドを使うのが確実に正解と言える事だろう。

核となるカード

  • 思考囲い+コジレックの審問 盤面で対処しづらいカードを落とす。そして得られた情報アドバンテージを生かせば容易に勝利することができる。
  • 流刑への道/稲妻 モダンにおける軽量除去の申し子。
  • 突然の衰微 エンチャントやアーティファクト頼みのデッキを1G目からひき殺せるのは終止や魂の裏切りの夜、喉首狙いにはない利点である。
  • タルモゴイフ+漁る軟泥 緑のクリーチャーたち。漁る軟泥はメインから墓地メタができる上にライフ回復をすることもできるすばらしいクリーチャーだ。
  • ヴェールのリリアナ ジャンドがコントロールやコンボに対しても強い最大の理由。クリーチャー主体のデッキに対しては少々弱いがそれも問題ない範囲である。

追加カードたち

  • 闇の腹心 稲妻環境となってしまった今、このカードの魅力は少し失われてしまった。しかしながら闇の腹心を生きながらえさせて自分のターンを迎える事ができれば、勝つ事は容易であるだろう。
  • 黄金牙、タシグル ほとんどのデッキで1~2枚挿しされているカードである。このカードはアンタップ状態のマナ資源、そして墓地すらもを最大限に有効活用できるカードであるため、追加のタルモゴイフとして運用する事は容易であるだろう。
  • 大渦の脈動 このカードの汎用性を評価する人も少なくはないが、他のカードの方が有用に働く事の方が多い。僕はあくまでこれを主戦略としてはいけないだろう、と考えている。というのもジャンドはターンに様々な呪文を唱える事によってより強さを得られると考えているからだ。
  • オリヴィア・ヴォルダーレン、高原の狩りの達人、包囲サイ 過去の緑黒デッキは3マナで相手を再起不能にしてきた。もし包囲サイを使いたいのならば、僕は貴族の教主を同時に使う事をお勧めする。オリヴィアや狩達を使いたいのならば、1、2枚に採用をとどめておくべきだろう。ミシュラランドがこれらの代わりとして十分働いてくれる事だろう。

サイドボード

 この節においてはあくまで僕は提案のみにとどめておきたい。メタゲーム上で5%以下だろうと思うマッチアップに対しては無視してしまった方がいいだろう。

  • アーティファクト除去 粉砕の嵐/忍び寄る腐食、古えの遺恨、石のような静寂、ラクドスの魔除け
  • エンチャント除去 自然に帰れ、ドロモカの命令、ゴルガリの魔除け
  • 墓地対策 虚空の力線、ジャンドの魔除け、ラクドスの魔除け、漁る軟泥
  • 全体除去 滅び、紅蓮地獄、神々の憤怒、妄信的迫害、仕組まれた爆薬
  • ライフゲイン 台所の嫌がらせ屋、部族養い、漁る軟泥、神聖の力線、ファイレクシアの非生
  • 土地破壊 大爆発の魔導士、塩撒き
  • 更なる脅威 殴打頭蓋、スラーグ牙、最後のトロール、スラーン、鷺群れのシガルダ、前哨地の包囲

緑黒対策

 ジャンド対策として有用なのはロクソドンの強打者、ゲリラ戦術のようなハンデスへの対抗策である。除去しにくい非クリーチャーパーマネントや、CiP効果でアドバンテージを稼ぐ事ができるクリーチャーもこれらのデッキに対して有効となるだろう。

 有効札の例

復活の声 台所の嫌がらせ屋 刻まれた勇者 幽体の行列 エレンドラ谷の大魔導師  前哨地の包囲 嵐の神、ケラノス 太陽の勇者、エルズペス 血染めの月

よりうまくプレイするために

  • コラガンの命令などのハンデスで自身を対象とし、タルモゴイフを成長させることもある。
  • リリアナを出すだけ出して、効果を使わない、という事もあり得る。マナ効率を最大限に利用したいときにはこういうこともある。
  • 9マナまで到達しているときには怒り狂う山峡を2度起動し、カウンターを2つのせる事もあり得る。
  • このデッキをプレイするときには最低限の手札について思考しておく必要がある。相手が様々なハンデスを使ってくると予測しているときにマリガンするのはあまりよろしくないだろう。

各デッキとの相性

  • 双子ー良 緑黒のお客様のひとつ。
  • 親和ー悪 勝つためにはサイドボードでの対策が必須だ。
  • バーンー普 ちょっとメインボードをいじれば相性は簡単によくなるだろう。
  • グリクシスコンー普 このマッチアップはミラーマッチに近く、相手の除去呪文は自分のそれより格段に上である。また、相手は呪文嵌めのような状況に依存する呪文を多く抱えているため、ハンデスの使い方が重要となる。
  • 感染ー良 ハンデスして1マナの除去を打てばいい。荒廃の工作員?いつでもどうぞ。
  • グリセルシュートー悪 このデッキは墓地対策だけでは対処できず、裂け目の突破によって容易に死を迎える事となる。早いターンにタルモゴイフを着地させ、ハンデスを食らわせるのが一番だろう。
  • 青白コントロールー微悪 1G目では除去が腐り続けることとなる。サイドボード後は楽になるだろう。
  • カンパニー系ー微良 カンパニーは殻ではない。オリヴィア・ヴォルダーレンや紅蓮の達人、チャンドラ、静寂の守り手、リンヴァーラを使っているのならば相性は圧倒的に改善する事となるだろう。
  • トロンー微悪 トロンが自身のプランを遂行できた場合は辛いゲームとなる。トロンが不安定なのが救いか。
  • 護符コンー微悪 スラーグ牙や女王スズメバチといったサイドボードが行われると辛いマッチアップとなる。
  • 死せる生ー悪 このコンボはとても強い。いうまでもなくこのコンボの成立に失敗すればこちらが圧倒的優位とはなる。
  • 白黒トークンー微悪 白黒トークンとジャンドは両方ともミッドレンジ型のデッキではあるが、未練ある魂や幽体の行列に対してピン除去を使うのはじり貧となるだろう。
  • ミラーマッチージャンクの方が有利 未練ある魂によって優位に立つ事ができる。